もはやトレンドは機能していないのでは?
ファッションにおいて、トレンドは言うまでもなく重要な要素です。
「トレンドは繰り返す」という言葉もあるように、これまでのファッション史では、様々なトレンドが盛衰を繰り返し、入れ替わり、影響を与えてきました。
これからもその歴史の通り、トレンドは入れ替わっていくのでしょう。
今後はどんなトレンドが生まれるのでしょうか。
…といいたいところなのですが、正直なところ、私は今後大きなトレンドが生まれることは、早々はないのでは、と思っています。
今回は、なぜ今トレンドが機能していないのか、そして今後トレンドが生まれにくいのか。
このことについて、個人的な考えをお話していきます。
チャンネルの多様化
まず、大きな要因として、チャンネルの多様化が挙げられます。
少し前までの情報の供給源としては、テレビ、新聞、雑誌といった、各メディアが大きな役割を担っていたと思います。
要するに、大衆が手に取ることのできる情報の取得手段が限られていたということです。
対して現在は、youtubeやインスタを筆頭とした各種SNSなどの台頭により、自分が興味のあるものだけを選択して情報を収集する、というスタイルに変わっています。
この変化によって、各個人の興味のある情報はより入りやすくなり、反対に興味のない情報は入ってきづらくなります。
これはファッションに関しても例外ではありません。
ファッションには元々、様々なスタイルやジャンルがあり、いわゆる「界隈」が形成されていましたが、これがより細分化されてきているように感じます。
早い話が、より自分が着たいものを着る時代になっているのかと。
そういえば最近、「サブカルチャー」という言葉をあまり聞かなくなった気がします。
これも、今までは「メインカルチャー」というマスメディアによって形成されていた大衆文化が存在していたけど、もはやメインカルチャーと呼べるものの存在が曖昧になり、それぞれが好きなことを突き詰めることが当たり前となっているからかなと思っています。
このような経緯で、ファッション全体としての大きな流れ、トレンドが形成されにくくなっているのではないでしょうか。
「Y2K」「クワイエット・ラグジュアリー」といったワードが少し前に出てきたものの、双方ともにトレンドというほどのインパクトはなく、「そういう界隈ではそういう流行り」くらいのものだったように思います。
コンテンツの消費速度の加速
コンテンツの消費速度が以前の比にならないほど早くなっていることも、トレンドが形成されにくい一端ではないでしょうか。
私が小学生の頃は、同じゲームを何か月もかけて遊ぶのは、そう珍しくないことでした。
もちろん、友達同士の間でも、その間は同じ話題で盛り上がれます。
しかし、現在はタイトルの大小にかかわらず、矢継ぎ早に様々なソフトが発表され、そして消費されていきます。
発表された当初は注目を浴びていたのに、1か月も経てば埋もれてしまい、もう誰も話題にしないことなど、ザラにあると思います。
ファッションにおいても、近いことが起こっている可能性があります。
例えば、今やスニーカーローファーはどのブランドでも見ることができますが、これは2024年のニューバランスが発端だったと記憶しています。
それからおよそ2年経った今、ワークマンからもスニーカーローファーが発売され、価格的にも認知度的にも、大衆に行き渡ったということができるでしょう。
本来はトレンドというのは、スニーカーローファーのようにアイテム単体のことではなく、直近ではオーバーサイズ・ストリートのように、もっと大きなうねり、概念のようなものを差すことが多いと思います。
しかし、それらの概念が具現化したものがファッションアイテムであり、アイテムの消費速度が上がることは、すなわちトレンドとして定着しにくい、またトレンドそのものの消費速度が上がっていくことにも繋がるのでは、と考えました。
今後、どこまで細くなるの?
さて、トレンドが形成されにくい要因についてお話してきましたが、今後はどうなっていくのでしょうか。
私個人の考えとしては、トレンドというか流れとしては、今後はオーバーサイズの揺り返しで、徐々に適正なサイズ感に戻っていくのではないかと考えています。
というかご存じの通り、既にそのような流れになっています。
そして今後は、よりその流れが進んでいくものと思われます。
しかし、どこまで細身に近づいていくのかという観点でお話しすると、以前のようなタイトシルエットと呼べるところまでは到達しないのでは、と考えています。
まず、ファッションの多様化が望まれていること。
オーバーサイズがトレンドとなる前までは、モデルは細ければ細いほどよい、という風潮があったと思います。
しかし現在は、比較的様々な人が受け入れられるようなオープンな発想になったと感じますし、体型についても、細いことを必要以上にポジティブに捉えすぎない解釈になっているのではないでしょうか。
タイトシルエットを代表するアイテムにスキニーパンツがありますが、個人的には、スキニーというのは体の線がはっきりと出るため、本来は結構なポテンシャルを要求されるスタイルだと考えています。
それが、現代のファッションシーンでどこまでポジティブに受け入れられるかというと、以前ほどではないのかなと。
それから、肩肘張らないリラックス感が主流な流れであること。
トレンドというほどではありませんが、このご時世、ガッチガチにカッコつけるよりも、やはりどこか力を抜いたようなリラックス感、無造作感、余白を感じるような、「ヌケ感」が重視されているように感じます。
スキニーでこれを演出するのはなかなか難しいものがある。
そして、忘れてはいけないのが快適性です。
私も大学生の頃にスキニーを穿いていたので、感覚を覚えています。
あのピタピタと肌に引っ付くような感触、足を曲げ伸ばしするときの圧迫感は、決して気持ちのよいものではありません。
更に、これだけワイドパンツに調教されてしまっているとくれば、おそらくスキニーはもう穿けないと思っています。
特に、夏場なんて絶対にムリ。
この快適性が、スキニーが復権する上で一番大きな障壁になりそうです。
「オシャレは我慢」みたいな時代でもないですしね。
もし今後スキニーが復権する時代が来るとすれば、おそらくファッションの担い手の世代が入れ替わった後ではないでしょうか。
私は、ファッションは年齢に関係なく楽しめるものであると強く感じておりますが、一方でその主役は若者が担うものだと思っています。
まだ柔軟に色々なスタイルを取り入れられる若者が、スキニーを手に取る時代。
そのときが、スキニーが復権するチャンスではないでしょうか。
もっとも、そのときに若者が楽しめる価格で服を手に取れるようになっているかどうかですが…
さて、いまトレンドが機能していないことと、今後のシルエットの変化について好き勝手にお話ししてきました。
一個人の勝手な予想なので、どこまでその通りになるかは分かりません。
もしかすると、予想の斜め上で、スキニーが大流行するかもしれませんね笑
トレンドとは、一部の感度がズバ抜けている人たちを除き、私のような凡庸な服好きにとっては、振り返ると「あのときから始まっていたよね」みたいなものなのかもしれません。
まぁ、アタリハズレよりも楽しんだ者勝ちということで。
それでは!
