2025年末の家計の金融資産は過去最高。新NISAや株高を受けて、投資信託や株式等のリスク性資産の伸びが顕著です。日本銀行が発表した「資金循環統計」は、金融活動を包括的に示しています。


2026年3月18日、日本銀行が「資金循環統計(速報)」を発表しました。資金循環統計は、1つの国で生じる金融取引や、その結果として保有され た金融資産・負債を家計や企業、政府といった経済主体ごとに記録した統計です。一国の金融活動を包括的に示しています。
一番上の図表をみてください。これは、日本の家計全体の金融資産の保有額を時系列にみたものです。ほぼ毎年、金融資産が増加してきています。2025年末を示す一番右の25年4Q(四半期)の棒グラフをみてください。家計の金融資産残高は2025年末に2,351兆円と過去最高になりました。
二番目の図表をみてください。2025年12月末の家計の金融資金残高を前年比でみると全体では+5.3%増加しました。その下の現金・預金から株式等までは、安全資産からリスク性資産の順番で並んでいます。投資信託や株式等のリスク性資産が伸びているがわかります。
現金・預金は+0.5%増加の1,140兆円です。家計の金融資産全体に占める現預金の割合は48.5%と50%を割れました。18年ぶりと報じられています。国債などの債務証券は+9.6%増加、金利の上昇を受けて個人向け国債の購入が増加しています。投資信託は新NISAに取組む人が増え+21.3%と大きく増加しました。株式等は株価の高騰を受けて+22.6%も増加しました。
日経平均株価は、この一年間で、2024年12月末39,894円から2025年12月末50,339円と1万円以上も上昇しています。株価上昇を受けて、徐々にリスク性資産の割合が高まってきています。
さて、今回日本銀行が発表した「資金循環統計」とはどういう統計なのでしょうか。ここでは、家計部門がクローズアップされて、金融資産残高中心に報道されていますが、発表された資金循環統計は、日本全体の部門別の金融取引、金融資産残高・負債残高を包括的に記録した統計です。四半期毎に発表されます。
三番目の図表をみてください。これは、日本銀行が今回発表した「資金循環統計」の中から、全体をまとめた2025年末の「部門別の金融資産・負債残高」の図表を掲載したものです。一目で全体が一覧して把握できるように工夫されています。
日本・世界では、日々様々な経済活動が行われています。その経済活動に伴って、「お金」のやりとりが行われています。こうした「お金」のやりとりの1つ1つが金融取引です。部門別に保有する現金や預金などが動きます。そうしたやりとりの結果としての金融資産残高・負債残高が、この図表に示されています。
図表をよくみると、真ん中に金融機関の資産・負債を置いて、右側に家計・法人企業・政府の保有する「資産」の残高、左側に家計・法人企業・政府の保有する「負債」の残高を置いています。右側から左側にみていくとわかりやすいです。
2025年末に、家計は2,351兆円の金融資産を持っています。その内訳は、現金・預金が1,140兆円、証券が541兆円などです。その預金部分は、金融機関に預けられていて、金融機関からみれば負債になります。預金取扱機関の預金という形での負債は1,733兆円です。預金取扱機関はこの預金を原資に貸出を行います。貸出は1,030兆円です。この貸出は、家計や法人企業からみれば負債になりますので、家計の借入として389兆円、法人企業の借入573兆円となっています。家計の借入が大きいのは、自営業者や個人の住宅ローンを含んでいるためです。
このようにみていくと、日本中のお金の動きが部門別にどのように繋がっているかがわかります。皆さんが金融機関に預けている預金が、金融機関を通じて、家計や法人企業に貸し出されていることもわかります。
因みに、図表の真ん中の下の方に、「中央銀行」と記載されていますが、これは「日本銀行」のことです。日本銀行の資産・負債をみると、何故か現金が負債に計上されています。この現金は「日本銀行券」を指します。つまり日本銀行が発行しているお金そのものです。皆さんのお財布に入っている「日本銀行券」は、日本銀行からみると負債に当たります。
2025年末の現金=日本銀行券は125兆円です。前年比でみると▲2.7%です。確かに減少はしていますが、キャッシュレス決済が広がっている割にはそれほど減少していないように見えます。
日本銀行の負債の中に日銀預け金とありますが、これは金融機関が日銀に預けている当座預金で471兆円あります。一方、資産側の貸出は、日本銀行の金融機関への貸出で80兆円あります。証券が598兆円、公開市場操作で買い入れている国債が大半です。このうち過去の異次元緩和の時代に金融市場(=金融機関)から買い入れた大量の国債を含めて、国債・財投債503兆円保有しています。
日本銀行HPには、「資金循環統計の解説」が掲載されています。かなり専門的な解説書です。さらに勉強したい人は、この解説書を読んでみてください。
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