お子様の教育資金確保のための一つの手段として「学資保険」があります。教育資金を確実に貯められ、親に万一のことがあっても保険料の払込が免除され、大学入学時などに満期金が支払われます。


2026年3月6日付ブログ「2022年度調査の大学生の支出は、自宅から地方の国立大学に通う場合104万円、故郷を離れて、東京圏の私立大学に通う場合271万円かかります。今年度は、物価高でこの1.1~1.2倍程度でしょうか」の続きです。
❓ 結婚しました。少子化と言われてますが、夫婦二人とも子供好きで、これから子供に囲まれた人生を送りたいと思っています。とはいえ、子供を育てていく上でのお金、特に教育資金をどう備えたらよいのか、あまりにお金がかかるとなると、子供の数も考えなければなりません。新NISAなどで資産運用していく方法は理解できますが、よく聞く「学資保険」とはどういう商品なのでしょうか。
🅰️ 「学資保険」とは、子供の教育資金を計画的に準備するための保険です。最大の特徴は、教育資金を確実に貯められ、親に万一があって保険料が払えなくなっても、大学入学時などに満期金が支払われる保障を併せ持っていることです。
保険料を一定期間・定期的に積み立てることで、支払った保険料の総額よりも、子供の進学時などに多くの保険金を受け取れます。大学への入学・在学費用の負担が大きいため、主にお子様の大学資金として用いられることが多くなっています。また、契約者である親ががんなど所定の疾病に罹患した場合、それ以降の保険料が免除される学資保険が主流です。
さて、学資保険を考える前に、子供の教育費はいったい幾らかかるのかを認識する必要があります。
一番上の図表をみてください。子供の幼稚園から小・中・高までの平均的な教育費が示されています。ただし、この調査が行われた時期が、高校の授業料の無償化が始まる前ですので、これより少し金額は抑えられます。この調査では、全て公立の場合は614万円、全て私立の場合は1,969万円となっていますが、高校の授業料の無償化によって、前者は601万円、後者は1,885万円です。いずれにしても、多額の教育費がかかります。
詳しくは、2026年2月5日付ブログ「文科省の『子供の学習費調査』の結果が訂正されました。加えて高校の授業料の無償化を勘案すると、幼稚園から高校までの学習費総額は、全て公立の場合601万円、全て私立の場合1,885万円です」をご覧ください。
二番目の図表をみてください。子供が大学生になった時の教育費を含めた平均的な費用を掲載しています。国公立か、私立か、自宅から大学に通うのか、故郷を離れてアパートを借りて通うのか、によってかかる費用が大きく異なります。親がどこまで拠出するのかは、家庭の事情によりますが、いずれにしても多額の費用がかかります。
この教育費をその時になって突然賄おうとしても対応できない家庭が多いと思います。このため、教育資金は、長期間に亘って、何等かの方法で積み立てておく必要があります。預貯金で積み立てておく、新NISAなどで投資信託を運用し積み立てておくのも一つの手段です。もう一つの手段として「学資保険」があります。
学資保険の主な特徴をみてみましょう。
貯蓄+保障のハイブリッド商品です。貯蓄に保険が組み込まれた商品です。教育費を計画的に積み立てつつ、親が万が一死亡したり、高度障害になって働けなくなった時には保険料の支払いが免除されます。満期金は予定どおりまとまった資金を受け取れます。例えば、子供が18歳になった大学入学時に200〜300万円などです。
保険料は、預金口座からの自動引き落としで確実に教育費を確保できます。支払った保険料は、保険会社が債券などで長期的に運用します。運用によって増えたお金を一部上乗せして、保険金が支払われる仕組みです。支払った保険料に対して受け取れる保険金の割合は、返戻率で表されます。
「返戻率」は、払い込んだ保険料の総額に対して、受取金額がどれぐらいかを示す比率です。受取総額/払込総額×100です。2026年現在では、106〜108%が一般的です。ただ最近は金利の上昇で、返戻率が上昇しています。
何歳から始めるか悩んでいるのなら、少しでも早く始める方が返戻率が上がります。生まれる前から保険料の支払いが始まる学資保険もあります。始める年齢を重ねるほど、保険会社によって運用できる期間が短くなるので、返戻率が下がります。返戻率が下がると、目標とする保険金を受け取るためにより多くの保険料を支払う必要があります。
満期金の受け取り方法は、大学入学時にまとめて一括受取や、大学4年間に毎年分割受取、小・中・高の入学時に分割で受け取る進学祝金型もあります。但し、祝金を付けるほど返戻率は低下します。
最大のメリットは、万が一の時の保険料の払込免除です。契約者である親が、死亡、高度障害、三大疾病などになった場合、以後の保険料は払わなくとも、それでも満期金は全額支払われます。これは、預貯金や新NISAにはない、学資保険特有の保障機能です。
教育費のピークに合わせた設計が可能で、大学入学時の費用~入学金+初年度授業料+生活準備費~は100〜200万円が目安ですが、学資保険はこのタイミングに合わせて受取時期を設定できます。
ただし、学資保険の注意点もあります。
仮に、中途解約をすると、解約返戻金が払込総額を下回り、元本割れしやすくなります。また、満期金は固定額のため、物価上昇で実質価値が下がります。つまり、インフレに弱い商品です。長期間インフレが続くと、大学での費用を十分に賄える筈だったのに足りないじゃないかということもあり得ます。医療特約・育英年金特約などの保障を付けすぎると返戻率が低下します。
どんな人が学資保険が向いているのでしょうか。教育費を確実に準備したい、親に万一があっても子どもの教育費を守りたい、投資より安全性を重視する人です。
一方、向かない人は、資産を増やすことを重視する人です。おそらく新NISAの方が資産を増やせる可能性は高くなります。途中で解約を考えている人は、学資保険には向いていません。
