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祖母の着物を捨てなかった母。モノのために“機会”を作るという発想

「使っていないモノは手放す」
これは、持たない暮らしやミニマルな暮らしを実践するうえでの基本ルールだと思う。

使わないモノを持っていても、管理の手間が増えたり、スペースを圧迫したりと正直、いいことはあまりない。

だから私は、使っていないモノは処分したり、売ったり、譲ったりして、別の道を歩ませるのがベストだと思っている。

……と、思っているんだけど。

「モノを使う機会がないなら、作ってしまえ!」
そんな逆転の発想で、眠っていたモノを見事に復活させた人がいる。
それが、私の母だ。

今から10年ほど前、祖父母の家の生前整理をした。
そこで出てきたのが、祖母の着物だった。

母自身、着物をほとんど着てこなかった人だ。
最後に着たのは、自分の結婚式。
それ以来、着物を着ていない。

とはいえ、祖母が大切にしていた着物。
このまま処分するのは、どうしても心苦しい。

売ることもできる。
捨てることもできる。

「せっかくなら、活かせる道を作ろう」

そうして母は、一念発起する。

母がまず考えたのは、
「どうせなら、自分の親を見送るときは、自分で黒紋付を着られるようになりたい」
ということだった。

そこから、着物の着付け教室に通い始める。

祖母から受け継いだ着物は、
肌着と足袋以外はすべて揃っていたそうだ。
必要なモノがすでにあるというのも、教室に通うハードルを下げたのかもしれない。

教室では、同年代の仲間たちと和気あいあい。
「難しそう」「高いものを買わされそう」という着物教室のイメージとは裏腹に、
気の合う仲間たちと楽しみながら、着付けを学んだという。

そして、その流れで生まれたのが「着物の会」だ。

「着物の会」とは、
1〜2か月に一度、着物を着て、ちょっといいご飯屋さんで食事をする会だ。

着物というと、結婚式や七五三、お正月など、
イベントがあるから着るものというイメージが強い。

でも母たちは、着物を着たいからイベントを作ったのだ。

母は、祖母の着物を着たり、
自分の振袖の袖を短く仕立て直したりしながら、
着物を「特別なもの」から「楽しむもの」へと変えていった。

あえて機会を作ることで、
眠っていたモノは、再び息を吹き返した
のだ。

母だって、祖母の生前整理のタイミングで、
着物を手放すことも、もちろんできた。

ミニマルな視点で見れば、
「使わないなら処分する」が正解かもしれない。

でも、苦労して生きてきた祖母の着物を受け継ぎ、
それをきっかけに新しい趣味が生まれ、
退職後の人生を楽しんでいる母を見ていると、
それってすこい幸せじゃない?と思う。

正直、モノとしては増えている。
でも、定年後の人生を充実させている母を見ると、娘の私も嬉しくなる。

「持つ」「手放す」の二択だけじゃなく、
「活かす」という選択肢も、なかなかいいなと思う。

いずれ、母から私へと着物が受け継がれる日がくるだろう。

正直に言うと、
今のところ、私は着物にそこまで興味はない。

でも、もしその日が来たら。
まずは一度、着てみるのもいいかもしれない。

モノを減らすことも大事。
でも、モノが人生を広げてくれることもある。

「モノを使う機会がないなら、作ってしまえ!」

そんな考え方も、
持たない暮らしの中の、ひとつの正解だと思っている。

🖊 この記事を書いた人
Amemi/アメミ
ミニマリスト / 整理収納アドバイザー / 転勤族
引越が多すぎてミニマリストになりました。
持たない暮らしをテーマに執筆中。
📌 X(旧Twitter):@amyminimal
📌 ブログ:https://amyminimal.hatenablog.com/
📌 stand.fmhttps://stand.fm/channels/65de917a53b400abe2b8e0f8

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