働く発達障害の方が、信用を勝ち取るためのマインドセット
【この記事は約8分で読めます】
仕事でミスをした。
どうやら自分がデータ更新した影響で、他の領域にエラーが出ているようだ。
自分はそんな情報を事前に知らされず、いつも通りにやっただけ。
それでも、上司は言い寄る。
「自分がなぜここに呼ばれて、どういう理由でミスをしたか分かっているか?」
自分に非はないのに、どうして怒られるんだ?
フリーズして、何も返せない。
謝りもできない。
そんな態度に、上司はますます不機嫌になる…
こんな経験、発達障害の方なら誰しもお持ちではないでしょうか?
そして、これは実際僕の実体験でもあります。
文章だけ見れば、謝らないことで信用を落としているのは明白でしょう。
しかし、当事者はこんな基礎的な行動でつまづいているのが現実です。
一体どうして、こうしたケースが起こってしまうのでしょう?
今回の記事では、なぜ発達障害の方が悪気も邪気もないのに定型から残念と思われるかの理由を解説します。
そして、当事者が信用を得る方法を僕の体験を通じて説明します。
今回は、いつも以上に厳しめであなたの核心をついていきます。
容赦なく耳の痛い話ばかりして、時には逃げ出したくなるかもしれません。
それでも、あなたが相手から信頼されるために、最後まで我慢してお読みいただければ嬉しいです。
1.発達障害が残念と思われてしまう真の理由
①相手の関心に共感できないから

こういうタイトルをつけると誤解を与えるかもしれませんが、確かに発達障害の方でも相手への関心はあります。
しかし、関心の度合いが定型と比べると圧倒的に少ないのです。
なぜなら「無意識に」相手に共感できるレベルが、定型と発達障害の間では大きな差があるからです。
ここで発達障害の方に、お尋ねします。
「関心を共有する」と聞かれた時、一般的に共有されているのは何だと思いますでしょうか?
単純なものでは、何らかの人物や趣味についてあなたと相手の関心が重なり合っているとします。
例えばあなたが料理好きとして、料理が好きな相手ならその話で盛り上がれるでしょう。
ところが、単に料理という関心が一致しているだけでは、まだ関心が共有されているとはいえません。
なぜなら相手が料理という関心を持っているというのを理由として、あなたが同じ料理という趣味を持っている「相手」に関心を持つのがさらに必要であるからです。
言い換えるなら、「関心の共有」とは他人の関心そのものへの関心から引き起こされた関心の一致であるのです。
え?
他人の関心そのものへの関心から引き起こされた関心の一致って何?
お互い同じ料理の話で盛り上がってたら、お互いウマが合ってるんじゃないの?
その認識が、大間違いだ!
ここで大事なのは、相手が同じ料理という関心を持っている「感情」に関心を持つという意識です。
なぜなら、料理という趣味はあくまであなたと相手をつなぐための「つなぎ」でしかなく、本当に相手が求めたいのは相手自身の「興味」だからです。
あなた自身、自分の好きなものを人に喋って聞いてくれたら嬉しいですよね?
その一方、あなたは相手に対して聞こうとする意識がない。
自分は「話聞いてくれ」と相手に求めるのに、相手には「話聞いてます」という態度を示さない。
だから嫌われるです。
いや、僕・私できてます、やってますと反論するでしょう。
しかし、それは「やり方」が間違っています。
正しい方法で実践するには、相手が「楽しそう」とか「面白そう」といった感情に、あなたが相手に寄り添おうとする「態度」です。
「態度」が重要な理由は、過去こちらの記事2つもご覧ください。
【ポイント】
聴く態度
うなずき・つぶやき・レスポンス
感情の言葉を拾う
【ポイント】
「空気を読む」を❞前提を理解する❞に置き換える
自分を味方につけてくれるメンターを一人でも増やす頼のおける人を一人でも味方につける
他人と関心が一致しているもの自体を喜ぶのではなく、相手が関心を持っている「そのもの」に、関心を持とうとするかが相手に目に見えるか?
それが、相手と共感できる第一歩なのです。
②物事への「程度」を無視しているから

定型が不満に思う発達障害の特徴として、「比例性」を守らないというものがあります。
「比例性」とは、場面に応じて相手の求めるレベルに合わせて行動する状態です。
例えば、あなたは会社のイベントのため、部内で会場の設営を行うなったとしましょう。
メンバーにはそれぞれ、座席の配置・お茶配り・受付・機器の立ち上げなど様々な役割が与えられています。
集合は朝の11時と、事前の打ち合わせで決めています。
しかし、普段職場への仕事ぶりが低いと考えているあなたは、ここぞという場面でアピールしようと躍起になります。
あなたは会場に約束の1時間前に来て、みんなが来る前に受付以外全ての役割をこなしました。
確かに、一人で全部面倒なセッティングをしたのは褒めましょう。
ところが、これでは周囲のひんしゅくを買ってしまいます。
なぜなら、予め周りの中で役割分担を行うという「約束」をあなたは破ったからです。
「アイツは何を勝手な真似を」「空気の読めないヤツめ」とあなたが後ろ指を指されるのは、定型にしたら想像に難くないでしょう。
このように、発達障害の方は事柄に比例した対応をするということを定型よりも苦手としています。
先ほどの事例でいえば、「やり過ぎである」と定型が感じるような当事者の振る舞いが問題に挙げられるでしょう。
確かに、こうした「発達障害は比例性を逸脱している」という見方で、定型は当事者に的外れな批判避難をしないのも歩み寄る上では重要です。
しかし、それ以上に当事者自身が定型にこのようなケースを頻発し迷惑をかけているという事実も、受け止める必要があります。
集団の間ではルールが存在し、そのルールの中にも「程度」が存在する。
「認識合わせ」ができない人は弾かれるリスクを、覚えておきましょう。
③「反省しない」ように見えてしまうから

冒頭の例であったように、僕を含めた発達障害の方は「反省しない」ように見えてしまう傾向があります。
なぜなら、発達障害の方は失敗した後の改善を含めた反省の「まとめ」を苦手とするからです。
もう少し、かみ砕いてみましょうか。
まず反省をする上で、何かミスをしてしまった時に後で振り返って良くなかったと思い、新しい自分は○○という風に変わりました、という報告を他人にするとします。
この過程で、当事者は何かミスをした後、今後はミスしないように〇〇しようというロジックが結びつきません。
なぜなら、当事者は「ミスをした時点で、ミスをしないよう〇〇する」という流れが直観的に把握できないからです。
むしろ、ミスをした事実だけを自分で責めたり、後で怒られるのを過剰に恐れて落ち込む傾向が強い。
結果、ろくに謝りもせず「反省しない」ように見えてしまうのです。
確かに定型にも、当事者が定型のように上手く「ごめんなさい、ミスした原因はこれです。だから今後は○○しないように△△します」と素直に謝れない特性を理解する支援も必要です。
しかし、これが世の定型にはツラい。
「仏の顔も三度まで」ではないですが、どんな聖人君主でも同じ繰り返しをされたら、いつかは「テメエいい加減にしろ!」と激高するでしょう。
これは、定型が生まれ持って備わった性です。
あなたがお腹がすいたら食べるのと同じように、これはどうにも変えられません。
そのため、定型にツラい思いをさせないように、あなたは次のような意識を持つのが重要です。
「もしここで○○したら、××というリスクが起きるかもしれない。だから△△で良いですか?と人に確認しよう」
しつこくやって構いません。
むしろ、しつこいくらいでちょうど良いです。
それでしつこく思われても、ミスして信用を落とすくらいなら遥かにマシです。
怒られてまた否定体験を積んだと思い込み、引きこもり・うつなどの二次障害一直線。
いい加減、止めませんか?
世の定型たちは「落としどころ」や「価値観の共有」を好みます(具体例については、こちらの記事でも紹介しています)。
「今後ミスしないよう○○します」と反省の色を出し、落としどころをつけて信用をつなげていきましょう。
※ キーワード:「心の理論」
2. 働く発達障害の方が定型に対して信頼を勝ち取るためには?
①フリだけでも「おはようございます」「ありがとうございます」「ごめんなさい」を口癖にする

まず、どれだけコンディションが低くとも・不機嫌でも「おはようございます」「ありがとうございます」「ごめんなさい(申し訳ございません)」を口癖にします。
なぜなら、これらが世の定型との間で「価値観の共有」を行う入り口だからです。
先ほどの章で、定型は「落としどころ」「価値観の共有」を重んじると説明しました。
これは当事者には理解しがたいですが、定型には生きていく上でとても重要な要素です。
なぜなら、定型は「相手は自分と同じ理解の仕方をしているはず」という前提で会話を進めるからです。
これは定型が生まれ持って備わった本能でもあります。
こちらのサイトでも、定型が価値観の共有を重んじるのは明白です。
「定型同士で言葉の意味が通じ合いやすいのは、基本的な感覚や視点の持ち方に生まれながらに(定型的な特性として)共通性が高いため、その言葉で相手が何を言おうとしているかの文脈がつかみやすいからです。逆に言えば定型と自閉系の間では、その共通性が相対的に小さいために、相手が何を言おうとしているのか、その意味の文脈がつかみにくいということが起こります(※)。ということで両者の間では意味の共有がむつかしくなります。」
https://hatsuken.or.jp/labo/blog/detail/10872/
僕は今の会社に入る前に就労移行支援事業所へ通っていた時、この3つを毎日の朝礼で復唱されました。
当時は「あいさつは社会人の基本」程度しか理解していなかったですが、実際働くとこれらを言う・言わないでは対人関係に大きな影響を及ぼすことが分かりました。
「おはようございます」と言えば、「おはようございます」と返ってくる。
「ありがとうございます」と言えば、「どういたしまして」と返ってくる。
「ごめんなさい」と言えば、「いえいえ、次から気を付けよう」と返ってくる。
こんな会話は至極当然と見過ごすかもしれませんが、その背景には「価値観の共有」という重要な要素が含まれています。
だから、あいさつが大事なのです。
価値観の共有。
発達障害のあなた、苦手分野でしょう?
偉そうに言えませんが、僕もそうです。
けれどもあいさつだけで価値観の共有ができるなら、パターンで行動できますよね?
「おはようございます」「ありがとうございます」「ごめんなさい」を口癖にする。
こうした会話の基本を、今一度頭に叩き込んでください。
②「一歩先の気遣い」を実践する

2つ目は、相手の得になるようにあなたが「一歩先の気遣い」を振る舞います。
なぜなら、「一歩先の気遣い」が相手を楽にし、自分の株を上げてくれるからです。
こう言っては語弊があるかもしれませんが、僕の職場では部の中で一番仕事量や責任の範囲が狭いです。
障害者だから、というのも理由ですが障害特性からできないものに対して任せられる仕事が少ないからです。
そのため、帰りも自分が一番早い。
しかし、そういう立場をわきまえているからこそ、僕は出社時に次のような振る舞いをしています。
帰り際に郵便物を出す。
会議終了後「後は僕がやっときます」と一言伝え、後片付けをする。
自分には範囲外の仕事と分かっていても、忙しそうだったら「僕にできること、ないですか?」と声かけする。
これらに挙げたものはほんの些細なものですが、これでも相手には「坂巻は職場は貢献しようとしてるんだな」という意思が伝わります。
結果として、「ありがとう」「助かるわ」と言われる回数が多くなります。
そうです、この「ありがとう」「助かるわ」の回数を増やすのが、信頼の積み重ねです。
たとえそれがウソやお世辞と勘繰ったとしても、その場では素直に受け入れてください。
障害者雇用という手前、僕は人以上に要求をしていると考えます。
それで配慮をいただいている分、できる範囲では役に立とうと考えては行動しています。
たとえその数が他の方と比べて少ないとしても、何もしないよりはずっとマシ。
その結果が、6年働いて一度も自主退職を促されることなく、正社員として就労し続けているのに結びついているのです。
利他の精神で一歩先の気遣いを行い、信用を得る。
「ありがとう」「助かるわ」と感謝される回数を、増やしましょう。
③「信用を得るには時間がかかる。しかし、失うのは一瞬」と肝に銘じる

「あのなあ坂巻…信用ってなあ、作るのは時間がかかるねん。でも、失うのは一瞬やねん」
これは、僕が2つ目の職場で当時の上司が言ったアドバイスです。
そして、僕は今でもこの言葉を忠実に守っています。
この世で誰かと関わっている以上、信用を得るには時間がかかります。
なぜなら、相手に対して行動や実績を知るには時間が必要だからです。
いきなり家の玄関で飛び込みセールスを受けたってあなたが「じゃあ買おう」とならないのは、相手が何者か分かっていないからです。
逆に、信用は一瞬で失います。
どんな善人でも、万引きをした・人を殺したなんて犯罪を犯したら、あなたもすぐにその人を見限るでしょう。
上司は教え子にパワハラは当たり前、部下にも無茶ぶりする横暴ぶりで敵も多い方でした。
実際僕も、数え切れぬほど暴言を浴びせられました(別営業所の所長が出張に来た時「あの子、大丈夫?」と心配させられたほどでした)。
しかし、上司は仕事ができる人でした。
取引先からは名指しで注文を頼まれましたし、一人で4人分の仕事を定時内に片付ける働き方は圧倒されたものです。
なぜ上司は仕事ができるのか?
ある日そう考えた時、上司はその言葉通りに従っているからだと考えました。
その後上司は別の営業所に異動になったのですが、僕はこの言葉だけは忘れまいと誓ったものです。
そして、僕は「一年の計は元旦にあり」という中、この言葉をスローガンに1年過ごそうと決めました。
その結果、どうなったでしょう。
ミスが減り始めたのです。
ゆっくり亀の速度でもいい、その代わり確実にこなそう。
そう心がけて丁寧な仕事を積み重ねた結果、僕に協力してくれる同僚が増えました。
「おい坂巻、お前のこの仕事やっとくで」
「(同僚が僕のそばに缶コーヒー置きながら)坂巻、根詰めるなよー。残業がんばれー」
この年は確かに残業も多かったですが、その分「坂巻、最近頑張ってるじゃん」という評価もされました。
結果、この年のボーナスでは社長直々「坂巻は忙しい中ようやってるから、多めにつけといたで」と上乗せしてくれたのです。
この時ばかりは、僕は上司からこの教訓に従って良かったと思いました。
きつい上司だったのは、間違いありません。
それでも、僕が退職する時は異動先から「よう頑張ったわ、お疲れ様でした」と優しくねぎらってくれた時は、胸が熱くなったものです(その後「けど、もう次で(退職願いは)最後やな」とクギを刺されましたが 笑)。
認められたい、頼られたい。
しかしそれまでには時間が必要で、一度でもヘマしたら関係が終わる。
その覚悟を、心の片隅に置いておきましょう。
まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。
以上で、発達障害の方が嫌われる根本的な理由と信用の構築について説明しました。
発達障害と定型とのミスコミュニケーションは、定型が定型にのみ適用可能な基準を発達障害の人に当てはめてしまうことから生じます。
確かにそれは事実ですし、支援には必要な視点です。
しかし、その言葉に甘えないでください。
「他力本願」な態度はすぐに見透かされ、信用を失う元凶となり得ます。
だからあなたから動くのです(こちらに良い具体的な動き方が紹介されています)。
※キーワード:「特性の強さより、他者への姿勢」
ただし、無理はしないでください。
確かに「特性の強さより、他者への姿勢」ですが、この言葉が一人歩きしないよう、10勝8敗の心がけでコツコツ人間関係を築きましょう。
逆に過剰なアピールを周りが見て「やり過ぎじゃねえか?」と心配されて二次障害を起こしては、本末転倒です。
大丈夫、8回負けても2桁勝利は達成できますから。
この記事をきっかけに、あなたが発達障害でも、周りに頼られる大きな存在となりますように。
いいなと思ったら応援しよう!
応援していただいた気持ちは、創作活動のエネルギーです。家族との時間をより幸せに過ごせるよう、大切に使わせていただきます◎ ありがとうございます。