景気は回復、株価は大幅に上昇していますが、鉱工業の在庫循環図では、1年以上「意図せざる在庫減局面」をウロウロ状態。原油を原材料とする製品の供給が懸念され、在庫の減少が続いています。


「鉱工業指数のしくみと見方」(2019年7月)
2026年5月12日付ブログ「鉱工業の在庫循環図によると、この1年間「意図せざる在庫減局面」をウロウロ。原油を原材料とする製品の在庫を削減し、出荷を維持。出荷を維持するための『意図した在庫減局面』のようです」の続きです。
2026年7月31日、経済産業省から鉱工業指数の公表がありました。公表された指数を用いて「在庫循環図」を描くことで、製造業の景気動向を把握することができます。一番上の図表は、経済産業省が「鉱工業の在庫循環図」を参考図表として公表したものです。在庫循環図は、景気を判断する上では非常に重要です。現在の景気局面がどの段階にあるのかを判断することができます。
二番目の図表をみてください。在庫局面は、通常「①意図せざる在庫減局面」→「②在庫積み増し局面」→「③在庫積み上がり局面」→「④在庫調整局面」の4つの局面を反時計回りに循環していくことになります。これを表したのが「在庫循環図」です。現在の景気局面を把握し、今後の景気動向を予測することも可能です。在庫循環図を参考に、生産計画や販売計画などの経営判断を行うことができます。
「在庫循環図」の見方の詳細については、2025年2月1日付ブログ「経済産業省が発表した『鉱工業の在庫循環図』をみると、『意図せざる在庫減局面』に入り、製造業は景気回復の兆し」をみてください。
さて、一番上の在庫循環図をみてください。この2年間の流れをみてみましょう。在庫循環は反時計回りに回っています。
2024年10~12月には、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入りました。その後、2025年1~3月には一時的に「在庫積み増し局面」に逆戻りしましたが、2025年4~6月には再び「意図せざる在庫減局面」に戻りました。1年経って、今回公表された2026年4~6月においても「意図せざる在庫減局面」に位置しています。
景気は回復、株価は大幅に上昇していますが、鉱工業の在庫循環図では、1年以上「意図せざる在庫減局面」をウロウロ状態が続いています。
鉱工業の生産・出荷・在庫の2026年4~6月の前年同期比をみてみましょう。生産は+1.4%と2期連続のプラス、出荷は+0.9%と2期連続のプラス、生産も出荷も回復しています。この間、在庫は▲2.7%と11期連続のマイナスです。今回発表された在庫循環図でみると、在庫の前年同期比は、ずっーとゼロ以下の水準にあり、在庫の減少が顕著となっています。
2026年2月28日に開始されたアメリカ・イスラエルのイランに対する攻撃により、原油を積んだタンカーがホルムズ海峡を通れなくなり、日本国内でも、原油を原材料とする製品の供給が懸念され、在庫が減少しています。
全体として2026年1~3月以降、生産が増加する局面に入ってきています。しかしながら、在庫の減少局面から脱することができず、生産の増加率以上に在庫の減少率が上回っています。在庫の活用によって、全体として供給は維持されているようです。つまり、在庫を削減することで、出荷を維持しているため、「意図せざる在庫減局面」から「在庫積み増し局面」に移行できない状態が続いています。
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