Kickで配信が途切れない!VPS中継サーバーを使った安定外配信の完全セットアップガイド【ConoHa編】
外配信(IRL配信)をしていると、モバイル回線の不安定さで配信が頻繁に途切れてしまう経験はありませんか?キッカーズをはじめとした大手配信者たちが実践しているのが「VPS中継サーバー」を使った配信方法です。この記事では、VPSサービスの中でも日本語対応で使いやすい ConoHa VPS を使って、初心者でもコピペで構築できるよう丁寧に解説します。
この記事でわかること
なぜ外配信にサーバーが必要なのか
全体の仕組みと構成図
ConoHaでVPSを作成する手順
SSHでサーバーに接続する方法
Dockerを使ったSRTサーバーの構築(コピペOK)
スマホアプリ(Moblin)の設定方法
OBSからKickへ配信する設定
▶ そもそもなぜサーバーが必要なのか?
街中や屋外で行う外配信では、スマホのモバイル回線(4G/5G)を使って映像を送信します。しかし、電車内・トンネル・ビルの陰など、電波が弱くなる場所を通ると回線が不安定になり、配信が頻繁に途切れてしまいます。
この問題を解決するのが「VPS中継サーバー」を使った構成です。
スマホから直接Kickに送信するのではなく、一度VPS(クラウドサーバー)を経由させることで以下のメリットが得られます。
電波が一時的に弱くなっても、サーバー側でバッファリングしてくれるため配信が止まりにくい
複数のモバイル回線を束ねて送信する「ボンディング」が使える
回線が切れたときに「BRBシーン(少々お待ちください画面)」を自動表示できる
キッカーズの配信者たちが長時間安定した外配信ができているのは、まさにこの仕組みを使っているからです。
▶ 全体の構成図
まず全体像を把握しておきましょう。
【スマホ・カメラ】
↓ SRTプロトコルで送信(Moblinアプリ使用)
【ConoHa VPS(中継サーバー)】 ← ここが今回構築する部分
↓ 安定した映像ストリームとして出力
【自宅PC(OBS)】
↓ RTMPで送信
【Kick.com(配信プラットフォーム)】
ポイントは、スマホとKickの間にVPSを挟んでいること。VPSは常時起動しているため、スマホ側の回線が一時的に不安定になっても、Kickへの送信は止まらない仕組みになっています。
▶ 必要なもの・事前準備
作業を始める前に以下を用意してください。
必要なもの 備考 ConoHaアカウント クレジットカード登録が必要 自宅PC(Windows / Mac) OBSをインストール済みであること スマホ iOSまたはAndroid、Moblinアプリを使用 Kickアカウント 配信者登録済みであること
費用の目安は ConoHa VPS 1GBプランで月額約880円 です。外配信の安定性を考えれば非常にコスパが良い投資です。
▶ STEP 1:ConoHaでVPSを作成する
まずはConoHaの管理画面からVPSを作成します。
1-1. ConoHaにログインしてVPSを追加
ConoHa(https://www.conoha.jp)にログインし、左メニューの「VPS」→「サーバー追加」をクリックします。
1-2. サーバースペックを選ぶ
外配信の中継サーバーとして使うだけなら、最低スペックで十分です。
プラン: 1GBメモリ・1vCore(月額880円前後)
OS: Ubuntu 22.04(必ずこれを選んでください)
リージョン: 東京
1-3. rootパスワードを設定してメモする
サーバー作成時に「rootパスワード」を設定します。このパスワードは後でサーバーに接続するときに使うので、必ずメモしておいてください。
1-4. IPアドレスを確認する
作成が完了するとサーバーのIPアドレス(例:123.456.789.0)が表示されます。これも後で使うのでメモしておきましょう。
1-5. セキュリティグループでポートを開放する(重要!)
ConoHaはVPS内部のファイアウォール設定だけでなく、コントロールパネル側でもポートを開放する必要があります。
管理画面 → セキュリティグループ → 以下のポートを追加してください。
ポート プロトコル 用途 22 TCP SSH接続用 5000 UDP SRT映像受信用 8181 TCP サーバー統計確認用
ここを忘れると後でスマホから映像が届かない原因になるので必ず設定してください。
▶ STEP 2:SSHでサーバーに接続する
VPSが作成できたら、自分のPCからサーバーに接続します。「SSH」とは、インターネット経由でサーバーを遠隔操作するための仕組みです。
Windowsの場合
スタートメニューから「PowerShell」を検索して開きます。
Macの場合
「Launchpad」→「その他」→「ターミナル」を開きます。
接続コマンド
ターミナル(またはPowerShell)に以下を入力してEnterを押します。(ConoHaのIPアドレス) の部分は、先ほどメモしたIPアドレスに書き換えてください。
ssh root@(ConoHaのIPアドレス)
初回接続時に「接続を続けますか?(yes/no)」と聞かれるので yes と入力してEnter。その後、先ほど設定したrootパスワードを入力すれば接続完了です。
⚠️ パスワードを入力しても画面に文字が表示されませんが、正しく入力されています。入力後にEnterを押してください。
▶ STEP 3:サーバーを構築する(コピペでOK!)
ここからがメインの作業です。コマンドを1つずつコピーして貼り付けていくだけで構築できます。
3-1. システムを最新の状態に更新する
apt update && apt upgrade -y
しばらく時間がかかります(1〜2分)。完了するまで待ちましょう。
3-2. 必要なソフトをインストールする
apt install docker.io docker-compose ufw -y
docker.io:アプリをまとめて動かすためのソフト
docker-compose:複数のDockerアプリを管理するツール
ufw:ファイアウォール(セキュリティ設定)
3-3. Dockerを自動起動するよう設定する
systemctl enable docker
systemctl start docker
これでサーバーが再起動しても自動的にDockerが立ち上がるようになります。
3-4. ファイアウォールでポートを開放する
ufw allow 22
ufw allow 5000
ufw allow 8181
ufw enable
「ファイアウォールを有効にしますか?」と聞かれたら y を入力してEnterを押してください。
3-5. SRTサーバーを構築・起動する
以下のコマンドをまとめてコピーして貼り付けてください。
mkdir ~/srt-server && cd ~/srt-server
cat > docker-compose.yml << 'EOF'
version: '3'
services:
sls:
image: flaviostutz/srt-live-server
ports:
- "5000:5000/udp"
- "8181:8181"
restart: always
EOF
docker-compose up -d
最後に docker-compose up -d を実行すると、SRTサーバーが起動します。-d オプションはバックグラウンドで動かし続けるという意味です。
3-6. 正常に起動しているか確認する
docker ps
このコマンドを実行して、sls というコンテナが Up 状態になっていればサーバー構築は完了です!
▶ STEP 4:スマホ(Moblin)の設定
次にスマホ側の設定をします。今回使うのは Moblin というアプリです。iOSのApp StoreまたはAndroidのGoogle Playからインストールしてください。
Moblinの配信設定
アプリを開いて「Stream」の設定画面を開き、以下の通り入力します。
項目 入力内容 プロトコル SRT ホスト(URL) (ConoHaのIPアドレス) ポート 5000 ストリームキー live/stream/test
入力が終わったら保存してください。これでスマホからVPSへ映像を送信する準備が整いました。
▶ STEP 5:OBSの設定
自宅PCのOBSを設定して、VPSから映像を受け取りKickへ送信する設定をします。
5-1. OBSにVPSからの映像を取り込む
OBSを開いて「ソース」の「+」ボタンをクリック → 「メディアソース」を選択します。
設定画面で以下を入力してください。
ローカルファイル: チェックを外す
入力: srt://(ConoHaのIPアドレス):5000?streamid=live/stream/test
ソースがアクティブになったとき再生を再開する: チェックを外す
OKをクリックするとVPSからの映像がOBSに表示されるはずです。
5-2. OBSからKickへ配信する設定
OBS → 設定 → 配信 で以下を設定します。
サービス: カスタム
サーバー: KickのダッシュボードのStream URLをコピーして貼り付け
ストリームキー: Kickのダッシュボードからコピーして貼り付け
Kickのダッシュボードは https://kick.com/dashboard → 「Stream」タブから確認できます。
5-3. 推奨するOBSの配信設定
項目 推奨値 エンコーダー x264(またはNVENC) ビットレート 3500〜6000 Kbps キーフレーム間隔 2秒 レート制御 CBR(固定ビットレート) 解像度 1280×720(720p) フレームレート 30fps
▶ 配信テストをしてみよう
すべての設定が完了したら、実際に動作確認をします。
Moblinアプリで配信開始ボタンを押す
OBSのメディアソースに映像が映るか確認する
OBSの「配信開始」ボタンをクリック
Kickのダッシュボードで配信が届いているか確認する
映像が途切れなく届いていれば成功です!
▶ よくあるトラブルと解決方法
Q. OBSにスマホの映像が映らない
→ ConoHaのセキュリティグループでポート5000(UDP)が開放されているか確認してください。
Q. SSHで接続できない
→ パスワードを間違えていないか確認。またConoHaのセキュリティグループでポート22(TCP)が開放されているかも確認してください。
Q. docker-compose up -d でエラーが出る
→ docker ps でコンテナが動いているか確認。動いていなければ docker-compose logs でエラー内容を確認してください。
Q. 配信は届いているが画質が悪い
→ OBSのビットレートを上げるか、Moblinの送信ビットレート設定を確認してください。
▶ まとめ
今回の手順をまとめると以下のようになります。
ConoHaでUbuntu 22.04のVPSを作成(1GBプランでOK)
セキュリティグループでポート22・5000・8181を開放
SSHで接続してDockerとSRTサーバーを構築
MoblinアプリでVPSのIPアドレスとポートを設定
OBSでVPSからの映像を受け取りKickへ配信
月額880円程度の出費で、キッカーズレベルの安定した外配信環境が手に入ります。一度設定してしまえば毎回の手間はほぼゼロなので、外配信を本格的にやりたい方にはぜひ試してほしい構成です。
わからないことがあればコメントで気軽に聞いてください!
