なぜ医療機関向けAIチャット「SuguDesk(スグデスク)」をつくったのか
前回のnoteでは、医療機関向けにさまざまなプロダクトを検討していることを書きました。今回は、直近リリースした医療機関向けAIチャット「SuguDesk(スグデスク)」の開発背景をお伝えしたいと思います。
前回のnoteでは、医療機関向けにさまざまなプロダクトを検討していることを書きました。それから多くの医療機関の方や関係者の方とお話しする中で、「自分たちはどこから医療現場に貢献できるのか」を考え続けてきました。
予約管理なのか。
電子カルテなのか。
院内業務の改善なのか。
さまざまな可能性を考える中で、ふと自分自身が患者として医療機関を受診するときの体験を思い出しました。
「結局、自分は受診できるのか?」
「初めてでも予約なしで行って良いのかな?」
「この持ち物は必要なのかな?」
「どのページを見れば分かるんだろう?」
電話をするほどではないけれど、ホームページを見ても分からず、少しもやもやする。
そして、いざ電話をしてもなかなかつながらない。
一方で医療機関側では、患者さまから毎日多くの問い合わせが入ります。
そしてその多くは、専任スタッフではなく、受付・会計・患者対応などの通常業務と並行して対応されています。
この「患者さまは知りたいことにたどり着けない」「医療機関は電話対応に追われている」という双方の負担を少しでも減らしたい。
その思いから開発したのが、医療機関向けAIチャット「SuguDesk(スグデスク)」です。
電話対応に追われる医療機関の現状
医療機関の問い合わせ対応は、今も電話が中心です。
医療従事者100名を対象に実施したアンケートでは、患者さまから最も問い合わせが多い経路として、84%が「電話」と回答しました。
また、66%が「問い合わせ専任スタッフはいない、兼務のみ」と回答しています。
電話対応は、専任業務として独立しているのではなく、受付・会計・患者対応などの通常業務と並行して行われているのが実情です。
さらに、1日20件・1件4分・月20営業日で試算すると、問い合わせ対応だけで月26時間以上になります。
定型的な問い合わせであっても、積み重なると現場負担は小さくありません。
不在・混雑で出られない電話が1日1件以上ある医療機関も70%あります。

医療機関の問い合わせが電話に集中しすぎていること自体が、現場と患者さまの双方に負担を生んでいるのだと感じています。
これを解決をしたいと思い、ホームページを見たら、患者さまが「気軽に」「いつでも」「安心して」その医療機関の情報が手に入る状況を作りたいと思いました。
すべてをチャットで解決するわけではない
ただ、私たちは「電話をすべてチャットに置き換える」ことが正解だとは考えていません。
症状の判断、緊急性の確認、個別の医療判断が必要な内容は、人が対応すべき領域です。
一方で、電話で来ている問い合わせの中には、患者さまがWeb上で自己解決できるものも多くあります。
大切なのは、電話で来ている問い合わせを一括りにせず、
チャットで案内できるものと、
人につなぐべきものを切り分けることです。
そこで私たちは、医療機関のホームページ上に、患者さまが24時間いつでも質問できるAIチャットを置くことに意味があると考えました。
電話の中には、自己解決できる問い合わせも多い
医療機関への電話というと、症状相談や緊急連絡を想像されるかもしれません。もちろん、そのような問い合わせは人が対応すべきです。
しかし実際には、電話の内容はそれだけではありません。
「今日やっていますか?」
「予約はどうやって取れますか?」
「紹介状は発行できますか?」
「予約時間より早く行ってもいいですか?」
このように、公式情報や院内運用にもとづいて案内できる問い合わせも多く含まれています。
電話につながる問い合わせには、大きく2つの種類があります。
1つ目は、HPに載っているけれど探しにくい情報です。
診療時間、予約方法、アクセス、料金、休診日などは、HPのどこかに掲載されていることが多いです。
ただ、医療機関のHPは情報量が多く、診療科ごとのページ、料金表、お知らせ、PDFなどに情報が分散しがちです。
患者さまは「どこかに書いてあるのは分かるけれど、今すぐ知りたい」という状態で電話をかけることがあります。
2つ目は、HPには載せきれない細やかな運用情報です。
紹介状の発行、予約時間より早く来院してよいか、自治体検診の持ち物、未成年の受診可否など、患者さまにとっては重要でも、すべてをHPに掲載すると情報量が増えすぎてしまう内容です。
こうした問い合わせこそ、チャットで必要なときに必要な情報を返す価値があると考えています。

だからこそ、単にホームページの情報を集約するだけでは、電話は十分に減りません。
本当に電話を減らすためには、患者さまが実際に電話で聞いている内容を起点に、回答できる情報を設計する必要があります。
SuguDeskは、単なるHP情報の要約ではありません
SuguDeskは、ホームページの情報をまとめるだけのAIチャットではありません。
実際に電話につながりやすい質問を起点に、
どこまでチャットで案内できるのか
どこから人につなぐべきなのか
どの情報をFAQとして追加すべきなのか
を設計しています。
初期段階では、ホームページ情報をベースに、診療時間、予約方法、アクセス、料金などを案内します。
その後、実際のチャットログをもとに、答えられなかった質問や類似して繰り返される質問を分析し、FAQを追加・修正していきます。
つまりSuguDeskは、導入して終わりではなく、運用しながら回答できる範囲を広げていくAI受付です。

AIと運用伴走で、回答できる範囲を広げる
「AI+運用伴走でカバー範囲を広げる」と聞くと、医療機関側の負担が重いのではないか、と思われるかもしれません。
SuguDeskでは、チャットログの分析や改善候補の抽出をAIで仕組み化し、できる限り人が介在する時間を減らす取り組みをしています。
答えられなかった質問。
電話誘導になった質問。
類似して何度も聞かれている質問。
回答はしたものの、より分かりやすくできる質問。
こうしたログをAIで分析し、FAQの追加・修正候補として整理します。
もちろん、医療機関ごとの正しい情報を反映する必要があるため、必要に応じてご確認やご回答の協力はいただきます。
ただし、ゼロからすべてを整理していただくのではなく、SuguDesk側で改善候補を見える化し、運用しやすい形にしていくことを目指しています。
医療機関のホームページに「もう一人の受付」を
SuguDeskは、医療機関のホームページ上で、「もう一人の受付」のように患者さまの疑問に答えるAIチャットです。
「探す」
「迷う」
「待つ」
この負担を少しでも減らし、患者さまが安心して医療にアクセスできる状態をつくりたいと思っています。
そして、医療機関のスタッフが目の前の業務に集中でき、よりよい医療体験を提供できるお手伝いをしたいと思っています。
今後は、noteで導入事例もご紹介していく予定です。
医療機関の現場負担を減らし、患者さまが迷わず必要な情報にたどり着けるようにする。
SuguDeskは、そのための医療機関向けAI受付チャットです。
