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空き家の活用として「民泊」を始めると、制度上の制約、収益性の低さ、運営負荷、規制などが影響して、事業廃止に追い込まれることもありますが、旅館業への転用など前向きの廃止もあります。

(出所)国土交通省「住宅宿泊事業法の施行状況」
(出所)観光庁「住宅宿泊事業の廃止理由調査について」(2019年11月15日)

2026年5月26日付ブログ「訪日外国人旅行者のオーバーツーリズムの対策と、空き家問題の解決のために考え出された『民泊』は全国で4万件です。都道府県への届出が必要で、管理業者への委託義務を伴う場合があります」の続きです。

❓ 空き家対策として「民泊」を始める人が多い一方で、やめる人も多いと聞いています。やはり、素人が民泊を業として始めるのはリスクが大きいのでしょうか。

🅰️  一番上の図表をみてください。民泊の届出件数は累計で61,605件、事業廃止件数が累計で22,030件、届出件数から事業廃止件数を引いた届出住宅数が39,575件です。確かに、事業廃止件数が届出件数の3分の1以上にもなっています。

その理由は、制度上の制約、収益性の低さ、運営負荷、規制などが、複合的に影響しています。ただし、必ずしも全てが撤退ということではありません。

二番目の図表をみてください。観光庁が住宅宿泊事業の廃止の理由を調査した結果です。

事業廃止の理由として一番多いのは、撤退ではありません、「旅館業または特区民泊へ転用するため」が57.8%と、前向きな廃止が半数以上を占めています。民泊から旅館業(簡易宿所)へ転用しているようです。

何故、旅館業(簡易宿所)に転用しているのか。上の図表にも記載されていますが、「収益が見込めないため」(7.2%)が大きな理由です。収益が見込めないため、旅館業(簡易宿所)に転用するか、あるいは撤退するかです。

民泊は、稼働率・単価・費用のバランスが悪いため、収益性が低く、構造的に利益が出にくいと言われています。その最大の要因は、住宅宿泊事業法で定められている180日の営業制限です。どうしても稼働率が低くなります。

観光庁データによると、営業上限180日に対して、実際の平均稼働が103日で、平均稼働率は57%です。仮に営業制限がないとして365日を分母とすると、平均稼働率は28%になります。民泊の場合は、1年の3分の1以下しか稼働していないのが実情です。

さらに、民泊を維持するための費用は、清掃費、管理費がかかるほか、OTA手数料も高くなっています。OTA手数料とは、オンライン旅行代理店(OTA)経由で予約が成立したときに、宿泊施設が支払う成功報酬型の手数料のことです。宿泊料金の8〜15%が一般的な相場です。

このように儲かりにくい構造のため、収益性が低く、採算が合わない物件が多いため、365日営業できる旅館業(簡易宿所)への転用が多くなっているようです。

二番目の図表に、「事業者としての業務負担が大きいため」という理由が挙がっています。登録された「住宅宿泊管理業者」に委託しない場合は、個人で対応することになります。清掃、鍵の受け渡し、外国語対応、ゴミ問題・騒音トラブル、24時間の問い合わせ対応などで疲弊しやすく、個人事業者の場合、2〜3年で撤退するケースが多くなっています。

また、 「事業を行う権利がなくなったため」が8.1%となっています。具体例を挙げてみると、マンション管理規約が民泊禁止に変更された、賃貸物件でオーナーが承諾を取り下げた、自治体の独自条例で営業日数がさらに制限されたなどです。これらは事業者の努力ではどうにもならず、廃止につながります。

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