アルバムジャケットが持つ芸術的価値 アートデザイン集団ヒプノシス(Hipgnosis)から(仮) No.2
アルバム・ジャケットが持つ芸術的価値とは?
・単なる商品パッケージ以上の価値を含む
・アーティストの世界観、音楽性を視覚的、直感的に伝える
・音楽を楽しむだけではない、独立したアート作品として鑑賞可能(部屋に飾る、コレクションなど)
・写真、イラスト、タイポグラフィなど、多彩な表現技法の融合
・時代背景を映し出すアイコン(アートシーン、流行、カウンターカルチャー)

『Sgt.Pepper’sLonely Hearts Club Band』

『Sticky Fingers』
ヒプノシス(Hipgnosis)概要
●主要メンバー
ストーム・トーガソン(Storm Thorgerson)(1944‐2013)
イングランド出身 アートデザイナー、グラフィックデザイナー
王立芸術大学で学び、その後1968年にアート集団「ヒプノシス」を結成。
オーブリー・パウエル(Aubrey Powell)(1946‐)
イングランド出身 アートディレクター、グラフィックデザイナー、
映像プロデューサー
ロンドン・フィルムスクールの後、ロンドンでテレビ番組などの美術デザイナーとして活動。
友人のトーガソンとともにヒプノシス結成。
ピーター・クリストファーソン(Peter Christopherson)(1955‐2010)
イングランド出身 アートデザイナー、グラフィックデザイナー、
ビデオ・ディレクター
ミュージシャンとしても活動、スロッビング・グリッスルの元メンバー。
ニューヨーク州立大学にて舞台デザイン、ビデオ制作を学ぶ。1974年からヒプノシスのデザイナーとなる。
●歴史
1968:ストーム・トーガソンとオーブリーパウエルの友人であるピンク・フロイド(ロックバンド)のメンバー、ロジャーウォーターズ(作曲、ベース)から2ndアルバム『A Saucerful of Secrets』のジャケット・デザインの依頼を受け、デザインチームを結成。音楽アルバムの制作を主軸とし、ロンドンを拠点に活動。

『A Saucerful of Secrets』
1970s:74年にピーター・クリストファーソン加入。活動の最盛期。
1980s:プログレッシブ・ロックの終焉、パンク・ロックの台頭。ミュージックビデオなどの映像分野(MTVなど)やCDが席巻し、活動は下火に。82年にはすべてのジャケット・デザイン、広告事業から撤退し、「ヒプノシス」解散。映像分野に特化した「グリーンバック・フィルムズ」を設立。しかし、後発企業であり、軌道に乗れず倒産。
プログレッシブ・ロック(プログレ)
1960年代後半のイギリスに登場したロックのジャンルの1つ。進歩的、革新的なロックを意味する。最新の音響技術の多用、超絶技巧な演奏、激しい転調、が特徴。
パンク・ロック
1970年代後半から80年代にかけて登場したロックのジャンル。激しい曲調、過激なパフォーマンス、反体制の表明が特徴。
プログレが持つ進歩的・革新的な要素と、ヒプノシスが手掛けるシュルレアリスムの要素は親和性が高く、70年代に活動の最盛期を迎えた。しかし、後のパンクブームにより、アルバムジャケットにおける美的価値の需要が低下。その後、1981年に開局したアメリカのケーブルチャンネルMTVが音楽と映像分野の融合を加速させ、同時期に新しい媒体であるCDが流通。メディアの変化によってカジュアルな音楽の消費が進み、アルバムジャケットのアートとしての楽しみ方が薄れた。。。
しかし、後出のデザイナー、アーティストらへの影響は計り知れない。
《今後の展望》
・詰めが甘い。
・ヒプノシスについて、歴史的背景、活動の実態をさらに分析する必要あり。
・ヒプノシス以前・以降の著名なアーティストや、アルバムジャケット制作の実態を調査。
・日本におけるアルバムジャケット制作と、ヒプノシスによる直接的・間接的な影響の有無。
・メディアの変化に伴うアルバムジャケットの受容や価値の変化をより明確に。
・映画を見る。
・ゼミの先生からPDFで頂いたパンフレットにヒプノシスが手掛けた全ての作品が一覧として掲載されていた。全作品聴く。
《参考文献》
・オーブリー・パウエル(著)、迫田はつみ(訳)『ヒプノシス全作品集』2025年1月
・A Lesson in Record Sleeve Design from the Inimitable Hipgnosis“Fortunately for me, Pink Floyd were just starting out…”
https://eyeondesign.aiga.org/a-lesson-in-record-sleeve-design-from-the-inimitable-
・マックス・ブレジンスキー(著)、坂本麻里子(訳)『ヴァイナルの時代 21世紀のレコード収集術とその哲学』2022年9月
