IMF世界経済見通しが、原油高で世界成長率2025年3.5%⇒2026年3.0%への減速を予測。2027年にはホルムズ海峡の航行が概ね軍事衝突前の状態に戻ると仮定し、3.4%と巡航速度までの改善を予測。

「世界経済見通し(2026年7月改訂版)」掲載のデータを基に筆者作成
2026年4月22日付ブログ「IMF国際通貨基金の世界経済見通しでは、アメリカ・イラン戦争による原油価格高騰を受けて、短期間で止まれば2026年の経済成長率は3.1%、悪化・深刻化すれば2.5%、2.0%に鈍化すると予想」の続きです。
2026年7月8日、IMF国際通貨基金が、世界経済見通しを公表しました。四半期毎に最新の見通しを公表しています。
上の図表をみてください。世界経済の成長率は、2025年の3.5%から減速し、2026年3.0%、2027年3.4%と、2027年には巡航速度まで改善すると予測しています。2026年の減速は、アメリカとイランの軍事衝突の影響による原油価格の上昇を主因としたインフレによるものですが、AI人工知能の進歩とその導入を背景に、世界的なテクノロジーサイク ルが需要主導型の勢いを促進したことによって、幾分相殺されたことを反映しています。
総合インフレ率は、2025年4.1%から2026年4.7%に上昇した後、2027年3.9%に落ち着くと予測しています。2026年の上昇は、主にエネルギーと食料の価格上昇が押し上げ要因となっています。IMFでは、ホルムズ海峡の航行など中東のエネルギー輸送が2027年3月までにおおむね軍事衝突前の状態に戻ると仮定しています。
主要国別にみてみましょう。アメリカの成長率は、2025年2.1%、2026年2.3%、2027年2.2%と予測しています。アメリカは純エネルギー輸出国であることから、戦争による影響は限定的です。経済活動は財政政策、緩和的な金融環境、テクノロジー関連の事業投資と生産性の高さに支えられています。
ユーロ圏の成長率は、2025年1.4%、2026年0.9%、2027年1.2%と予測しています。2026年の減速は、エネルギー価格の上昇 が打撃となっています。
日本の成長率は、2025年1.1%、2026年0.6%、2027年0.7%と予測しています。2026年は、エネルギー 価格上昇の影響を受けて減速し、2027年はエネルギーショックの収束に伴い、わずかに回復する見込みです。
中国の成長率は、2025年5.0%、2026年4.6%、2027年4.1%と予想しています。世界的な原油価格の上昇が、長引く不確実性と構造的な逆風と相まって経済活動を圧迫するため減速すると予測されています。
IMFでは、この世界経済見通しの中で、各国の金融政策の当局者に対して、敢えて次のような助言をしています。
「今般のアメリカとイランの軍事衝突によって、インフレ抑制、経済活動の支援、脆弱な家計の保護の間で難しいトレードオフを迫られている。
金融政策は、物価の安定を維持することに引き続き重点を置くべきである。不確実性が高まる中では、コミュニケーション自体が、政策手段のひとつとなる。中央銀行は、リスクバランスがどのように変化するかを明確に述べる必要がある。
中央銀行の法的・運営面での独立性を維持することは引き続き不可欠である。インフレ率が持続的に目標水準へ戻るまで、必要に応じて金融政策を引き締め的な水準に維持できるようにするためには、金融政策を政治的圧力や財政支配から守ることが不可欠である」。
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