人工心肺構成
人工心肺装置の構成
(遠心ポンプ50%、ローラーポンプ25%、両方25%、図も遠心ポンプ)
1.体外循環回路:
①血液ポンプ 拍動流(ローラーポンプ)と脈圧の無い無拍動流(遠心ポンプ)
流量計:遠心ポンプコンソールに表示
灌流量 4.2L/min (ポンプ流量:2.2-2.5L/min/m2 低体温と組み合わせたら1.0-2.2でもOK)
Perfusion index L/min/m2
回転数 2500RPM
②人工肺(血液を酸素加し、炭酸ガスを除去する装置で、気泡型と膜型がある)
2.付属回路:
貯血槽(静脈貯血槽、動脈貯血槽)
CPBリザーバー残量から送血可能量を計算させる問題。
リーザーバーに最低200は残す(今は100残しくらいでもいける)
プライミング:1000くらい:(HES+ラクト+マンニトール)
過去問
CPBリザーバーの残量が900ml,CI 2.5,BSA 1.7,何秒でリザーバーがなくなる
CO=CI*BSA=2.5*1,7=4.2=4250ml
時間=リザーバー残量/CO=4250ml/900ml=13秒
吸引ポンプ
ベントポンプ
熱交換機、冷温水槽(体外循環中の血液の温度を調節することにより、体温を調節する装置)
冠灌流回路(停止中に心筋保護液や酸素加血をローラーポンプを用いて冠動脈に灌流する)
血液濃縮装置(人工心肺中の血液希釈や心保護液の注入により希釈された血液を限外濾過により余剰水分を除去する)
3. 安全装置:
体→静脈血センター→レベルセンター→貯血槽→気泡検知センサー
→ポンプ→流量計(回転数)→熱交換器→人工肺(セット必ず熱交換器先)
圧センター→動脈フィルター/バブルトラップ→抗逆流弁→気泡検知センサー→体
①無停電電源装置:内部電源の喪失や駆動系の故障に備えて, ポンプヘッドを手動で回す装置(ハンドクランク)も常備しておかなければならない。
②レベルセンサー:レベルセンサーは貯血槽に取り付けられ,貯血レベルが低下した場合にアラームを発する装置
脱血回路の折れ曲がりなどで脱血流量が減ると貯血レベルは低下し,貯血槽が空になれば送血回路から患者に空気を送る危険性がある
③圧力モニター:回路の内圧(送血圧)のモニターは送血の状態,人工肺・送血フィルターの目詰まり,回路やカニューレの折れ曲がり,カニューレの先当たり,さらには大動脈の偽腔送血などの問題をいち早く見つけるためにも重要なモニター
送血圧(人工肺後),人工肺前圧,脱血圧,脳分離送血圧,心筋保護液注⼊圧をモニタリングする
ポンプの後に圧モニターがある
(ポンプのあとに2箇所必要
ポンプ⇒圧⇒熱交換器+人工肺:セット必ず熱交換器先⇒(圧)⇒フィルター⇒圧⇒体)
④送血フィルターとベントの逆流防止弁(逆止弁):
気泡を検出するだけでなく,流入してしまった気泡を除 去することも必要で,エアトラップや送血フィルターの取 り付けが求められる。できれば,微細な気泡(micro-bubble) や異物も除去できる送血フィルターの取り付けが望ましい。ただし,フィルターは患者より高い位置に設置してはならない。ベントポンプの逆回転やベントポンプの回路の掛け違い による空気誤送を防ぐため,ベント回路への逆止弁の取り 付けも f a i l - s a f e の観点から重要な安全対策となる。
バブルトラップ(貯血槽内のフィルターに加え、異物や、気泡などを除去する)
送血フィルター(動脈フィルター):送血側回路の最も患者側につける
気泡、凝血塊、材料の破⽚等をトラップする
フィルター径は20〜40μm
それ以下の大きさのマイクロバブルでもフィルター素材に付着するため、捕捉は可能だが、衝撃が加わると簡単に流れてしまうので注意が必要
⑤気泡検出器:送血回路への気泡の流入は,貯血槽からのものだけではなく,気泡は人工肺から発生することもあるため,送血回路に気泡検出器を取り付けるのが望ましい。
レベルセンサーが機能しなかった場合を想定したfault tolerance の観点からも気泡検出器は有用である。
気泡の検出時はアラームにとどまらず,場合によっては自動的に血液ポンプ を止める fail-safe 機能を持たせると,安全性はより高くなる。心筋保護液回路,閉鎖回路では脱血回路にも気泡検出 器を設置すべきである。
⑥脱血回路に取り付ける静脈血酸素飽和度( SvO2 )モニター :CPBと 肺 で の ガス交換,送血流量あるいは心拍出量,ヘモグロビン値, 生体の酸素代謝のいずれにも反応するため,非常に有効な 安全モニター
⑦CDI
脱血側の血液と人工肺後の血液(送血側)の血液ガス所⾒がリアルタイムで表示される
⑧ガスブレンダー
PaCO2はガス流量 2.5
PaO2はFiO2 0.6
CO2を添加できる
日本体外循環技術医学会勧告 人工心肺における安全装置設置基準(第三版)
1.静脈血酸素飽和度(SvO2)をモニターすることを必須とする。
1-1. 動脈血連続ガスモニターを推奨する。
2.レベルセンサー(アラーム付き)を貯血槽に設置することを必須とする。
2-1. レベルセンサーによる送血ポンプの制御を強く推奨する。
3.気泡検出器(アラーム付き)を送血回路に設置することを強く推奨する。
3-1 気泡検出による送血ポンプの制御も強く推奨する。
4送血圧力計は送血ポンプと人工肺の間に設置し常時モニターすることを必須とする。
4-1. 高圧時のアラーム機能を強く推奨する。
4-2. ローラーポンプ送血では高圧時の制御を強く推奨する。
4-3. 遠心ポンプも高圧時の制御を推奨する。
4-4. 送血圧とは別に送血フィルターの入口圧の常時モニターも推奨する。
4-5. 送血フィルター入口圧は切り替えもしくは追加的にモニターできることを必須とする。
4-6. 送血フィルターと送血カニューレの間の圧を追加的にモニターできることを推奨する。
5.遠心ポンプ送血では流量計の取り付けを必須とする。
5-1. 低流量アラームの設定を推奨する。
6.遠心ポンプでは逆流防止策(逆流防止弁あるいは逆流アラーム)を推奨する。
7.送血フィルターもしくはエアトラップの送血回路へ取り付けを必須とする。
7-1. 送血フィルターの取り付けを強く推奨する。
8.ポンプベントではベント回路への逆流防止弁の取り付けを強く推奨する。
9.送血フィルター,人工肺の気泡抜き回路には逆流防止弁の取り付けを推奨する。
10. 心筋保護液の注入圧力のモニターを必須とする。
10-1. 設定圧を超えた場合のアラーム機能を強く推奨する。
10-2. 高圧時の注入ポンプの制御を推奨する。
11. 心筋保護液回路への気泡検出器の取り付けを強く推奨する。
12. 送血ポンプの手動装置の常備を必須とする。
12-1. 送血ポンプではバッテリーの内蔵を必須とする。
12-2. ポンプシステム全体のバッテリー内蔵を強く推奨する。
12-3. ポンプシステムの予備の電源コードの常備を推奨する。
過去問
2015心臓麻酔
人工心肺について誤ったのはどれか
a.送血側にフィルターを付けるべきである
b.送血側に圧モニターを付けるべきである
c. 脱血管の酸素飽和度
d.貯血槽のレベルセンサー
解答:c
a. 送血側にフィルターを付けるべきである
→ 正しい。
送血側には動脈フィルターを装着し、微小血栓や気泡を除去して脳塞栓などを防ぎます。これは標準的な安全管理です。
b. 送血側に圧モニターを付けるべきである
→ 正しい。
送血圧を常時監視するため、動脈ラインに圧モニター(トランスデューサー)を設置することは基本です。
c. 脱血管の酸素飽和度
→ 誤り。
脱血管(静脈脱血側)には通常圧モニターを付けるが、酸素飽和度を直接モニターすることは一般的ではない。
動静脈の混合静脈血ガスを取ることはあるが、脱血管に連続的なO2センサーをつけるのは一般的でないため、この選択肢が誤りと考えられます。
d. 貯血槽のレベルセンサー
→ 正しい。
貯血槽の液面が下がりすぎるとエア吸引による空気塞栓のリスクがあるため、レベルセンサーを使って自動的に警報を出す仕組みが必要です
過去問
2017年心臓麻酔
CPB開始後、送血圧が高くなった。対策は誤ったのはどれか
a.寒冷凝集で冷やすのを止める。ゆっくり冷やしていく
b.CPB止め
c.TEEで観察
d.NTG
e.送血ポンプの流出チューブを直接人工肺に接続、再度送血圧を測定
解答:d
a. 寒冷凝集で冷やすのを止める。ゆっくり冷やしていく
→ 正しい対応。
寒冷凝集素(cold agglutinins)があると低体温下で赤血球が凝集し、微小循環障害・送血抵抗増大を引き起こすため、冷却を中止 or 緩やかに冷却するのは適切です。
b. CPB止め
→ 誤りの可能性が高い。
いきなり人工心肺を完全に停止するのは、生命維持に危険を及ぼす恐れがあり、他の原因検索や修正策を講じた後に慎重に判断すべきです。
送血圧高値は、カニューレの位置異常・送血回路の閉塞・寒冷凝集・血管抵抗上昇などが原因であり、それらのチェックを先に行うべきです。
c. TEEで観察
→ 正しい対応。
食道心エコー(TEE)により、カニューレの位置、心内血流、逆流、閉塞などを確認することは非常に有用です。
d. NTG(ニトログリセリン)
→ 正しい対応。
末梢血管抵抗が高くて送血圧が高い場合、血管拡張薬(NTGなど)で圧を下げるのは正しい判断です。
e. 送血ポンプの流出チューブを直接人工肺に接続、再度送血圧を測定
→ 正しい対応。
これは人工肺の閉塞や送血回路異常を疑ったときのトラブルシューティング方法で、回路トラブルかどうかを見極めるために行います。
ローラーポンプ
構造:
単純で低コスト
オクルージョン設定が必要
チューブの摩耗が⽣じやすい
吸引ポンプとしても使⽤可能
ポンプ流量
一回拍出量は チューブ内径と圧迫される距離と回転数rpmに依存
ポンプヘッドの直径とローラー接地チューブ長とローラー回転数
回転数で流量が容易に調整可能
後負荷に依存しない心拍出量が作れる:流量=rpm×(1回転あたり駆出量)
拍動流が可能
回路の閉鎖:
送血側の閉塞で過度の陽圧が⽣じる(回路が破裂する危険性)
リザーバーのない回路では脱血側の閉塞で過度の陰圧が⽣じる
過剰な圧力によっていラインを断裂させることがある
ラインがクランプ⇒破裂・オクルージョン(微小気泡生成・血液損傷)・摩耗でプラスチック片放出:スポレーション
圧閉度調子が必要(occlusion test)
気泡誤送
キャビテーションによるマイクロバブルが発⽣する
キャビテーション:液体の流速が増加すると圧⼒が低下し,その圧⼒が液体の飽和蒸気圧まで低下した場合,液体中に非常に小さな“気泡核”が産⽣され,この気泡核を元にマイクロバブルが発⽣する
オクルージョン(微小気泡生成・血液損傷)
ローラーポンプは正確な血流量を維持するためにオクルージョンが必要不可⽋であるが,流⼊部では過度の負圧が発⽣する原因でもあり,血液内の気泡核がマイクロバブルの増加を惹起する
大量空気送気の可能性あり
血液損傷:
過度のオクルージョンにより溶血を⽣じる
遠心ポンプ
中空糸を通過するか?
後負荷(血液粘性)に反比例した拍出量:流量計が必要
拍動流が不可能
血液損傷がすくない
抗逆流弁:ラインをクランプしなかった場合逆流可能性あり;高圧側患者から低圧側:静脈リザーバーに逆流起こることあり
流量調整時は流出路のクランプで調整する。
回転数と流量は比例する×後負荷に依存するので、非線状で
過剰な圧がかからない、動脈ラインは破裂しない
大量空気送気はない
直接空気と血液が接するか×
プライミング以後は接していないはず 大量の空気が混入すると遠心力を失いポンプ機能が停止する。
低回転(1000RPM以下)やポンプ停止時に患者血圧がポンプ出口圧より⾼いと送血側から血液が逆流する
気泡誤送:
遠心ポンプは通常使⽤では過度の負圧を発⽣することがないため,マイクロバブルを発⽣させる面ではローラーポrプより安全と言える
構造的にマイクロバブルが崩されて更に細かくなることで除去を困難にすることが問題
マイクロバブル(微小気泡):発⽣時の大きさが50μm未満の小さな気泡と定義され、表面に電荷を伴っている。
通常の気泡が浮⼒によって上昇して⽔面で破裂するのに対して、マイクロバブルは⽔中で縮小し、最後には消滅する。
血液内では気泡表面に疎⽔的なタンパク質が付着し、マイクロバブルの溶解が遅延することが報告されている。
従って、⽣体内に混⼊したマイクロバブルは溶解して消滅せずに、10μmといわれる⽑細血管を閉塞し、微小な梗塞を形成する。
血管内で崩壊することで内皮を傷害する
⾼温、⾼圧のホットスポットが発⽣する
対策:
血液と空気を攪拌させない
脱血回路に空気を混⼊させない
過度のベントやサッカーを避ける
CO2を術野に効果的に使⽤する(送血フィルターでは全てのマイクロバブルを捕捉できない)
過去問
2015心臓麻酔
遠心ポンプについて誤ったものを選んでください。
a. 弁機構が必要
b. 送血側に気泡検知器が必要
c. 流量計が必要
d.逆流防止策を推奨する
解答:a
a. 弁機構が必要×拍動流ポンプは弁機構がありが、ローラーポンプ
b. 送血側に気泡検知器が必要◯
日本体外循環技術医学会から勧告として出された「人工心肺における安全装置設置基準
気泡検出器:送血回路への気泡の流入は,貯血槽からのものだけではなく,気泡は人工肺から発生することもあるため,送血回路に気泡検出器を取り付けるのが望ましい。レベルセンサーが機能しなかった場合を想定したfault tolerance の観点からも気泡検出器は有用である。気泡の検出時はアラームにとどまらず,場合によっては自動的に血液ポンプ を止める fail-safe 機能を持たせると,安全性はより高くな る。心筋保護液回路,閉鎖回路では脱血回路にも気泡検出 器を設置すべきである。
c. 流量計が必要○
d. 遠心ポンプでは逆流防止策を推奨する○
ラインをクランプしなかった場合逆流可能性あり;高圧側患者から低圧側:静脈リザーバーに逆流起こることあり。回転数が少ないと送血回路から逆流してきます。
過去問
人工心肺について正しい二つはどれか
a. ローラーポンプで溶血を生じる
b. ローラーポンプで容積一定
c. ローラーポンプでは拍動流にはできない
解答:ab
a.◯
b.○
c.×
遠心ポンプは溶血なし、拍動流できない,圧一定ですが容積は不定なので流量計が必要
ローラーポンプは溶血(長期間使用に向いてない)、圧が上がるが、拍動流でき、容積が一定である
ローラーの回転数を変化させ拍動流ができること。その他にはIABPが入っていれば拍動流になるが、上肢に対してのみ拍動流となり下半身は拍動流とならないことに注意。
過去問
遠心ポンプの特性について誤ったのは?
a.長時間使用に適性している
b.同じ流量を得るために高回転が必要
c.低流量において流量調整がしやすい
d.ポンプを停止すると逆流が生じる
e.ポンプ回転数と流量の相関は非線形である
解答:c
a:ローラーポンプは血球損傷が激しいのに比べ、遠心ポンプはその辺りが優しいので長時間使用に向いて いる
b.遠心ポンプは1分間で1000~5000回転が必要です。
c.×回転子の回転数と血液の吐出量は比例しないので流量計が必要となります。
低流量では精度が落ちる
d.回転数が少ないと送血回路から逆流してきます。
過去問
人工心肺について正しいのは?
a.膠質浸透圧が低下
b.気泡型人工肺が主流である
c.脳血流は還流圧に依存
d.心停止中は肺動静脈の血流は消失
解答:a
a.血液希釈を行うため、膠質浸透圧は低下します。 血液希釈の目的は
①血液粘稠度の低下させることで末梢循環を改善する
②輸血量を減らす
③尿量を増やして腎不全を防止する
④血液破壊、タンパク変性を予防する
ただし欠点もあり、薄める訳ですからヘモグロビンの低下を招き、酸素運搬能が低下し、代謝性アシドーシスになる。また膠質浸透圧の低下のために浮腫が生じます。さらに末梢血管抵抗が下がるので血圧は低下しやすくなります。
b:現在よく使われている人工肺は膜型人工肺です。これはガス透過性のある膜を介して血液とガスを接触させる方式です。膜形状によりフィルム膜(積層型、コイル型)と中空糸膜に分かれます。
中空糸膜は還流方法により、外部還流型と内部還流型があります。外部還流型は中空糸にガスを流すタイプで、現在の主流だそうです。内部還流型は中空糸の細い中に血液を流すタイプです。
気泡型は、かつては使われていましたが、血液を直接ガスと混合させる方法です。安価で充填量が少ないのでプライミングは容易ですが、血液とガスが直接触れるため血液損傷が大きく、タンパク変性、溶血、血小板減少などが起こりました。また補体活性が亢進して炎症反応が強くなり、溶け切らないガスが微小空気塞栓子となり得ました。
人工肺の設置位置も両者では異なり、気泡型は空気塞栓のリスクがあるので貯血層の前に設置する必要がありました。膜型はその心配がないので貯血層からポンプで吸い上げた後に設置し、酸素化してからフィルタを通して送血できます。
c:灌流圧ではなく、灌流量。脳分離灌流時は三分枝全てで600mL/min以上を目安にします。しかし報告では灌流圧が低くて脳合併症を起こしたとするものもあり、両方のファクターに注意が必要なようです。でもメインで見るのは灌流量。(参考)
d:肺静脈から左室に出てくる血液をベントで引いてくるので、肺動静脈の血流は消失していない
過去問
・送血管から空気混入、どうする?
→体循環停止、送血管抜去
→Trendelenburg体位 head down
→人工心肺を補液してみたし送血回路の空気抜き
→サクションから脱血
→冷却しながら脱血回路から順行の5分の1程度で
逆行送血( CVP<25mmHgを維持):脱血から送血してエア抜きする
→送血管抜去部位から気泡を排出、サクションで血液を心肺へ
→患者をゆらして気泡排出(特に頭部)
→気泡がなくなったら大動脈に送血管再挿入
→順行性体外循環
→しばらく低体温体外循環を維持し気泡の吸収をまつ
人工肺:
健康な人の肺能力の1/200程度
同じ血液容積あたり酸素交換量は生体肺が人工肺より多い○
分類:
1.フィルム型人工肺
2.気泡型人工肺
3.膜型人工肺
①コイル型
②積層型
③中空糸型:内部灌流vs 外部灌流
ガス交換膜︓多孔質膜(ポリプロピレン)
構造︓中空糸型、外部灌流(外に血液、中にガス)
熱交換器内臓︓血液は熱交換部を先に通る
(復温時に酸素飽和させてから加温すると気泡が発⽣する)→人工肺の後にフィルターがある
過去問
新鮮ガスの流量を増やせば動脈血酸素分圧を調節できる?
脱血回路
抵抗:長さ×(半径)*-4 に比例
脱血流量 (CVPと貯血槽内の圧較差)÷(脱血回路の血流抵抗)
①落差脱血
≪原理≫:サイフォンの原理で落差により貯血量を調節
利点:
特別な装置を必要とせず、実際上充分な脱血量が得られるため広く用いられている
欠点:
太いカニューレが必要→ 通過抵抗を低くするため太いカニューレが必要となり、右心房(大静脈)を損傷
回路レイアウトの制限→ 落差が最大になるよう貯血槽をできるだけ低い位置にセティングする必要がある
過脱血→ 落差をつけすぎるとその陰圧で静脈壁が脱血管に吸い付き、かえって脱血量が減少する
エアーブロックが起こりやすい→ 脱血管~脱血回路内に空気が混入するとサイフォンの原理が働かなくなり、脱血できない
②ポンプ脱血
患者からの脱血をポンプによって行う方法である。
脱血管と貯血槽の間に静脈ポンプを配置 し、これにより脱血量の調整を行う。
脱血用の静脈ポンプと血液を送血する動脈ポンプを 使用するため2ポンプシステムと呼ばれる
③陰圧吸引補助脱血( VAVD,vacuum assisted venous drainage)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsao1972/35/1/35_1_6/_pdf
長所:
径が細いカニュレでもよい(血液回路短縮・充填量の軽減)
落差大きくなくてもよい
エアブロック起こりにくい
短所:
• 確実な陰圧源が必要
• 静脈貯血槽が陽圧になる危険性
• ポンプ脱血はPCPS回路で使用
• 溶血の可能性:陰圧だから
• 微小気泡発生の可能性:ポンプ脱血>VAVD>落差脱血
• 静脈リザーバ ー内陽圧化の可能性 :
静脈リザーバー内の陽圧化は, CVP上 昇としてモニターされるため,麻 酔医はCVPモニターに留 意 し,アラームを設定することが好ましい
• 人工心肺充填時の人工肺からのエアー吸入
使用適応
(1)低 侵襲心臓手術(MICS)
Port-accessMICS Standard MICS
(2)大 腿静脈を脱血部位に使う心臓・大血管手術
(3)小 児心臓手術
(4) 回路 充 填 液 の 低 充 填 化 を意 図 し た手 術(無 輸 血 手 術 率 の向上)
(5)通 常の開心術で小口径の脱血カニューラを用いる手術
過去問
陰圧吸引補助脱血について誤ったのは
a.閉鎖回路にも用いられる
b.エアーブロックが生じやすい
c. 径が細いカニュレでもよい
d. 静脈リザーバ ー内陽圧化の可能性がある
e. 微小気泡発生の可能性は落差脱血より高い
解答:b.VAD,PCPSは閉鎖回路ので、人工心肺の脱血不良によって、エア・ブロックという現象が生じ、送血管へ空気が引き込まれて、脳動脈の空気塞栓が起りにくい
つまり大きなエアができなにくけど微小気泡が出る
CPBの確立
送血管挿⼊
送血管挿⼊時の解離の予防と発⾒
血圧を上げすぎない
解離は送血管挿⼊時にだけおきるわけではない
脱血管挿入
脱血管の位置異常(脱血不良の原因)
肝静脈に迷⼊していないか、深すぎないか
イニシャルドロップ
体血管抵抗の低下により惹起される体外循環開始時の急激な血圧低下
機序:
血液希釈による血液粘性の低下
内因性カテコラミンの希釈
⼀過性の低酸素血症
pHの低下
血中カルシウム濃度の低下
対策:昇圧薬
適正還流量
ポンプ流量:2.2-2.5L/min/m2 低体温と組み合わせたら1.0-2.2でもOK
CPB中の目標灌流量は, 慣例的に体表面積(body surface are :BSA)と温度に応じて決定されてきた.
中等度の低体温から常温の条件下では, ポンプ流量は概ね2.2〜2.8 L/min/m2の間に設定されている.
これは術前の心拍出量の60〜80%に相当する
周術期におけるDO2とVO2のバランスの最適化は、心臓手術を受ける患者管理の基礎となる.
2006年にRanucciらは,慣例的に⾏われてきたBSAを基に灌流量を決定するのではなく, DO2と⼆酸化炭素産⽣量(carbon dioxide production :VCO2)から灌流量を決定することにより, 好気性代謝を維持できる可能性を報告した.2011年にはde Somerらが, 目標指向型体外循環管理(goal directed perfusion : GDP)という新しい概念を提唱した.
⽣体は十分なDO2があれば好気性代謝を維持することができる. 逆に不十分なDO2下では嫌気性代謝が⾏われ, エネルギー産⽣効率は低下する. その結果、SvO2の低下, 乳酸値の上昇が観察される. 好気性代謝と嫌気性代謝の境界となるDO2をcritical DO2と呼ぶ. Critical DO2以上を維持することにより, 好気性代謝も維持可能となる. GDPはDO2に加え, VO2,VCO2をモニタリングしこれらの数値目標を維持することで, 適切な灌流を達成しようとする考え⽅である
大動脈遮断
大動脈弁閉鎖不全が存在するときは、逆流による左心室の過伸展を生じるため左心室ベントなどにより防止する。
大動脈遮断時は、大動脈壁損傷を予防するため灌流量を減少させて送血圧を下げることもある。
大動脈遮断後に注意しながら心筋保護液の注入を開始する。
適正還流圧
従来, CPB中のMAPは通常50〜80mmHgの範囲で受け⼊れられてきたが, 人工心肺中の適正平均動脈圧の決定⽅法は,いまだ統⼀されていない.
灌流圧は50-60だが人によっては70以上をkeep(脳の自動能が50で保たれるのを根拠に)
Htは18%以上(低体温では15%以上)
脳酸素消費量CMRO2:
3.5ml/min/100g重量
基礎代謝の20%
60%が電気生理に40%を機能保持に
6-7%代謝下がる(1℃下がる毎に)
復温
37℃超えないように(高体温でベナンブラ拡大するため)
復温時は、送脱血温度較差を5℃以内とし、中枢末梢温度較差もなるべく少なくする。
体温の上昇とともに組織の酸素消費量が増加するため、灌流量、送気ガス流量、ガス濃度を増加させる。
血液ガス、電解質などが正常であれば、復温により通常自己拍動となる
低体温の影響
凝固能低下:ACT延長、出血傾向
組織の酸素需要量が減少する
ヘモグロビンの酸素解離曲線が左方へ移動する:H+濃度,DPG,体温,およびPco2の低下により,曲線は左方移動する。Hbは酸素に対する親和性が上昇している。
酸素運搬能は低下
トラブル
体外循環開始時の血圧低下
循環血漿量不足: 灌流量を一時的に増加
イニシャルドロップ: 昇圧剤などを使用
大動脈解離:突然、動脈圧が低くなり流量増加や昇圧剤に反応しない場合には疑う。CPB止める
人工肺あるいは動脈フィルターの目詰まり:前後の圧力差を測定し原因を突き止める。
回避できない場合には部分体外循環であれば、必要に応じて離脱を試みる。
貯血槽液面が低下する場合には、脱血不良が疑われる。上大静脈圧の上昇は脳の灌流障害に注意
脱血圧が低下
循環血液量不足→貯血レベルを下げる
静脈壁や右心房の自由壁が脱血カニューレに吸い付いている
脱血カニューレの位置異常や回路の折れ曲がり→執刀医に伝える
血液粘度増加:血液希釈が必要
過去問
心臓外科2010
人工心肺下の低体温状態に関して誤っているのはどれか.
a 血液希釈が必要になる
b 組織の酸素需要量が減少する
c ヘモグロビンの酸素解離曲線が左方へ移動する
d 血液凝固能が低下する
e 血液粘度が低下する
解答:e
b.◯低体温では、基礎代謝が低下し、組織の酸素需要は減少する
e.×末梢血管抵抗の増大、血液粘度の上昇がおこるため、CPB中に血液希釈が必要
a.◯場合は、血液希釈を行う必要があるとされている。
c.◯酸素解離曲線は左方に移動するため、ヘモグロビンより酸素が放出されにくくなり、酸素運搬能は低下する。
d.◯低体温の影響で、血液凝固能の低下がおこるため、手術に際し出血傾向が問題となる。
αSTATではPHSTATと比較して脳血流増加?❌
血液を冷却するとCO2が細胞内へ移動、PaCO2低下・pH上昇:生体内は呼吸性アルカローシスになる。低体温下のCPBでこの状態を補正するために、外部からCO2をCPBへ付加して、総CO2量をふやす方法がPHとαスタットがある
pHSTAT:CO2を負荷して・脳血管拡張(脳血流増加)で早く体温下がる・小児で用いられる
pHスタットでCPB90分超えるとPOCD増えるエビデンスあり
αSTAT:PaCO2を37℃で測定(CO2負荷しない)・細胞膜間のpH較差は維持
28℃では pH7.56 PaCO2 26mmHg になる
成人は基本αSTAT
成人は脳血管拡張しすぎるときたないものが流れて術後脳梗塞などがおこるからpHSTAtTは避ける
