脊髄保護
脊髄解剖
脊髄動脈は背中側で1本?2本? 腹側で2本? 1/3?
脊髄を栄養する血管について。Collateral network concept. 外腸骨でなく内腸
動脈
脊髄は、1本の前脊髄動脈(脊髄前面の前正中裂を走行)と2本の後脊髄動脈(後外側溝)から血流を受ける。
前脊髄動脈は脊髄横断面の腹側2/3、後脊髄動脈は背側1/3のを栄養する。
血流は頭側から尾側へと一方向ではなく部位によっては尾側から頭側へ向かう。
Adamkiwicz動脈はどこから出るのか?
Adamkiwicz動脈(アダムキュービッツ) TH9-11左に多い(Th8-L1から90%が出る)
ヘアピンカーブを描き、腰部脊髄膨大部を養い75%は第9-12胸椎レベルにあり左側の前根動脈由来が多い。
側副血行路(鎖骨下・内腸骨なども)あり
1:C1~Th3→C3(椎骨動脈由来) + C6-7(cervical ascending artery由来)
2:Th3~Th7→Th7(肋間動脈由来)
3:Th8~円錐部→Adamkiewics動脈(肋間動脈由来)
*Adamkiewics動脈は胸腰髄を栄養する最も大きな根髄質動脈であり、起始部高位は、
・75%: Th9~Th12
・15%: Th5~Th8→円錐部は内腸骨動脈からのDesproges-Gotteron動脈が円錐部を栄養する
・10%: L1-L2
Adamkiewics動脈がTh5~Th8と吻側よりから起始する場合は円錐部の血流に内腸骨動脈由来の血流が関与する場合がある。
4:円錐部→内腸骨動脈由来(Desproges-Gotteron動脈)
❌外腸骨動脈
過去問
脊髄を栄養する脊椎動脈に関与する動脈ではないものを1つ選べ。
a.椎骨動脈
b.鎖骨下動脈
c.肋間動脈
d.内腸骨動脈
e.上腸間膜動脈
解答:e
The Collateral Network Concept
脊柱管内には小動脈のネットワークがある.
このネットワークは分節動脈だけでなく、鎖骨下動脈や内腸骨動脈からの枝を含む.
ある動脈の血流が減少すると、他の動脈の血流が増加する.
10対以上の分節動脈結紮後に脊髄灌流圧が低下した。
低下した脊髄灌流圧は徐々に回復した。
過去問
脊髄虚血のリスクについて(AAA手術後はリスクになる)○
動脈瘤の距離が長い
緊急手術
術中低血圧
人工血管置換術
破裂性動脈瘤
解離性動脈瘤
長い動脈遮断時間
分岐動脈再建不良
腹部同薬を含む遠位側の動脈瘤手術の既往
重度の末梢血管病変
貧血
ステントが長い
過去問
2015年心臓麻酔
下行TEVARで脊髄虚血のリスクを選べ
a.Yグラフト後
b.LSCA閉塞
c.長いグラフト長
d.弓部置換既往
解答:abcd
a. Yグラフト後
リスク増加の可能性あり。
Yグラフト(腹部大動脈分岐部の人工血管置換)は、脊髄血流に関与する血管を遮断・減少させることがあり、脊髄虚血リスクを高めることがある。
b. 左鎖骨下動脈(LSCA)閉塞
リスク増加。
左鎖骨下動脈は脊髄への血流の重要な供給路(椎骨動脈や前脊髄動脈を経由)なので閉塞により脊髄虚血リスクが高まる。
頚髄・T1~ T2胸髄では,前神経根動脈は鎖骨下動脈系(椎骨動脈,肋頚動脈幹 – 深頚動脈・最上肋間動脈,甲 状頚動脈幹 – 上行頚動脈),ときに外頚動脈系の上行咽頭 動脈から分岐する).
c. 長いグラフト長
リスク増加。
長いステントグラフトは脊髄への分枝動脈を多く覆い遮断するため、虚血リスクを高める。
d. 弓部置換既往
リスク増加の可能性あり。
弓部置換術により主要な分枝血管の解剖や血流が変化しているため、脊髄血流のバックアップルートが減少し虚血リスクが上がることがある。
虚血性 SCI の分類
1.即時性:
術中の脊髄虚血により脊髄が不可逆的な障害
塞栓
一過性虚血であっても許容時間(常温で 5 ~ 10分程度)を超えると不可逆的障害
側副血流の存在のため,分節動脈非再建=永続性虚血ではない.
2.遅発性
術後の栄養動脈閉塞(再建動脈の閉塞,解離における偽腔血栓化進行に伴う閉塞など)
術後の脊髄浮腫に伴う髄腔圧上昇
血行動態悪化に伴う脊髄灌流圧低下
(分節動脈全閉鎖後の側副血行路の血 流予備能は術後 72 時間程度まで不十分
手術により側副血流依存で障害発生のボー ダーラインまで低下していた脊髄血流量が,術後の血行動 態悪化で障害発生レベルまでさらに低下する )
→対策:
分節動脈非再建の場合には術後 3 日間:高血圧管理+脳脊髄液ド レナージを持続
ステントグラフト術で遅発性SCIが多い
脊髄虚血の予防対策
大動脈瘤・大動脈解離の侵襲的治療における脊髄保護の推奨とエビデンスレベル
Class I
広範囲下行・胸腹部大動脈の開胸開腹手術で,禁忌でなければ脳脊髄液ドレナージ
遅発性脊髄障害に対して脳脊髄液ドレナージ
Class IIa
術前に造影MRI,造影CT などの非侵襲的検査による脊髄栄養動脈の同定
同定された栄養動脈の温存または再建
広範囲胸腹部大動脈置換術に際して肋間動脈再建
心拍動下手術に際して遠位側大動脈灌流
小範囲分節遮断によるepidural networkを活かした肋間動脈再建
一期的手術の必然性がない症例には段階的手術
脳脊髄液ドレナージ
周術期にナロキソンの持続静脈内投与:1μg \kg\hr持続
電気生理学的脊髄機能モニタリング
脊髄灌流圧=平均動脈圧−(脳脊髄圧・CVPの高い方)
平均動脈圧は90mmHg以上 脳脊髄圧は10mmHg未満に保ち
Hb 10g/dlを目標
スパイナルドレナージ
問題点
細:ドレナージ不全
太: 頭痛、リーク、血の混じったCSF、頭蓋内出血
①術前評価:
抗凝固薬のチェック
血小板>10 万/μL3
PT-INR <1.3以下
Normal aPTT
禁忌穿刺部位の感染、脳圧上昇
術前24時間にawakeに挿入。
血性CSFなら
外科医と話し合い
手術を翌日にする
抗凝固を遅らせる
画像検査
②術中管理
CSFP < 10 mmHg あるいはSCPP > 60 mmHg,
CSFドレナージは<15 ml/h
くも膜腔オピオイド 避けたほうがいい
③術後管理
カテーテル留置から72時間以内の抜去
抗凝固薬の影響の無い時間帯に、抗凝固薬のチェック
血小板>10 万/μL3
PT-INR <1.3以下
Normal aPTT
過去問
腹部置換後、弓部置換後、左鎖骨下動脈カバー、肋間動脈閉塞などのうちステントグラフト後の神経合併症リスクとなるものは。
前脊髄動脈への血流:①鎖骨下動脈②肋間動脈腰動脈(Adamkiewicz動脈含む)③内腸骨動脈
TEVAR後のSCI(脊髄虚血)のリスク:広範囲の肋間動脈閉塞・AAA手術置換既往(内腸骨動脈閉鎖)・左鎖骨下動脈カバー
OpenのSCIリスク:緊急・解離/破裂・大動脈遮断レベル・遮断時間・年齢・広範囲手術・AAA手術置換既往(内腸骨動脈閉鎖)
ステントの方がやや術後対麻痺少ない
過去問
上肢MEPが下がった時にどう対応する?
高度な低体温?麻酔薬の影響?脳梗塞の可能性?Fade現象?
過去問
MEPが両方下肢が下がった。まずすべきことは?
→脊髄虚血の可能性
血圧上げる
貧血改善
肋間動脈還流と再建
CSFドレナージ
チーム内情報共有と協議
✖️下肢を冷やす
✖️麻酔深度を上げる
過去問
MEPが左下肢だけ下がった。考えられるのは?
坐骨神経麻痺
頭部右電極剥がれ
送血管挿入側でのみのMEP低下であれば下肢の虚血、チーム内情報共有、経過観察
遅発性脊髄虚血はステントグラフト手術で多い
