10分で学ぶ|AIとツールを作る際の要件定義
「AIなら何でも作れるらしい」
そう聞いて、業務で使うツールをドンと作り始めたら、
途中でぐちゃぐちゃになった。
それっぽいものはできたけど、結局使っていない。
——そんな経験、ありませんか?
この相談、本当によく受けます。
失敗の原因は、あなたの腕前ではありません。
「やりたいこと(=要件)」が散らばったまま、作り始めていることです。
頭の中に散らばった要件を、作る前にひとまとめにする。
この工程を「要件定義」と呼びます。
「言葉は聞いたことあるけど、実際どうやるの?」
という方がほとんどだと思います。
今日はその進め方を、4つのステップで紹介します。
難しい書類は作りません。あなたが書くのは4行のメモだけです。
最後に10分のワークも用意しました。
読み終わるころには、あなたの「要件定義書」が1枚できているはずです。
要件が散らばったままだと、何が起きるか
よくある相談がこれです。
「社内のみんなが使える◯◯ツールを作りたいんです」
気持ちはすごく分かります。
そしてAIに、いきなりその完成形をお願いしてしまう。
このとき起きることは2つあります。
1つ目:決めていない部分を、AIが想像で埋める。
散らばったままの大きなお願いには、
決めていないことがたくさん含まれます。
AIはその隙間を「たぶんこうだろう」で埋めて作ってきます。
しかも作った本人に判断材料がないので、
どこがずれているのか、気づくことすらできません。
2つ目:最初がずれると、その後が全部むだになる。
ThreadsのSNSの投稿について
「ニュースを20個集める → 投稿案を5個作る → 良い3個を選んで投稿」
という流れで自動化するとします。
このとき、最初の「ニュース20個」の選び方がゴミだったらどうなるか。
ゴミの20個から作った5個の投稿案もゴミですし、
そこからどれだけ真剣に3個を選んでもゴミです。
スカスカなものは、あとからどれだけ丁寧につないでも、
スカスカなままなんです。
だから、大事なことは2つあります。
作る前に、散らばった要件をひとまとめにすること
作るときは、最小の範囲で「要件を満たせているか」を確認しながら進めること
これからお話しする4つのステップは、この2つをそのままなぞります。
(ステップ①〜③が前者、ステップ④が後者です)
つまずきには2パターンある
ステップに入る前に、ひとつだけ。
つまずき方は人によって違っていて、
支援していて感じるのは、だいたいこの2パターンです。
パターンA:そもそも、自分の業務をことばにできていない
「AIで業務を効率化したい」とは思っているけれど、
「どの業務を、どう変えたいのか」を聞かれると説明できない状態です。
ばくっとAIにお願いして、うまくいっているのかどうかも判断できない、
という方はこちらです。
パターンB:作れてはいるけど、AIがあさっての方向に行く
すでにAIと一緒にツールを作っているけれど、
進めるうちにAIが変なものを作り始めて、直しているうちに壊れる状態です。
パターンAの方はステップ①から、
パターンBの方はステップ②から読むのがおすすめです。
(もちろん全部読んでOKです)
要件定義ステップ①:要件の材料を出す(業務の棚卸し)
要件は、いきなりまとめられません。
まず材料を出すところからです。
ツールのことは一回忘れて、対象の業務を3つに分けてことばにします。
何を受け取って(インプット)
どういう手順で処理して(プロセス)
何を出しているか(アウトプット)
「そんなの書けない」と思った方、大丈夫です。
自力で書く必要はありません。AIに質問してもらいましょう👇
私の業務をひとつ、AIで効率化できるか考えたいです。
まず業務の棚卸しを手伝ってください。
「何を受け取り、どんな手順で処理し、何を出しているか」を
私に質問しながら整理して、箇条書きにまとめてください。AIが質問してくるので、答えていくだけです。
10分も壁打ちすれば、自分の業務が箇条書きになります。
実は、支援先にもまず最初にこれをお願いしています。
「10分でいいので、AIと壁打ちして業務を棚卸ししてみてください」と。
ここができると、その後が全部スムーズになります。
要件定義ステップ②:4行のメモにまとめる
材料が出たら、まとめます。
(パターンBの方はここからどうぞ)
AIがあさっての方向に行くのは、
あなたとAIの間に「よりどころ」がないからです。
よりどころと言っても、立派な書類を自分で書く必要はありません。
あなたが書くのは、この4行のメモだけです👇
何のために
何を
どうしたいか
絶対やってほしくないこと
たとえばこんな感じです👇
・何のために:毎回手作業で作っている発注書の時間を減らすため
・何を:在庫のスプレッドシートと価格表から、発注書を作る仕組みを
・どうしたい:必要な情報を入れたら、発注書の形式で出てくるようにしたい
・やってほしくないこと:私のPCの外にデータを出すこと(まず手元で動けばいい)きれいな文章でなくて大丈夫です。
この4行が書ければ、ステップ②は完了です。
要件定義ステップ③:AIに要件定義書を書かせる
メモができたら、AIに渡します👇
これから小さな業務ツールを作りたいです。
(ここにステップ②の4行メモを貼る)
この内容で、要件定義書(作る前の設計図)を作ってください。要件定義書というのは、
何を作るかをまとめた、作る前の設計図のことです。
賢いAIにお願いすると、4行のメモからかなりしっかりしたものを書いてくれます。
ここで大事なのが、出てきたものへの向き合い方です。
全部理解しなくていいです。「明らかに違うところ」だけ直してください。
たとえば「手元で動けばいい」と書いたのに、
ネットに公開する前提の内容が入っていたら、「それは要らないです」と返す。
逆に、AIが気を利かせて足してきた内容を見て
「あ、これはやりたいかも」と気づくこともあります。
自分では書けなかったことが、
AIが書いたものに反応するだけで言語化されていく。
これがこの進め方のいちばんの効能です。
ちなみに、要件定義書のフォーマットを探す必要はありません。
経験上、型だけ渡されて書ける人は、渡されなくても書けます。
大事なのは型ではなく、
「メモを渡す → 膨らませてもらう → 違うところだけ直す」という順番です。
要件定義ステップ④:まず作る分だけに絞る
要件定義書ができました。でも、まだ一気に作りません。
要件定義の仕上げは、
「最低限、意味のある単位」まで要件を絞ることです。
さっきの発注書の例なら、こう絞ります👇
ステップ1:まず自分の手元で、資料を渡すと発注書ができる
ステップ2:スプレッドシートと直接つながって、手渡しが要らなくなる
ステップ3:社内のみんなが使える場所に置く「みんなで使えるツール」は、いちばん最後なんです。
これは実際にあった相談で、
最初は「みんなで使えるものを作りたい」から始まりました。
でも初めて作る方だったので、この3ステップに分けて、
まずステップ1だけを作ってもらいました。
もうひとつ、身近な例を。
冒頭で出てきたThreads自動投稿も、一気には作りません。
ニュースを集める
↓(納得いくニュースが集まる仕組みができたら)
投稿案を作る
↓(納得いく投稿案を作る仕組みができたら)
良い案を選ぶ
↓(納得いくセレクトができるようになったら)
自動で投稿する
↓(動いたら)
週1回、結果を振り返る1個ずつ「自分が納得いくクオリティで動くこと」を確認してから、次を足していきました。
なぜ絞るのか。
ずれても、被害が1ステップ分で済むからです。
さっき「最初の20個がゴミだと全部ゴミ」という話をしました。
絞って作れば、「ニュースを集める」の段階で
ゴミかどうかをその場で確認できます。
ゴミのまま最後まで作りきってしまう事故が起きないんです。
絞り方も、AIに相談すればOKです👇
この要件定義書を、段階に分けて作れるように整理してください。
そのうえで「最初に作る、最低限意味のある範囲」を提案してください。提案に納得できたら、その範囲で要件定義書を更新してもらいましょう。
——お疲れさまでした。あなたの要件定義書の完成です。
今日のワーク(10分)
では、今日のワークです。
今日はツールを作りません。メモができたら成功です。
効率化したい業務を、ひとつだけ選ぶ
ステップ①のプロンプトで、AIと業務の棚卸しをする(5分)
棚卸しをもとに、4行の要件メモを書く(5分)
「何のために・何を・どうしたいか・やってほしくないこと」の4行です。
その先へ進みたくなったら、メモを持って
ステップ③(AIに要件定義書を書かせる)から続けてください。
実際に作るときは
AIにこう渡します👇
この要件定義書を元に、作っていきたいです。
まずは進め方を合意しましょう。あとは、会話しながら作っていきます。
わからないことが出てきたら、その都度AIに確認。
「何のために・何を・どうしたいか・やってほしくないこと」が
すでにAIとすり合っているので、あさっての方向には行きません。
そして、ひとつできるたびに
「要件を満たせているか」を自分で確認してから、次の範囲を足していく。
冒頭でお話しした失敗の原因2つは、これで両方防げています。
まとめ
いかがでしたか?
要件定義の4ステップ、おさらいです👇
1. 材料を出す(業務を棚卸しする)
2. 4行のメモにまとめる
3. AIに要件定義書を書かせる(明らかに違うところだけ直す)
4. まず作る分だけに絞る(最低限、意味のある単位で)作るときは、この要件定義書を元にAIと壁打ちしながら。
前提がすり合っているので、もうあさっての方向には行きません。
「いきなり作らない」が、いちばんの近道です。
AIの進化で「作ること」自体はどんどん簡単になっています。
だからこそ、「何を作るか」をことばにできる人から、うまくいきます。
このメモの作り方は、ツール作りに限らず、
AIに仕事をお願いするとき全般に使えます。
まずは10分、業務の棚卸しから試してみてください😊
お知らせ
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note.com/qa/ankoromarch
※いただいた内容は今後の記事づくりの参考にさせていただきます(質問に個別に回答するわけではないのでご了承ください🙏)
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個人事業主や小さな会社の方向けに、AI活用の支援をしています。
「業務でみんなが使うツールを作りたい」という方は、今日書いたような業務の分解からご一緒できます。
相性も大事かと思いますので、初回のご相談は無料です。
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