【ドールハウス】バレエ衣装店『Le Spectre de la Rose』へようこそ
バレエ衣装店「Le Spectre de la Rose」(薔薇の精)
通りの外れにひっそり佇む、小さなバレエ衣装店。かつてバレエダンサーだった店主が、一着一着に思い出と敬意を込めて仕立てて、飾っています。
この小さなブティックには、二種類の衣装が並んでいます。
一つは、古典の象徴『眠れる森の美女』。
もう一つは、詩的革新『薔薇の精』。
店主が育てるピエール・ドゥ・ロンサールのバラは、今も変わらず、窓辺で静かに揺れています。
バレエダンサーの人生は、とても儚く、美しく、限られた時間の中で咲き誇るもの。
若さ、肉体、技術、感情、そのすべてが結実する瞬間は長く続かない。
「今日という日に、人生のバラを摘みなさい」
店主はこの言葉を胸に、舞台へ向かうすべての踊り手を静かに送り出します。

店の外にはピンク色のつるバラ、ピエール・ドゥ・ロンサールが咲いています。

バレエリュスで1911年に初演されました。
ニジンスキーが薔薇の精をカルサヴィナが少女を踊りました。


(私は薔薇の精 あなたが昨夜の舞踏会で身につけていた)
これは、テオフィル・ゴーティエの詩の冒頭部分であり、バレエ『薔薇の精』の着想元になった詩です。


ベルリオーズが管弦楽編曲したものが使われています。
店頭には手書きのピアノ譜が飾られています。

少女が舞踏会から帰宅しうたた寝をするとバラの精霊が窓から風に乗って現れ、彼女と一夜の夢のような踊りを繰り広げ薔薇の精は再び窓から去っていきます。
インスピレーションの素となった作品について
*バレエ『薔薇の精』について
バレエ『薔薇の精』(仏: Le Spectre de la rose、英: The Spirit of the Rose)は、20世紀初頭の象徴的なバレエ作品で、美しさと幻想性に満ちた短編バレエです。
概要
•原題:Le Spectre de la rose(ル・スペクトル・ド・ラ・ローズ)
•初演:1911年、モンテカルロ
•振付:ミハイル・フォーキン
•音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー「舞踏への勧誘(Invitation to the Dance)」をヘクトル・ベルリオーズが管弦楽編曲
•衣装・舞台美術:レオン・バクスト
•初演の主演ダンサー:ヴァーツラフ・ニジンスキー(薔薇の精)、タマラ・カルサヴィナ(娘)
あらすじ
少女が舞踏会から帰宅し、ドレスを脱いでソファに倒れこみ、手にした一輪のバラの香りに浸る。そのままうたた寝をしてしまうと、バラの精霊が窓から風に乗って現れ、彼女と一夜の夢のような幻想的な踊りを繰り広げる。
踊り終えた薔薇の精は、再び窓から風とともに去っていく。少女は目を覚まし、それが夢だったのか、現実だったのか、わからないまま静かにバラを見つめる──。
特徴・見どころ
1. 幻想的な雰囲気
夢と現実のあわいを描く詩的な作品で、非常に短く、10分程度の一幕バレエです。
2. ニジンスキーの伝説的ジャンプ
初演時のニジンスキーの跳躍は、観客に「彼は空中で静止しているように見えた」と語られるほどのインパクトを与えました。窓から登場し、また窓から去っていくという演出が、その幻想性を際立たせます。
3. 衣装と美術
レオン・バクストのデザインによる薔薇の花びらを模した幻想的な衣装は、ロマンティックで妖精のような雰囲気を強調しています。
🌹衣装と花びらのエピソード
ニジンスキーが演じた薔薇の精の衣装は、レオン・バクストがデザインしたシルク素材のレオタードで、衣装全体が小さなシルク製の薔薇の花びらで覆われていました。上演前には、ワードローブマスターがカーリングアイロンを使って花びらの形を整えるほど丁寧に手入れされていたそうです。ただ、その繊細な衣装は動きによって花びらが時折散り落ちてしまうこともあり、その際には花びらが舞台に落ちることがあったとのこと 。
そして、ニジンスキーの衣装から落ちた花びらを舞台下で集めて“ファンのための記念品”として販売したというエピソードがあります。伝説では、彼の使用人がその売上で「Le Château du Spectre de la Rose(薔薇の精の城)」という大きな家を建てたとも語り継がれています。
*バレエ『眠れる森の美女』ローズアダージョについて
ローズアダージョは『眠れる森の美女(The Sleeping Beauty)』第1幕に登場する名シーン。主人公・オーロラ姫の16歳の誕生日の祝宴にて踊られます。4人の王子がバラの花を捧げながら姫に求婚し、それに応えるように姫が踊る優雅で荘厳なアダージョです。
🎵音楽
作曲:ピョートル・チャイコフスキー
編成:壮麗なオーケストラによる、優美で堂々たるワルツ風のアダージョ
音楽はとても荘厳かつロマンティックで、王族の格式と初恋のときめきを感じさせます。
🩰技術的な見どころ
最も有名なのは、4人の王子の手に順番につかまりながら、片足でバランスを取り続けるアチチュードのバランスポーズです。
このシーンは、ダンサーのテクニック・集中力・気品が求められます。
*バラについて
1987年にフランスのバラ育種会社メイアン社が作出したこのバラに、「愛と美と詩の象徴」としてピエール・ドゥ・ロンサールの名が贈られました。
その花は、外側がアイボリー、中心に淡いピンクが重なるロマンティックなカップ咲きで、まさに詩のように優雅で、時を超えて愛される存在です。
🌿ピエール・ドゥ・ロンサールとは?
1524年生まれのフランスの詩人で、愛と自然、美への賛歌を多く詠み、「バラの詩人」と呼ばれ、フランス語圏では“恋の詩人”として長く愛されてきました。
“Cueillez dès aujourd’hui les roses de la vie.”
「今日という日に、人生のバラを摘みなさい」
これは「今を生きよ」「青春を慈しめ」という意味のカープ・ディエム(Carpe diem)精神に通じ、バレエ『薔薇の精』の儚く美しい夢とも響き合います。
「今日という日に、人生のバラを摘みなさい(Cueillez dès aujourd’hui les roses de la vie)」というロンサールの言葉は、まるでバレエダンサーの生き方そのものを写しているようです。
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