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小さな光は、誰かの勇気になっている

その夜、水辺には小さな光が揺れていた。

静かな湖面に映る光は、星みたいでもあり、誰かの想いみたいでもあった。

ヒカリエは、その光を静かに見つめている。

隣では、リスティアが思い出したように笑っていた。

「だってさぁ……ビルク、急に踊り出すんだもん……!」

その言葉に、また思い出して笑ってしまう。

少し前まで、水辺にはあんなに大きな笑い声はなかった。

でも今は違う。

ビルクが踊り、リスティアが笑い、ツメリンが静かに見守っている。

そしてクルネンは、水の中へ踏み出せるようになった。

ヒカリエは、その全部を覚えていた。

クルネンは最初、水が怖かった。

近づくだけで落ち着かなくなって、何度も立ち止まっていた。

けれどツメリンは急がせなかった。

「ゆっくりでいいよ。」

そう言いながら、一緒に水辺へ入っていく。

隣で同じ景色を見ながら、ちゃんと待っていた。

だからクルネンは少しずつ進めたのだ。

ヒカリエは思う。

誰かが大きく変わる瞬間には、きっと見えない優しさがたくさんある。

ビルクの踊りだって、ただ賑やかなだけじゃない。

あの子は、誰かが前へ進めた瞬間を、自分のことみたいに喜ぶ。

だから周りまで笑顔になる。

リスティアの笑い声もそうだ。

つられて笑ってしまうあの空気は、緊張した心をほどいてくれる。

「……みんな、ちゃんと光ってるんだなぁ。」

ヒカリエがぽつりと呟く。

するとリスティアが首を傾げた。

「光ってる?」

ヒカリエは水面を見る。

揺れる小さな灯り。

「うん。」

派手じゃなくていい。

空を埋め尽くすような強い光じゃなくてもいい。

小さくても、誰かの不安を照らせたら、それだけで十分きれいなのだ。

ツメリンはクルネンの勇気を照らしていた。

ビルクはみんなの背中を押していた。

リスティアは場をやわらかくしていた。

そしてクルネン自身も、きっと誰かへ勇気を渡している。

“怖かったのに進めた”という事実は、思っているよりずっと大きい。

水辺の夜風が静かに吹く。

その風の中で、光はゆらゆらと揺れていた。

ヒカリエは、その景色が好きだった。

完璧じゃないところも。
まだ途中なところも。
少し不器用なところも。

全部含めて、あたたかい。

遠くから、またビルクの声が聞こえる。

「次は光歓迎ダンスー!」

「まだ踊るのぉ!?」

リスティアが笑い転げる。

ツメリンも小さく吹き出した。

クルネンは少し照れながら笑っている。

その様子を見ながら、ヒカリエは静かに目を細めた。

小さな光は、気づかないうちに誰かを照らしている。

今夜の水辺は、そんな優しい灯りで満ちていた。



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