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告白

告白します。
実は、僕は世に云うところの大富豪なのかもしれない。
ま、大はつかないまでも、富豪の部類には入るだろう。僕は高校で教師をしてるから、誰も信じてくれないけれど。

内緒にしていたわけではないが、敢えて人様にいうことでもないと思っていた。だけど、最近隠し通すのが心苦しくなってきた。ネス湖のネッシーや、イギリスのミステリーサークルの嘘を隠し続けられなかった人たちの気持を理解できる年に僕も近づいたからかもしれない。

うちの庭の広さは4haほどある。結構広い。春には桜が咲き、秋には見事な紅葉を楽しめる。庭の北側に丘があり、冬はソリ遊びを楽しめる。庭の中央には林があり、散策用のトレイルを巡らせている。鳥のさえずり聞きながら散歩をするのが僕の楽しみだ。僕はアウトドアが苦手なのでやらないがバーベキューやボール遊びも楽しめる。庭の南の隅に小さな東屋があり、今僕はそこに座ってこの文章を書いている。頬に触れる風が心地いい。

少し離れたところに25メートルのプールがある。日本で25メートルプールを持っている家は珍しいだろう。大富豪と呼ばれても仕方がないかもしれない。誰ひとりいないプール、波ひとつないプール。音もない世界。ひとり水面に浮かぶのが僕は好きだ。プールにはジャグジーとサウナがついており、簡単なトレーニングルームも完備している。ま、もう筋トレをする年でもないので、今はほとんど使ってはいない。

老夫婦のふたり暮らしなので家は小さな2階建て。ミニマリストではないが、家の中には物をあまり置きたくない。必要最小限の物があればいい。かき氷機とか、心ときめく物だけに包まれて、慎ましく生活したい。

家の近くに食料品や小物などを保存して置く保存小屋がふたつある。大抵の物はそこに保存している。ビール、卵、野菜、パン、おにぎり、醤油、電池、ライター、大学ノート…なんでもある。バレンタインデーのチョコ、クリスマスケーキ、なんでも手に入る。パンツだってある。多少の災害があってもなんとかしのげるだろう。

家には専属のお手伝いさんがふたりいる。女性は主に食事とかき氷作りを担当し、男性は皿洗い、ゴミ捨て、洗濯物干し、風呂洗い、コメ研ぎと分業している。掃除はルンバ君が担当している。

僕もずいぶんと年をとった。社会に恩返ししなければいけない世代になった。プールや保存小屋に募金箱が設置されている。僕はそれ相当のお金をそこに入れる。富の再分配だ。富める者が社会に富を還元する、それは大富豪の努めだろう。一部の富める者だけが幸福な暮らしを享受し、人生を謳歌する社会はとてもイビツな社会だと僕は思う。

僕は大富豪だ。
これ以上の生活を望むのは罰あたりというものだろう。
君ならば、これ以上何が欲しい?

今日の妻の一言



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