南インド文化オタクが、インド人の憧れ「トリシュール・プーラム」に参加してみた。
こんにちは。南インド文化オタクの「チェンダさん」です。
普段は、南インドの伝統太鼓「チェンダ」を、中東で習っています。

そのチェンダが主役となる祭りがあるということで、2026年4月26日から27日に開催された「トリシュール・プーラム」に参加してきました。
トリシュール・プーラムとは?
象と太鼓が、主役のお祭り。
ケーララ州トリシュール(Thrissur)で毎年開催される、象の行進とチェンダ(太鼓)演奏で有名なヒンドゥー教のお祭り。
寺院ごとの神像を載せた多数の象が街を練り歩き、夜通しの太鼓演奏と、地響きするほどの大量の花火が有名。
動員数は、アジア最大級とも言われる超大規模イベント。

「プーラム」自体は、ケーララ州の大小様々な寺院で行われるお祭りですが、その中でも桁違いの規模で行われるのが、このトリシュール・プーラムです。

トリシュール・プーラムはインド人の憧れ?
私が暮らす中東には、インド(特にケーララ州)出身の出稼ぎ労働者が数多くいます。
ケーララ州は、インドでも最大の労働力送出国となっており、ケーララ州出身者は、中東に限らず世界中で労働力として活躍しています。
トリシュール・プーラムのタイミングはケーララに帰省する航空券も高騰することから、世界各地で働くケーララ出身者の「憧れ」のようなお祭りとなっています。
2026年は悲しい事故により規模が半減された。
2026年のトリシュール・プーラムは、象の数は半減、最大の目玉である夜の花火は中止となりました。
これは、祭の準備作業が進む中、花火が暴発し、複数人が亡くなる事故を受けての判断となりました。
会場で聞いた話によると、規模縮小の影響を受けて、来場者は例年よりもかなり少なかったのだそう。

日本人が、トリシュール・プーラムに参加してみた。
一日目の朝は6時から。
このトリシュール・プーラムは、2日間の日程で行われるのですが、実質的には1日目の早朝から、2日目の正午までが祭りとなります。
大まかなプログラムは例年同じなため、私もAIにスケジュールを相談しつつ、ホテルやエアコンの効いたレストランで休みながら、計画的にプログラムを楽しみました。
その中でも最も印象的だったのは、初日早朝の象と楽隊の行進です。
インド人によっては、期間中同じことの繰り返し(象の行進と楽隊による演奏)なのだから、早朝はパスしても構わないと言う人もいましたが、個人的には、初日早朝の象の行進が一番ぐっときました。
早朝6時。
まだ太陽の昇りきらない、少しくすんだ空色の中、象たちが一歩一歩と寺院に入場していく姿は幻想的でした。

日中は、寺院内部、寺院前広場など、街のあちこちで、象の行進と楽隊による演奏が繰り広げられます。

普段の寺院は異教徒の入場を制限していますが、トリシュール・プーラムの期間だけは、異教徒や外国人の入場が認められます。



日没後は、楽隊の編成もメロディアスに。
日中のトリシュール・プーラムは、チェンダ(バチで叩く太鼓)が楽隊の主役でしたが、夜は楽隊の編成が変わり、メランコリックな曲調にがらっと変わります。

幻想的な楽器の音色とは裏腹に、おじさん奏者たちのボルテージは上がり続けます。

私は、夜の楽隊の編成が好きすぎて、4か所ほど楽隊の後ろをついて回り、夜の演奏に聞き惚れていました。
有名なプログラムは、数時間待ち必須
トリシュール・プーラム最大の見どころである地響きするほどの花火は中止となりましたが、ほかにも見どころはあり、傘交換(象の上で高速で色とりどりの傘を交換する)、クロージングセレモニー(象2頭が向き合って別れの挨拶をする)などを観ようと思えば、数時間単位での場所取りと、汗だくの人ごみに揉まれる経験は必須でした。

寺院に近いホテルと、エアコン付きのレストランは必須。
トリシュール・プーラムは、雨期直前の乾期に行われます。
この時期のインドは、とんでもなく強い日差しと湿度とで、体感温度は40度以上にまで上ります。
また、祭り期間中は、寺院周辺に交通規制がしかれるため、移動手段は制限され、ある程度は徒歩による移動が必須となります。
したがって、2日間の祭りを乗り切るには、休憩場所の確保が重要となります。
私は、寺院から徒歩5分程度の場所にホテルを取っていました。
寺院周辺はトイレの場所もわかりずらく、トイレと休憩のためにしょっちゅうホテルへと帰っていましたが、これが体力温存に功を奏しました。
ホテル側も足元を見ているため、料金は通常の6倍以上に値上がりしていましたが、体力のためには致し方のない出費だったと思います。
また、エアコンの効いたゆっくり休めるカフェやレストランを見つけておくことも重要です。ただし、祭り期間中は、寺院周辺のレストランやカフェはとんでもなく混みます。

南インド文化オタク的には、トリシュール・プーラムは「懐かしい」。
「懐かしい」
この感覚が一番しっくりくる感覚でした。
子どもの頃に見た地域の祭り、御殿屋台…特に私が生まれ育った地域は「踊り念仏」がまだ継続している地域であるため、太鼓、鐘や笛の楽隊が地域を練り歩き、儀式的な音色を奏でる様子は「なんだか懐かしい」と思える風景でした。
象や上半身裸の男たちなど、南インドらしさはありつつ、根っこの部分では、南インドも日本も、同じアジアとして共通の文化基盤を共有していることを感じてほっこりする経験となりました。
