ポール・ボルカー |20%の金利でインフレを「殺した」死神の正体【FRB議長列伝 ①】
米国株投資家にとって、2026年は歴史的な転換点になります。 次期FRB議長候補、ケビン・ウォーシュ氏が掲げる「レジーム・チェンジ(体制転換)」。その真意を理解するためには、50年前に同じく「常識を破壊」して世界を救った一人の巨人の物語を知らなければなりません。
第12代FRB議長、ポール・ボルカー。 身長2メートルを超える大男が、いかにして狂乱のインフレを「粉砕」し、現代に至る強いドルの礎を築いたのか。そこには、2026年の相場を生き抜くための決定的なヒントが隠されています。
1. 「今日より明日、お金の価値が下がる」絶望の時代
1970年代のアメリカは、今の比ではない地獄絵図でした。 インフレ率は13%を超え、国民は貯蓄を捨てて物に走りました。当時のFRBは政治の顔色を伺い、利上げをしては景気後退を恐れて止める「ストップ・アンド・ゴー」を繰り返し、市場の信頼は地に落ちていたのです。
「FRBはもう、インフレを止める気がない」 そう世界が諦めかけた1979年、ボルカーが表舞台に現れます。
2. 伝説の「サタデー・ナイト・スペシャル」
就任からわずか2ヶ月。1979年10月6日、土曜日の夜。 ボルカーは市場が閉まった後に緊急会見を開き、これまでの金融政策を根底から覆す宣言をしました。
「これからは金利を調整するのではない。世の中に出回る『お金の量』を直接絞り込む」
この瞬間、市場の金利はコントロールを失い、垂直上昇を始めます。1981年、FF金利は驚愕の20.0%に到達。全米から悲鳴が上がり、ボルカーの元には「お前のせいで家が建たない、この材木を棺桶に使え」と、工務店から建材が送りつけられる日々が始まりました。
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