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鳴門市ドイツ館に行ってきました (2) ~思いがけずの紙モノ収穫

ドイツ館所蔵資料図録・裏表紙

前記事からの続き。
この図録の中に収録されているのは、収容所内で作成された絵葉書・収容所新聞「ディ・バラッケ」表紙・俘虜たちが描いたスケッチなどです。

兵士の多くは元民間人だったそうで、本職は家具や時計、楽器などの職人、写真家、印刷工、etc… なるほど、マイスターの集まりだったわけですね。
そりゃ絵が上手いのも印刷技術が高いのも納得です。

この図録に惹かれたのは、アンティークやセンスの良さだけでなく、作家さんのウィットなジョークやアイロニーも含めた個性や思いが垣間見える面白さです。

例えば

ウサギが収容所にやってくる


なぜウサギ?と思ったのですが、イースターラビットみたいですね。ちゃんと長靴を履いて、入所許可証みたいなものを手に持って、守衛さんに挨拶して通っています。可愛い。門の看板には「坂東俘虜収容所」と日本語で書かれています。ここだけ日本人に書いてもらったのかな??

ちゃーっす!許可もらってまーす

左の絵のうさぎはどう見たって大きすぎるでしょ。たぶんゴジラ級。

上段左より サッカー|雨中のテニス
下段左より 歩きながら読書|音楽の練習

収容所生活のワンシーンという感じですが、よく見るとサッカーは勢い余って相手の顔を蹴り飛ばしているし、音楽の練習は壁の向こうの人は本を読んでいるようにも耳をふさいでいるようにも見えます。まあ楽器の練習なんて、演奏する人or聞く人によってはただの騒音ですよねw

かなりやばい
誰かこいつを止めてくれ

重めのもあります。

上段左より 収容所の人物|鎖につながれた裸身の男
下段左より 忍耐|大きな卵の殻と有刺鉄線

作風から見るに、別の方が描かれたんでしょうね。
右下はイースターのポストカードですが、他はクリスマス用となっています。どこがクリスマス?という感じですが、右上のカードは小さく「きよしこの夜」と書かれていますし、左下のカードには嘆く人々の片隅に気持ち程度のクリスマスツリーが描かれています。
有刺鉄線のモチーフは他の絵でもよく使われており、やはりこの地から出ることはできないという俘虜たちの気持ちを感じます。

坂東収容所は所長の方針で俘虜の権利を最大限尊重したと言われており、その象徴として日本初の第九演奏会が取り上げられます。しかしどれだけ快適な環境であっても、兵士にとっては自分は囚われの身であり、望郷の念は堪えなかったのだと思います。

図録の2/3程は作者の名前付きのスケッチ・演劇の舞台美術背景画など。
収容所の風景や収容所外の神社仏閣、田植えの風景、日本人をスケッチしたものなどが収録されています。
ヨーロッパから来た人たちにとって、日本人特有の顔つき、日本固有の風景や建物や慣習はどれも新鮮で、絵心を刺激させられずにはいられなかったのかもしれません。
図録の中に一枚、ドイツ兵と思しき人が日本人の幼い少女を二人膝にのせている写真が収録されていました。女の子たちの表情はとても自然で、おそらくは日常の光景だったのでしょう。

戦争は悲劇の温床だけれども、悲劇の中にも人間は新しい出会いを生むことができるのかもしれない。生きてさえいれば。

第一次世界大戦後に全国の俘虜収容所が解散され、祖国へ帰る人々がいる一方、日本への在留を決めた人たちもいたとか。その中にはユーハイムの創業者もいたそうです。板東ではなかったようですが。
つまり…戦争がなければユーハイムは日本に存在しなかったかも…いやいやいや。それでもダメ、戦争。


本文中の画像は、解像度を落としてます。
ちゃんとした絵が見たい方はこちらから↓

これだけの資料を無料で閲覧させてくれる鳴門市ドイツ館さんは素晴らしい


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