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日本銀行は政策金利を+0.25%引き上げて1.0%に。同時に長期国債の買入れ計画の変更により長期金利の上昇を抑制。もっとも、骨太ショックで長期金利が上昇。市場は、高市政権の姿勢に敏感に反応。

(出所)日本銀行「当面の金融政策運営について」を基に筆者作成
(出所)日本銀行「(参考)長期国債の買入れ計画」(2026年6月16日)
(出所)財務省「国債金利情報」掲載のデータを基に筆者作成

2026年6月16日、日本銀行は、金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物レートの誘導目標を0.75%から+0.25%引上げ、1.0%程度としました。金融市場の予想どおりでした。利上げの決定は、2025年12月19日の会合以来、半年ぶりです。

一番上の図表をみてください。2024年3月19日にマイナス金利政策の解除以降、5回目の利上げになります。二番目の図表をみてください。政策金利1.0%水準は1995年以来31年ぶりの高さです。

前回4月27~28日の金融政策決定会合では、政策金利を0.75%に据え置きました。その会合の直前の3月には、需給ギャップ、中立金利、消費者物価のコア指標の3本の論文を発表し、中立金利に向けた政策金利の利上げを見据えて、理論武装を強化してきました。しかしながら、原油価格の高騰が物価の上振れと景気の下振れの双方に作用しうるとの判断から、状況を見極めるために利上げを見送っていました。

今回の利上げでは、日本銀行は次のように景気と物価を判断しています。「原油価格上昇が景気の下押し要因となっているものの、高水準の企業収益や雇用・所得環境の改善などが、経済を下支えする方向に作用し、景気は緩やかに回復している。経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下している。

一方、物価面では、原油価格上昇を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでいる。これが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性がある。消費者物価の基調的な上昇率が2%の物価安定の目標を超えて上振れていくリスクがある」

このリスクを抑える目的で、今回の利上げが実施されました。今後も、中立金利に向けて利上げを継続する姿勢です。

今回の会合では、もう一つ重要な決定がありました。三番目の図表をみてください。「長期国債の買入れ計画」の変更です。わかりにくいのですが、要するに、長期金利の上昇を抑制する政策です。今回、超短期の政策金利は利上げしましたが、一方で長期金利の上昇は抑制したいという意図があります。

これまでの流れを振り返ってみましょう。日本銀行は、2013年4月に異次元緩和策として、長期国債の大量買い入れ始め、これにより大量の資金が金融市場に流れ込みました。この結果、国債市場に占める日銀の保有割合がピーク時の2023年には54%にもなったため、国債市場での自由な価格形成機能が大きく低下しました。

三番目の図表の左側の図をみてください。日本銀行は、国債市場の機能を回復するため、2024年8月から金融市場からの国債買入れの減額を進めてきました。購入した国債が満期償還となれば、自然と国債の保有残高は減少していきます。国債の買入れ額の減額は、そのピッチを速めることになります。

しかしながら、2026年に入って長期金利の上昇が顕著となったため、2026年度の間、2027年1~3月期までは現行計画どおり、四半期ごとに2000億円ずつ減額を続けるけども、2027年4月からは国債の買入れ額を減額する措置を停止することにしました。

国債市場の安定と機能度の両方をバランスした水準として、月2兆円程度の国債の買入れ額に固定すると決定しました。長期金利の安定を目指す施策です。金融市場では、日本銀行に代わる買い手が定まらず、減額を持続すれば、長期金利の上昇を余儀なくされる惧れがありました。

三番目の図表の右側の図をみてください。過去の緩和局面で購入した国債がそれぞれ満期償還を迎えると自然に減少していくので、日本銀行が保有している国債は、2030年3月末には350~370兆円程度と予想しています。減額前の2024年6月に比べて▲36~▲39%減少すると見通しています。

四番目の図表をみてください。日本銀行の金融政策決定会合後は長期金利の上昇はしばらくの間、抑制されましたが、6月末から最近にかけて、再び長期金利の上昇が顕著になりました。

長期金利の上昇のきっかけは、「骨太ショック」と称されているものです。政府が6月30日に骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針」の原案を公表しました。2025年まで盛り込まれていた「財政健全化」の文言が削除されていました。市場では、高市政権下で財政規律の悪化が一段と進むのではないかとの警戒感が強まっています。

また、政府が「適切な金融政策運営が非常に重要」と記載したことで、日本銀行による利上げが、高市政権の意向により後手に回り、将来かえって急速な利上げを迫られる「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るのではないかと懸念されています。

こうした状況下で、7月10日には、片山財務大臣が、「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべき」と発言したことで、長期金利はピークの2.866%から▲0.1%一気に低下しました。金融市場では、高市政権の姿勢に極めて敏感に反応しています。

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