八ツ山町は、棄舎(すてや)町~とある人外が出没してた盛り場。ホスクラとかキャバクラが多いのだ~とはちょっと違う感じの繁華街だ
二つの情報が交錯する
ダンスホールやディスコティックで賑やかしい
という説と、
人っ子ひとりいない
という説
あまりにちぐはぐな噂の立つこの町を、私はずっと危惧してきた
これまでのバイトちゃんたちにも戒めてはきたのだけど、タチバナはやっと店慣れしてきただけの、ほとんどずぶの素人さんだったから、まだちゃんと伝えてなかったのだ
最初に言えばよかった
ここのところ大きな災厄もなかったから私、油断していたのだ
唇を噛む私を、お姉さんは面白そうにみていた
さすがはバーものののマダム
状況理解してますね
わかってるわけではないわ
でもあのあたりで起きそうなことはだいたい感じててよ
それで十分です
入りましょう
分厚い、~つまり完璧な消音の~両開きの大扉の中は
光と音の洪水だった
ミラーボールで拡散されてるたくさんのレーザービーム
若い、美しい男女ばかりのいる社交場
踊る男女はうっとりとお相手ばかりに見入っていた
恋ならいい
恋という媚薬にのまれているだけなら、それはそれである種の人生経験だ
でも
そこにあるのは恋ではなく、もっと即物的で妖しげで
場の空気に酔わせるためだけのまやかし的な何かだった
特にタチバナに触れている、『その男』『たち』が妙におかしい
人のような
そうでないような
八人の
男・・・?
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