その子、保育士にはこう見えます。①「外ではいい子なのに、家で大暴れする子」の正体
保育士をしていると、保護者の方からこんなご相談をよくいただきます。
「先生、うちの子、保育園ではどうですか?」
そう聞かれたときに、 「え? すごくいい子ですよ」 とお答えすると、とても驚かれることがあります。
「家では全然違うんです。」 「すぐ怒るし、泣くし、甘えるし……。」 「園ではちゃんとできているのに、どうして家ではこんなに大変なんでしょう。」
20年間、たくさんの子どもたちを見てきました。 そして結論からお伝えすると、こういう子は決して珍しくありません。
むしろ、園でその子を見ていると、「この子、すごく頑張ってるんだな」と感じることばかりです。
1. 園で見せる「お手本のような姿」の裏側
保育園での子どもたちは、私たちが思っている以上に、周りを見ながら過ごしています。
先生の話を聞く。
お友達に合わせる。
順番を待つ。
自分の気持ちを少し我慢する。
困ったことがあっても、すぐには泣かずに頑張る。
そんな「お手本のような姿」を必死で見せている子がいます。
だから私は、親御さんにこうお話しします。
子どもにとって家庭は、園とは違う場所です。
園では「社会の中の自分」として過ごしていても、家に帰れば
「甘えたい」
「抱っこしてほしい」
「自分の気持ちをわかってほしい」
という気持ちを、
園よりも素直に出せることがあります。
だから、家で泣いたり、怒ったり、わがままを言ったりする姿だけを見て、「この子は外ではいい子なのに……」と悪い方向に考えすぎなくても大丈夫ですよ。
2. 「甘えさせる」と「言いなりになる」の決定的な違い
ただし、ここで一つだけ、とても大切なことがあります。
「家で大暴れするのは安心している証拠だから、全部受け止めればいい」というわけではありません。
ここは、分けて考えてほしいのです。 「甘えられること」と「何でも許されること」は違います。
気持ちを受け止める: 「今日は抱っこしてほしいんだね」「嫌だったんだね」
境界線を示す: 「でも、人を叩くのはやめようね」「それは今日はできないよ」
家庭が「子どもの気持ちを大切にする場所」になることと、「子どもの言うことが何でも通る場所」になることは、同じではありません。
以前、あるご家庭のお話を聞いていて、「家庭の中で、子どもがピラミッドの頂点にいるような状態になっているな」と感じたことがありました。
子どもを大切にすることと、家庭の中心をすべて子どもの機嫌に合わせることは、少し違います。
子どもを大切にするあまり、子どもの機嫌を最優先にする。泣かせないようにする。怒らせないようにする。その結果、大人がどんどん我慢してしまう……。
こうなると、子どもにとっても家庭がかえって苦しい場所になってしまいます。
甘えは受け止める。でも、家庭の土台(ルール)まで子どもに任せなくていい。 これが、私が保育士として大切にしてきた考え方です。
3. 「外での姿」も「家での姿」も、どっちも本当の我が子
園で頑張っている子が、家で甘える。 それは「外ではいい子、家では悪い子」ということではありません。
もしかすると、その両方が、その子の本当の姿なのだと思います。
園で頑張っている姿も、その子。
家で泣いて、怒って、甘えている姿も、その子。
だから、お家で大変な姿を見せたとき、「どうしてこの子は……」と責める前に、一度だけ見方を変えてみてください。
「この子、今日もいっぱい頑張ってきたのかな」
そして同時に、自分自身にも優しく問いかけてみてください。
「私は今、この子の気持ちを受け止めながら、大人としての役割も果たせているかな」
子どもを甘えさせることと、子どもの言いなりになることは違います。
安心できる場所だからこそ、甘えられる。 安心できる場所だからこそ、大人が「ここまではいいよ」「ここからはダメだよ」と教えてあげられる。
そんな家庭こそが、子どもにとって本当に安心できる場所なのだと思います。
