今更ハマった。【椿優希】
部屋の電気を消したあと、
しばらく目が慣れるのを待つ。
すると、
隅のほうで、ぼんやりと光るものがいる。
主張はしない。
動きもしない。
ただ、そこにいる。
スミスキー。
最初は、なんとなく買った。
何が出るかわからない箱を開ける、
あの一瞬の運命みたいな時間が好きだった。
でも、本当に好きになったのは
夜になってからだった。
暗闇の中で、
あの子は小さく光る。
強くない。
照らすほどでもない。
でも、確実に消えない。
まるで、
「ここにいるよ」と言う代わりに
静かに呼吸しているみたいに。
顔がないから、
感情は読めない。
体育座りをしている姿は、
落ち込んでいるようにも見えるし、
安心しているようにも見える。
寝転んでいる姿は、
怠けているようにも、
全力で生きたあとの休息にも見える。
見る側の心が、そのまま映る。
だからきっと、
僕はハマった。
目立たない存在に、
どうしてこんなに惹かれるんだろう。
光るけれど、まぶしくない。
いるけれど、邪魔をしない。
強くないのに、消えない。
それは、
なりたい自分の形なのかもしれない。
バッグにもひとつ付けた。
都会のネオンの中で、
あの小さな緑はほとんど意味を持たない。
でもいい。
世界が明るすぎる夜に、
ひっそり光るものがひとつあるだけで、
少しだけ呼吸が楽になる。
スミスキーは、
おもちゃかもしれない。
でも僕にとっては、
隅で生きるための、小さな灯りだ。
気づけばまた、
どこかに一体増えている。
それはきっと、
光が欲しい夜が、まだあるということ。

