「実家じまい」は、親が亡くなって、誰も住まなくなった実家を子ども世代が整理・処分することです。売却か賃貸か、それ以外か。子供たちが感情を整理し、心の面で実家から独立する機会かも。
2025年10月7日付ブログ「相続に伴う個々人の空き家問題は、時間が経てば経つほど、解決には手間と時間とコストがかかります。問題を先送りせずに、少なくとも3年以内には対処することが望まれます」の続きです。
❓ 先日、帰省して、卒業40周年の同窓会に出席したら、現在は東京に住んでいる友人が、故郷の両親が亡くなって「実家じまい」で悩んでいるという話を聞きました。実家じまいとはどういうことを指すのでしょうか。
🅰️ 「実家じまい」は昔からある一般語ではなく、2010年代後半〜2020年代に普及し、急速に広まった比較的新しい言葉です。現代の社会状況を映じて生まれた言葉です。
「実家じまい」とは、親が亡くなったり、老人施設に入居したりして、誰も住まなくなった実家を子ども世代が整理・処分することを指します。実家が、空き家になったタイミングで行う整理・処分の総称です。家財の整理・片付けだけではなく、不用品の整理・処分、遺品整理、相続手続き、空き家などの所有不動産の売却・賃貸・更地化など、一連の作業をまとめた言葉です。
親の死去、親の老人施設への入居、親の長期入院などがきっかけになることが多くなっています。
同じような言葉に「家じまい」があります。家じまいは、家主本人が自宅を整理すること。これに対して、実家じまいは、子ども世代が親の家を整理することです。
なぜ「実家じまい」という言葉が広まったのでしょうか。若い頃、大学進学や就職を契機に、東京や大都市圏に出てきて、そのまま住居を構えてしまった子供たちの両親は、故郷に住んでいます。その両親が高齢化で、介護施設に入ったり、亡くなるケースが増えてきました。このため、故郷の実家が空き家となるケースが多くなってきたためです。
子ども世代では、都市部で生活基盤を構築してしまった人が、実家に戻らず、実家を維持できなくなりました。全国的にも、子ども世代が実家を維持できないことから空き家問題が深刻化し、社会問題になっています。そうした中で、2024年から始まった「相続登記の義務化」により、相続でも、実家の名義を放置できなくなりました。
実家には、想い出が詰まっているため、実家じまいは、単なる家財・不用品の片付けや遺品整理ではありません。家族の歴史や気持ちと向き合う「感情の整理」でもあります。そして最後に残るのが。想い出の残る実家をどうしようかという問題です。
実家への想いはなかなか捨てきれません。両親が倹約して苦労して建てた家です。そして自分たち兄弟姉妹が育って幼馴染と遊んだ家でもあります。夏休みに両親からみれば孫を連れて帰省した家でもあります。愛着が強く、別荘にして何とか残したいとの葛藤もあります。亡くなった両親に対して、手放すことへの罪悪感もあります。
しかし現実は、両親が亡くなり、相続が発生したので、兄弟間で遺産分割を話し合ったが、子供たちは誰もその実家に住む予定がないケースが多くみられます。空き家の管理が難しく、固定資産税や維持費といった経済面、さらに維持にかける時間も負担となります。その上、衛生・治安面で近所の方々に迷惑をかけてしまいます。
一般的には、亡くなった両親の子供たち兄弟姉妹が相続人になります。相続人やその家族の間で、誰かが移住して住み続けるのか、別荘替わりにして維持するか、売却か、更地にして売却か、賃貸か、などを話し合います。感情的な部分も話し合って、互いに納得した上で、方向性を出していきます。
売却・賃貸の方向であれば、町の不動産業者を通じた売却や、市町村の空き家バンクの活用、更地化しての売却、賃貸物件としての活用、民泊としての活用、相続土地国庫帰属制度の活用などの複数の選択肢から最適な方法を話し合って選びます。
実家じまいは、子供たち兄弟姉妹の相続人それぞれが感情を整理し、心の面で実家から独立する機会なのかもしれません。
