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僕は僕じゃない 最終話

@Riku

———この街にブックカフェを開いた経緯をお聞かせください。

 まず、私が読書好きということです。子供の頃から好きだったのですが、私の家族は皆、体育会系といいますか、外で身体を動かすことが大好きな人達でした。だから、私が家にこもって読書をしていると、心配されてしまって、外に放り出されていたんですね。だから、読書は恥ずかしいものだって、思い込んでしまったんです。それでも、読書はやめられず、家族に隠れてこっそり読んでいました。

 そのまま大人になったわけですが、ある時、とても面白い本を読みまして、誰かと感想を共有出来たらいいのにって、思ったんです。ですが、私の友達には、読書が好きな人なんて一人もいませんでした。だから、SNSで本のタイトルを検索して、感想を呟いている人を探したんです。それで、見つけた人と感想を共有し、その後も、続編の感想を話したりして、仲良くなっていきました。読書仲間を得た喜びがありました。

 ある時、その人が「夢はありますか?」と訊いて来たんです。「模索中だ」と答えると、没頭出来る読書の先に、何かあるんじゃないかって助言をくれました。それで、ひらめいたんです。読書好きが集まるカフェを開きたいと。

 私自身が、ずっと一人で読書をしていて、仲間がいなかったものですから、読書仲間を増やせるような環境があれば素敵だなと思いました。

———つまり、そのSNSの読書仲間の助言がなければ、このブックカフェはなかったと。

 そうですね。彼には感謝しているんです。

———まだ、その彼とは交流はあるのですか。

 いえ。その後、徐々に疎遠になってしまいまして。

———では、彼は、このブックカフェの存在を知らない?

 そうなんです。と、いうのも、実は、私、彼と仲良くなりたくて、男だって、自分の性別を偽っていたんですね。だから、実際に会うわけにもいかず。でも、私の恩人のような人ですから、このブックカフェを開くにあたって、お礼を言いたいんです。もし、彼がこの記事を読むことがあったのなら、ぜひ、来店してほしいですね。一生、コーヒー無料にします。


@Kanata

———作品が生まれた経緯を教えてください。

 執筆したきっかけは、友人からの助言です。友人と言っても、会ったこともない人なんです。私は三年前、失業していた時期がありました。その時、時間を持て余していたので、読書をしていました。ほとんどミステリー小説です。それで、SNSに感想を呟いていたんですね。その時、私の感想に共感してくれた人がいて。その人と、お互い、読んだ本の感想を言い合ったりして、仲良くなりました。

 ある日、その人と「夢」について話しました。ちょうど、目標を見失っていましたので。そして、好きな読書の先に、夢があるのではないかって、話になりまして。

———主人公も読書好きで、お供に飲んでいたコーヒーにこだわりを持ち始めて、お店を開くという経緯がありましたね。

 そうです。私は、例え話のつもりで、その話をしたんです。そしたら、彼が、その例え話をもっと膨らませたらどうかと。それで、マスターが実は、凄腕の元暗殺者だという設定を話しました。それを聞いた彼が、物語を生む側になったらどうかと。執筆の経験などありませんでしたから、無理だと言ったのですが、試しに書いてみてから考えたらいいと。で、挑戦した次第です。

———初めての執筆だったのですね。

 はい。初めてでしたので、なかなか、うまくはいきませんでした。読むのと書くのとでは大違いですね。ようやく書き上げても、つまらなくて、自分にはやはり才能がないのだと思いましたけど、何度も何度も書き直して、ブラッシュアップして、ようやく、完成しました。こんなに何かに打ち込めたのは、生まれて初めてだと思います。

———それほど、思い入れのある作品ということですね。

 はい。執念ですね。

———その友人とは、今も交流があるのですか。

 いいえ。その後、疎遠になってしまいまして。せっかく書き上げた作品も、読んでもらっていないのです。彼のおかげで、この作品が生まれたわけですから、お礼を言いたいです。でも、出来ないんです。私は、彼に対して、嘘をついていましたから。

———嘘とは?

 性別を男だと偽っていたんです。だから、直接会うことも出来ずで。

———彼が、この記事を読んでいたらいいですね。

 はい。そうですね。彼は、ブックカフェを開くという夢を持っていました。もし、その夢が叶っていたら、私の本も置いていただければ嬉しいです。


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