出勤の方向は多くの皆様と逆だ
皆様が帰途につかれるとき
私は店に『出勤』するので
最寄り駅で降りて、そこからは徒歩
その日は道道妙なものを見た
血痕
点々と
店まで
店内には既に彼女がいて、勝手に包帯の在りかを探していた
ご出勤?
遅おい
私の店なんだからいいの!
何で血滴らせて歩ってんの
こないだ包丁でちょっと切っちゃってさー
傷口乾いたからいっか、って思ってほうってたら、駅前で傷口開いちゃって
うちに帰るよりここのが近いと思って
包帯借りたー
朱がまだらに染みた包帯を振り回す十和子に、私はため息しかなかったが
道に鬼火点々とついてるぞ
十和子きてるだろ
尻目氏が入ってきた
私が通ったときは血痕だけだったけど?
燃えんだよ鬼の血は
砂かけに頼んで消して回ってもらっといた
後で酒奢れよ?
血が燃える?
聞いてないぞあたし!
と見遣ると、十和子の手の包帯からもチロチロと
青い炎がこぼれてる
ごめえん
店燃える!!
十和子めえええええ!
#ものの町日常
#連作の伍拾四
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