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日本人学生の海外への留学生数が伸び悩み。学費・生活費などの物価高・円安といった経済的負担増が影響。日本の国際人材育成には、逆風。割高なアメリカが減少し、周辺のアジアの国々が増加。

(出所)JASSO日本学生支援機構
「2024年度日本人学生留学状況調査結果」(2026年5月)
のデータを基に筆者作成

2026年6月29日付ブログ「2025年度の日本国内の外国人留学生は最多の40.8万人。やや遅れて発展してきている東南アジアの国々の出身者が急増。経済的要因、日本の受け入れ構造、日本国内の労働需要、地政学的背景が影響」の続きです。

2026年5月29日、JASSO日本学生支援機構が、もう一つの調査「2024年度の日本人学生留学状況調査結果」も公表しました。

この調査では、日本の大学等と諸外国の教育機関等との学生交流に関する協定等に基づき、2024年度中に海外の大学等で「留学」を開始した日本人学生数に加え、協定等に基づかない留学についても、日本人学生の在籍学校が把握している学生数を合わせて、公表しています。

「留学」とは、海外の大学等における教育・研究等の活動、および学位取得を目的としなくても単位取得が可能な学習活動や、異文化体験・語学の実地習得、研究指導を受ける活動等、海外の教育機関と関連して行われる各種プログラムへの参加をいいます。

一番上の図表をみてください。日本人学生の海外への留学生数を時系列で示しています。日本人学生の海外留学は、2010年代には増加傾向にあり、2018年度がピークで11.5万人にまで達しました。

ところが、その後、世界的な新型コロナ感染症のパンデミックの影響を受けて、2020~21年には激減しました。現在は、回復の途上にありますが、以前の水準までには戻らず、2023年度8.9万人、2024年度9.1万人とピーク比▲2割程度少ない水準で伸び悩んでいます。

2023年に岸田首相が議長を務めた政府の「教育未来創造会議」では、「10年後の2033年までに、日本人の海外への留学生50万人、一方、外国人留学生40万人受入れ」 という双方向の国際教育交流の拡大を国家目標として掲げました。

「外国人留学生40万人受入れ」は、2025年度に早くも達成しましたが、「日本人の海外への留学生50万人」目標は、まだ5分の1程度の達成率ですので、達成は厳しそうです。日本の国際人材育成には、逆風となっています。

元々、日本人学生にとっては、海外への留学には、語学力への不安や、就職活動との両立が難しいこと、さらに、単位互換制度が大学によって不十分であったり、留学すると卒業が遅れるなどの大学の制度的制約など、日本特有の構造的な障壁があります。

これに加えて、最近、日本人学生の海外留学が伸び悩んでいる理由は、主に経済的負担が大きくなっていることです。現地での学費・生活費・渡航費などの物価高に加えて、円安によって、留学費用が上昇しています。アメリカへの留学でみると、5年前の2019年に比べると、2024年は留学費用が1.5倍以上とも言われています。

二番目の図表をみてください。日本人学生の地域別の留学生数です。英語圏の北米が多いのかと思っていましたが、実は、アジア3.1万人41%、欧州2.1万人23%、北米1.9万人21%、大洋州1.2万人13%となっています。

三番目の図表をみてください。日本人学生が留学している上位の国は、アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスといった英語圏が多くなっています。次いで、周辺国の韓国、台湾、中国といった東アジアの国々です。また、最近では、タイ、フィリピン、マレーシアなどの東南アジアの国々が増えています。

留学先の国として、アメリカ、オーストラリアなどの英語圏の国々が上位を占めているものの、地域別にはアジアが多いということは、アジアの国々には広く、日本人学生が留学していることになります。

英語圏では、アメリカは依然として最大の留学先ですが、減少傾向にあります。学費や生活費の高騰、円安による費用負担増、安全面の懸念が要因です。

一方、オーストラリアは安定した人気があります。英語圏で比較的治安が良く、語学留学の受け入れ体制が整備されています。日本人学生のコミュニティが多いという特徴もあります。

これに対して、アジアの国々への留学が増えています。その背景には、英語以外の言語の学習需要が増加していることがあります。さらに円安で欧米留学が割高になったこともあって、費用が比較的安く、距離が近く渡航しやすい国々にシフトしています。

留学といっても、3か月未満の短期留学が全体の70%を占めています。アジアの国々への留学は短期が中心となっています。

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