3段階思考とナラティブカード -問題解決方法の手段として-
2024年にタロットをベースとした「ナラティブカード」をカードとアプリで製作しました。
タロットは占いです。ナラティブカードは、占いというより情報整理のためのツールと考えています。情報を整理し、目的を達成する為に、どういったことが必要なのか、ということを考えました。その制作の背景を少し書きたいと思います。(ナラティブカードに関しての詳細は、また別の機会に書きたいと思っています。)
1) 戦略とは?(戦略の階層、目的遂行の為に)
2) 3段階思考
3) 3段階戦略の階層
4) 3段階戦略の応用
5) ナラティブカード
1) 戦略とは(戦略の階層、目的遂行の為に)
古今東西、問題を解決するための知恵があります。孫子の兵法、トゥキディデスの戦史、マキャベリの君主論、クラウゼヴィッツの戦争論などなど。これらは国家間の問題解決(というより、いかにして勝つか)のためのもの。個人レベルの人間関係に特化しているわけではありませんが、これらの考え方は、人間関係にも応用が利きます。近代の戦略学は、安全保障の目的を達成するための学問です。戦略学において、プライオリティーの階層がいくつかあります。例えば、イギリスの国際政治学/地政者コリン・グレイの軍事戦略に関する階層概念は、
世界観 (Worldview)
政策 (Policy)
大戦略 (Grand Strategy)
軍事戦略 (Military Strategy)
作戦 (Operations)
戦術 (Tactics)
技術 (Technology)
となっています。また、アメリカの地政学者エドワード・ルトワックや、地政学者の奥山真司さんの戦略の階層でもこれに近い構造を提唱しています。
例えば、、、こちらは戦略に関する、航空自衛隊の佐久間一修さんによる戦略学の論文です。
https://www.mod.go.jp/asdf/meguro/center/aspw10/aspw03.pdf
日本の国家戦略でいうと、2022年12月岸田政権下で制定された国家安全保障戦略
で書かれているように、
主権と独立の維持
経済成長を通じたさらなる繁栄
自由で開かれた国際秩序
がビジョンで、最重要項目です。これらが万が一脅かされた場合、最悪、交戦ということになります。行き過ぎたリベラリズムを提唱する人々の中には、国際法や憲法の誤った解釈を喧伝したりしますが、自衛権は国連憲章51条に規定されている個別的または集団的に武力を行使できる固有の権利。また、リアリズムの観点からすると、そもそも国際法はあっても、国家以上の最高権威は世界に存在しないので(国連は最高権威ではない)、それが破られても取締りのしようがない、というのが現実です。(だからといってルールを無視していいと言っているわけではありません。もちろん、国際法は一定の効力を発揮し、エスカレーションへの予防になっています。)
そこで、しばしば起きる問題 → 「目的」と「手段」がごちゃごちゃになる
これは、誰にでも起きるし、僕にも起きます。国家レベルの議論でもしばしば起きます。つまり、戦略の階層、目的=世界観で、手段=作戦、戦術、技術、が逆転してしまうことです。直近の話題では、アメリカのベネズエラ/マドゥロ拘束についての論評で賛否が分かれています。これを戦略の階層で見ていくと、どうでしょうか?マドゥロのこれまでやってきたことは、、、国内では1/4の国民800万人が海外に逃れ、GDPは80%近く落ち込み、マドゥロ自体、麻薬の輸出の音頭をとっている、さらに、社会主義で反米、これはすぐ隣のアメリカにとっては大問題。オバマ大統領の頃から経済制裁を受けています。こんな状態なのに、仮に「手段」と「目的」が逆転し、
「手段」=国際法を遵守するために、
「目的」=自由で開かれた国際秩序
が仮に犠牲になっては、元も子もありません。国際法は国際法を守るためのものではなく「国際秩序を守るための手段」です。「国連の安全保障理事会があるじゃないか!」という意見もありますが、その安全保障理事会が機能していなかった結果がこれです。情報は様々で、推測はできても、100%事実を特定するはむづかしい。今後の結果がどのようになるかで、評価が変わるかもしれません。これで仮にベネズエラの国内が回復し、周辺諸国にも良い影響がでれば、正当化されるでしょう。(逆に、今後国際的に混乱をきたすようだと、正当化はされませんが、それでも現状アメリカのパワーは強大、文句を言える国はないかもしれません。)
2) 3段階思考
物事を「3つに分けて考える」は、白黒思考、0/100思考より、あらゆる面に関してサスティナブルな結果をもたらします。一般的には、物事を良いか悪いか、善か悪か、という2元論で考えがちです。僕もしばしばそうしてしまいます。ところが白と黒の間にはグレーがあり、0/100の間には50や83など存在します。この「間には何かある」という感覚を導入するだけで、極端な思考が抑えられ、これがリスクヘッジとなります。極端な思考は常にリスクを抱えているからです。ただし、緊急の課題に直面した時には、不向きかもしれません。なぜなら、この思考には時間がある程度必要だからです。究極の、緊急の選択を迫られた時、グレーゾーンを思考していては、生命を危機にさらすことさえあります。
3段階思考の例は、
チャレンジする内容を「1ホップ、2ステップ、3ジャンプ」で考える
嗜好を「1好き、2嫌い、3どちらでもない」で考える
話の内容を「1起、2承、3結」で考える(もちろん転を入れても良いです)
絵を描く時「1暗部、2明るい部分、3中間色」でとらえる
などなど。。。
2元論は、素早く、簡単ですが、誤解を生みやすく、リスクがあり、歪みを生じさせやすいです。それに、ちょっと頑張って、もう一つの要素をプラスし、3段階思考を行ってみてはどうでしょうか?
3) 3段階戦略の階層
さて、どうでしょう、戦略の階層に戻りますが、1)の分け方は専門的で正確かもしれませんが、理解するのが容易ではありません。少し雑にはなりますが、もっとわかりやすくするため、3段階思考で、
世界観(ビジョン) :個人/組織のアイデンティティ、理想、ナラティブ
戦略 :個人/組織が現状の社会でどのように機能するか
戦術(技術) :個人/組織の能力、技術
と考えてみると、ぐっと気が楽になるのではないでしょうか?
4) 3段階戦略の応用
この3段階による戦略思考は、あらゆる面で有効です。ビジネスや芸術創作活動にもそのまま当てはめることができます。例えば、絵を描く、といった場合、よくあるパターンとして、世界観(ビジョン)が
1) 有名になる
2) 自分が納得できる良い絵を描く
3) お金を生み出す絵を描く
などあげられます。
ほとんどの芸術家にとって、これらのビジョンは、どれも大事、と答えるでしょう。ただ、個人の場合リソースは限らているので、ひとまず、もう少し突き詰めて考えると、さらに明快になります。仮に「やっぱり何よりもお金だ!」となれば、
戦略→なんでも仕事として受ける
戦術→応用力を鍛える
など、それぞれ明確になります。ビジョンが曖昧だと、戦略、戦術も曖昧になり、的が絞りにくくなります。つまり個人の場合、何が重要なのか、
『腹を括(くく)ること』 = ビジョンを極力明確にすること
が重要だという考え方です。この背水の陣的思考を取った時、物事がそれに合わせて動き回ります。
3段階思考を「国政選挙」の投票のプライオリティーに当てはめてみましょう。自由主義の国家運営で重要な階層は、
安全保障
経済
社会保障
この順番です。この順番が崩れると、全てが狂い始める。例えば、社会保障のことばかりケアをして、外国からの物理的、間接的な、あるいはサイバー攻撃などに注意を払わないと、その国は他国に侵略を許すことになり、結果的に社会保障どころではなくなります。ですから、候補者、政党選びをする際、主張するプライオリティーが現実に即しているか、理想論ばかりの場合、現実的な方法が示されているか、などがポイントになります。
3段階思考を僕たちの「生活」に当てはめて考えてみると、
健康
社会的ルール
やりたいこと
という順番になります。健康を無視してやりたいことを優先したら崩壊しますし、みんなが社会的ルールを無視してやりたいことを優先したら、社会は崩壊します。これは子育てにも当てはまります。躾なしにやりたいことだけ子供にやらせるわけにはいかないですし、貧血でクラクラしているのに朝礼で立たせておく、なんてこともあってはならないことです。
5) ナラティブカード
僕が作った『ナラティブカード』では、
未来 (可能性)
現在 (テーマ)
過去 (影響)
に分けて、問題に取り組むように作りました。このカードは、タロットのコンセプトをそのまま応用していますが、未来予知や占い、など不確実な未来を「占う」というより、その未来に対して「どのように対処したら良いかの可能性を探る(思考する)」ために作りました。自分の人生の中のある期間を3つの期間に分け、そこで起こったことをわかりやすく整理し、今までバラバラだった事象を結びつけて自分のお話(ナラティブ)を構築することによって、思考を発展させることが目的です。


人は必ず困難に直面します。シリアスなことでなくとも、例えば、作曲をしていて「良いとこまできているが、どうもしっくりこない、、、」など壁に突き当たった時、このカードを使うことによって、自分の思考を整理して、少しでもアイディアのきっかけになってくれたらいいな、と思っています。「戦略学」はとても高度でむづかしい。ただ、このエッセンスは全ての意思決定に有効なので、それをなるべく、誰にでも、楽しく、わかりやすいようにするのが僕の目的です。
