昭和セピア色のこんなハナシep16.「白バイをからかった少年」の巻。
■単車は10代の憧れ
バイクと言っても、昔は通称「単車」と呼んでいたと記憶している。
小学校から中学校時代ずっと同級生だったセツオ君の家は商売をしていて、彼の兄が家業を継ぎ、単車で配達などをしていたからカッコいいなぁと憧れもあって、いつしか単車を運転したいと思っていた。
ある日、既に働いていた兄が、知り合いから譲ってもらった単車に乗って帰って来た。
俺も乗りたいと兄貴に相談したら、免許を取れと、
当然の話で、免許取得の参考書を勉強し始めた。
多分、高2の春ころは二輪免許を取得したと思う。
最初は恐々と乗っていたが、練習を重ねそれなりに上達もした。
家の周辺を走るくらいが関の山から、とうとう都内の国道など幹線道路を走れるほど道も覚え、高校まで通学できるほど上達していった。
ちなみに当時はヘルメットの着用義務は無く、しかも学校に単車通学の申請などもしなかった極めて緩い時代だった。
言うまでも無く、秋も深まり寒くなってからは単車通学はやめた。
近所の電気工事業のミノル君や、小学校時代の同級生クニオ君らも、大体10代の男子なら単車を乗り回す年ごろだった。
そんなこんなで、初夏から初秋までの時期は、箱根や富士五湖方面、房総などに、今風で言うところのツーリングもした。
■少年の夏、単車で第一京浜を走る
何か目的があったわけではないけれど、家から近い高輪(品川)あたりだったか、大田区へと抜けて横浜方面に向かう第1京浜を走っていた。
記憶は定かではない。ただ、何となく走りたかったのだろう。
気が付くと数十メートルほど前に白バイが走っていた。
■白バイ警官をからかいたかった少年
少年(俺)は急に思い立って白バイの真後ろにピタッと追走した。
かなりの速度があったような気もする。
白バイ警官は少年(俺)に気づいてすぐさま左折し、即座にUターンする。
少年(俺)は白バイの姿をチラリと見据えてから、あえて低速で走行を続けた。
案の定、少年(俺)を捕捉してやろうと言う魂胆であろう、バックミラーに白バイの姿を捉えた。
少年(俺)は制限速度を遵守、もしくはやや低速で走行を続け百メートルほど白バイに追尾させた。
しばらく走行後、白バイが少年(俺)の捕捉を諦めサーッと走り去っていったのを横目でチラリと見届け次第、再び少年(俺)はすぐさま白バイの真後ろにピッタリと追走した。
当然、白バイ警官は少年(俺)を捕まえてやろうと・・、再び左折・即Uターンし、少年(俺)の真後ろから追尾を開始した。
再び同様に制限速度を守り、何事も無く安全運転に心がけた。
おそらく白バイは、その少年におちょくられていると認識していたはずだが、さりとてスピード違反の現行犯で捕まえることはできない。
とうとう諦めたか、白バイは少年を追い抜きあっという間に第1京浜を走り去って行った。
少年は思わず勝ち誇った気分でニヤリとしつつ、心地よい振動と風を切って走る単車の走行を楽しんでいた。
少年のあの夏は終わり、秋が近づいてきた。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!