マネージャーになりたい(憧れ編)
同期が昇格したとき、私は初めて“マネージャー”という言葉の重さを知った。
マネージャーへの憧れが、現実へと変わる
私は、外資系コンサルティングファームに勤務している。
毎日が、緊張と刺激に満ちた日々である。
ここで働く多くの人が、「マネージャー」という肩書きを手にするため、日々必死に戦っている。
私も例外ではなかった。
クライアントの信頼を得て、チームを導き、プロジェクトを成功に導く存在。
それが、私の目に映る「マネージャー」の輝く姿である。
しかし、このときの私は、
自分が見ていたのは、そんなマネージャーの“ほんの一部分”であることに気付いていなかった。
同期の昇格通知が届くまでは。
同期の昇格
同期のひとりが、ついにマネージャーに昇格した。
社内チャットには祝福の言葉が並び、拍手のスタンプがあふれている。
おめでとう。
私もチャットにそう入力しながら、言葉とは真逆の感情が自分の中にあることに驚いた。
ここにいる誰もが、クライアントに価値を提供するため、周囲よりも成果を出すために日々戦っている。
そして、外資系のコンサルティングファームに身を置く者なら、誰もが負けず嫌いで生意気なのは言うまでもない。
だからこそ、追い越されたことへの悔しさ、
周囲が祝福する姿への言葉にできない妬みが、私の中にも確かにあった。
彼とは同じタイミングで転職し、同じように深夜まで働いてきた。
能力的にも、大差があるとは思っていなかった。
それでも
先に次のステージを上がったのは、彼のほうであった。
マネージャーへの憧れ
同期の昇格を目の当たりにして、私は改めて自分の中にある「マネージャーへの憧れ」を強く意識した。
プロジェクトの方針を決め、クライアントから一目置かれる存在。
そんな姿が、光のように輝いて見えた。
自分もいつかあの立場に立ちたい。
いや、いつか自分もマネージャーになる、と何の疑いもなく思っていた。
その思いは、日々の仕事の原動力になっていた。
忙しくても、困難な課題に直面しても、前に進む力を与えてくれる。
何かあればあの人の意見を聞きたいと思わせてくれる存在。
そんなマネージャーを、私は目指していたのである。
マネージャーとは
マネージャーとは、プロジェクトの進行管理、クライアント対応、チーム育成、戦略的提案による付加価値創出を担う中間管理職である。
簡単に言えば、「プロジェクトを成功させ、チームとクライアントに価値を届ける舵取り役」である。
そんなマネージャーを、外資系・日系を問わず、コンサルティングファームは、キャリアパスとして明確に設定している。
しかし、その明確さは同時に、次の段階への責任と重圧を伴うことを意味している。
ここで一度、コンサルティング業界におけるキャリアの全体像を整理しておきたい。
Analyst/Associate(新卒~3年目前後)
主要業務
・データ収集・加工(Excel, SQL, BIツール)
・市場・競合リサーチ、インタビュー補助
・PowerPoint資料作成、議事録作成
・モデリングや調査結果のファクトパック作成
報酬水準(年収目安)
・500万~700万円
Consultant/Senior Consultant(3~5年)
主要業務
・ワークストリーム(WS)のリード
・課題設定・仮説立案、分析方針決定
・クライアントとの日次コミュニケーション、レビュー対応
・後輩の指導
報酬水準(年収目安)
・700万~900万円
Manager/Assistant Manager(5~7年)
主要業務
・プロジェクト全体または大規模WSの責任者
・スコープ・予算管理、リスクコントロール
・提案書作成・社内承認リード
・メンバー5~10名のマネジメント
報酬水準(年収目安)
• 900万~1,200万円
Senior Manager(7~10年)
主要業務
・複数プロジェクト・ポートフォリオの統括
・事業開発(テーマ設定、提案リード、案件クロージング)
・Thought Leadershipの発信(セミナー、ホワイトペーパー)
・既存顧客深耕(ファーミング)
報酬水準(年収目安)
• 1,200万~1,800万円
Director/Associate Partner(10年~)
主要業務
・セクター/ソリューションのリード役(P/L責任)
・グローバル連携・アライアンス推進
・キーアカウントのハイレベル関係構築
・パートナー昇格に向けたビジネスケース作成
報酬水準(年収目安)
• 1,800万~2,500万円
Partner(Equity / Non-Equity)
主要業務
・ファーム経営:戦略策定、投資判断、人材・ガバナンス
・売上・利益最大化:大型案件受注、グローバル案件統括
・リスクマネジメントおよび品質管理の最終責任
・次世代パイプライン構築、ブランド発信
報酬水準(年収目安)
・2,500万~数億円(Equityパートナーの場合はさらに変動)
本記事で言うマネージャーとは、上記のManager/Assistant Managerのことを指している。
※上記のキャリアパスはあくまでも一例であることを、断っておく。(参考資料は文末に記載)
同期との飲み
少し時間が経ち、マネージャーに昇格した同期とサシで酒を飲むことになった。
同期の昇格通知への悔しさや嫉妬は、日々のプロジェクトの忙しさが、すぐに忘れさせてくれていた。
私:
「改めて、マネージャーへのプロモーションおめでとう。さすがやな、パートナーへの道もさらに近づいたんやない?」
同期:
「ありがとう。でも、想像以上やわ。」
私:
「え?そうなん?」
同期:
「うん、、、まあでも今日はとことん飲もう」
私:
「おう」
お酒も進み、仕事やプライベート、馬鹿話に花を咲かせていた。
飲み会も終盤に差し掛かった頃、同期も酒が回っていたのか、おもむろに話し始めた。
同期:
「正直、マネージャーよりコンサルタントの方がいいわ。」
マネージャーになると、プロジェクトの現場責任・クライアント対応・組織の数字・部下の育成など、負担が一気に増え、土日もなくなるという。
私:
「そうなんや、、」
同期の疲れ切った顔を見て、私はそれしか言えなかった。
グラスの氷が溶ける音だけが、妙に静かに響いていた。
そんな同期との会話から、私はようやく深く考えるようになる。
自分はまだ、マネージャーという存在を本当の意味で理解していないのではないか、ということを。
自分への問い
マネージャーになることは、単なる肩書きの通過点ではなく、自ら選ぶ道である。
チームを背負い、成果と成長の両方を求められる立場。
その現実を見たとき、私は初めて立ち止まり、自分自身に問いかけた。
マネージャーの大変さを知った上で、それでもその道を進む覚悟はあるのか。
これまで漠然と抱いていた憧れだけでは、決して歩めない道であることだけは理解できた。
結び
昇格を夢見ることは容易である。
しかし、現実を知った上で、
「それでもマネージャーになりたい」と手を挙げ続けられる人が何人いるだろうか。
物事には、良い面とそうでない面が必ず存在する。
我々は、本当に物事を正しく理解できているのだろうか。
漠然とマネージャーになりたいと思っていた私は、今回の同期の話を聞き、正直戸惑った。
それは、マネージャーという、いつも身近にいた存在でさえも正しく理解できていなかったということに他ならなかった。
私は、マネージャーの良い面だけしか見えていなかったのである。
マネージャーには、権限や報酬が増える一方で、責任やそれに伴う労働時間も増えてくる。
そのような働き方を、迷わず選べるだろうか。
私は、なんのためにマネージャーになりたいのか。
そもそも、なんのために働いているのか。
そんなことが頭の中を巡りながら、私は自分の中の問いの目鼻立ちをはっきりさせようと踠いていた。
読者への問い
もしあなたが今、マネージャーを目指しているとしたら、
あなたは、権限や報酬だけでなく、責任や負荷まで見えているだろうか。
自分はなんのためにマネージャーになるのか、と問われたとき、迷わず回答できるだろうか。
私は、この問いに対して、もう少し向き合いたいと思う。
次回の記事
<参考>
https://consulfree.com/blog/consultant-salary/
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ありがとうございます😭