2025年度末の家計の金融資産は年度末ベースで過去最高。株高を受けて株式や投資信託等のリスク性資産の伸びが顕著。金利上昇下で、個人向け国債の保有も増加。日本銀行の保有国債は僅かに減少。



2026年3月25日付ブログ「2025年末の家計の金融資産は過去最高。新NISAや株高を受けて、投資信託や株式等のリスク性資産の伸びが顕著です。日本銀行が発表した『資金循環統計』は、金融活動を包括的に示しています」の続きです。
2026年6月25日、日本銀行が「資金循環統計(速報)」を発表しました。資金循環統計は、1つの国で生じる金融取引や、その結果として保有され た金融資産・負債を家計や企業、政府といった経済主体ごとに記録した統計です。一国の金融活動を包括的に示しています。
一番上の図表をみてください。これは、日本の家計全体の金融資産の保有額を時系列にみたものです。ほぼ毎年、金融資産が増加してきています。今回発表されたのは、一番右の棒グラフです。2026年1Q(1〜3月期)ですので、2025年度末を示しています。家計の金融資産残高は2025年度末2,386兆円と年度末ベースでは過去最高を更新しました。
二番目の図表をみてください。2026年3月末(2025年度末)の家計の金融資金残高を前年比でみると全体では+7.1%の伸び率です。その欄の左側をみると、この1年間伸び率が拡大してきているのがわかります。また、その下の現金・預金から株式等までは、安全資産からリスク性資産の順番で並んでいます。国債などの債務証券が、金利の上昇を映じて伸びています。また、株高を映じて株式等や投資信託といったリスク性資産が大きく伸びているがわかります。
現金・預金は前年比でみると+0.6%増加の1,126兆円です。2025年12月末は1,140兆円でしたので金額としては減少しています。家計の金融資産全体に占める現預金の割合は2025年12月末47.6%から47.2%へと低下しています。
預金は安全資産ですが、利率が低くインフレ状況下では実質的な目減りのリスクがあるため減少しています。より利回りの高い金融資産に資金が移動しています。株価上昇を受けて、徐々にリスク性資産の割合が高まってきています。
三番目の図表をみてください。これは、運用資産毎に前年比の伸び率を「取引額要因」=「購入・売却」と、「調整額要因」=「価格の上昇・下落、為替円高・円安」に分解して、それぞれの寄与度を示しています。
国債などの債務証券は+14.4%増加、金利の上昇を受けて個人向け国債の購入が増加しています。「取引額要因」=「購入」が大きく寄与しています。財務省によると、2025年度の個人向け国債の発行額は合計6.1兆円と、19年ぶりの高水準でした。
リスク資産の代表格である株式等は前年比+28.6%増加しました。この間、日経平均株価の水準は26年3月末時点で51,063円と、25年3月末35,617円から+43.4%も大きく上昇しています。株式等の増加は「調整額要因」=「価格の上昇」の寄与によるものです。
投資信託は+25.7%増加しました。新NISAによる資金の流入や、円安の進行で円換算した外貨建て資産の規模も膨らんでいます。投資信託の増加は、「取引額要因」=「購入」と「調整額要因」=「価格の上昇、為替円安」がダブルで押し上げています。
四番目の図表をみてください。これは、日本銀行が今回発表した「資金循環統計」の中から、全体をまとめた2025年度末の「部門別の金融資産・負債残高」の図表を掲載したものです。一目で全体が一覧して把握できるように工夫されています。全体像をみてみましょう。
2025年度末に、家計は2,386兆円の金融資産を持っています。その内訳は、現金・預金が1,126兆円、証券が600兆円などです。その預金部分は、金融機関に預けられていて、金融機関からみれば負債になります。預金取扱機関の預金という形での負債は1,748兆円です。
預金取扱機関はこの預金を原資に貸出を行います。貸出は1,048兆円です。この貸出は、家計や法人企業からみれば負債になりますので、家計の借入として392兆円、法人企業の借入591兆円となっています。家計の借入が大きいのは、自営業者や個人の住宅ローンを含んでいるためです。皆さんが金融機関に預けている預金が、金融機関を通じて、家計や法人企業に貸し出されていることがわかります。
図表の真ん中の下の方に、「中央銀行」と記載されていますが、これは「日本銀行」のことです。日本銀行の資産・負債をみると、何故か現金が負債に計上されています。この現金は「日本銀行券」を指します。つまり日本銀行が発行しているお金そのものです。皆さんのお財布に入っている「日本銀行券」は、日本銀行からみると負債に当たります。2025年度末の現金=日本銀行券は121兆円です。
日本銀行の負債の中に日銀預け金とありますが、これは金融機関が日銀に預けている当座預金で460兆円あります。
一方、資産側の貸出は、日本銀行の金融機関への貸出で78兆円あります。証券が583兆円、公開市場操作で買い入れている国債が大半です。このうち過去の異次元緩和の時代に金融市場(=金融機関)から買い入れた大量の国債を含めて、国債・財投債485兆円保有しています。
日本銀行の市場全体に占める国債の保有比率は、過去の異次元緩和で国債を大量に買い入れた結果、2026年3月末時点で日銀が47.88%と市場全体の半分程度も保有しています。それでも、2025年12月末から3か月間で▲1.14%ポイント低下しました。日本銀行は2024年8月から国債の買い入れの減額を始めています。2026年3月までは月間の買い入れ額を四半期毎に4000億円ずつ減らしてきています。
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