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「私の日常は、音との戦い」~聴覚過敏当事者しか知らないリアルな世界~

あなたは「聴覚過敏」という言葉を聞いたことはありますか?
今回のnoteはASDで「聴覚過敏」傾向にある私が、「聴覚過敏」について当事者にしかわからない世界を綴っていけたらと思います。

これは私一個人の感覚です。「聴覚過敏」にも個人差があります。
必ずしも全ての聴覚過敏の方が、下記のような症状や感覚を持っているわけではありませんのでご注意ください。
一個人の症状として参考までに一読していただけたらと思います。


1. はじめに:あなたが聞いている「音」、私にはこう聞こえています


朝、窓辺でさえずる小鳥の声。カフェで流れる心地よいジャズ。大切な人との笑い声。
これらは多くの人にとって、日常を彩る素敵な「音」かもしれません。

でも、私にとって、これらの音は時として鋭い刃物のように感じられることがあります。

この記事を開いてくださったあなたは、もしかしたら「聴覚過敏」という言葉を初めて聞いたかもしれません。
あるいは、同じように「聴覚過敏」で悩んでいるかもしれませんね。

私は、ASDで聴覚過敏とともに生きています。
そして、私の日常は、まさに「音との戦い」の連続なんです。
決して大げさに言っているのではありません。

この記事では、ASDで聴覚過敏を持つ私が日々どんな音と向き合い、どんな風に感じ、どんな思いで過ごしているのか、そのリアルな世界を少しだけのぞいていただけたらと思っています。

「そんなことで?」と思うかもしれません。
でも、どうか最後まで読んでみてください。

私たちの「普通」が、誰かの「普通」とは違うことがある。
そのことを、ほんの少しでも知ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

2. 私の「苦手な音」図鑑

私のとある1日をみていきます。
1日は小さな音の連続で幕を開けます。

【朝:目覚めの洗礼】

・家族の生活音

カチャカチャと食器がぶつかる音、
パタパタというスリッパの音、
バタンというドアの開閉音。
これらの音は私にとって
「あ、今洗面台使ってるだろうな」
「今、出勤したな。行ってらっしゃい」
など家族の朝の動きを知る「情報」になります。
これらの情報をキャッチし、適切なタイミングで起きることができるので意外と便利なのです。


・窓の外の音

 車のエンジン音、
クラクション、
遠くで始まった工事の重低音や、
通学中の子どもの声。
これらは予測不可能で、びくっと体がこわばり、集中力が途切れてしまうこともあります。


【日中:音の洪水に溺れそうになる】

外出は、私にとって大きな試練です。
音の洪水に溺れそう、そんな感覚です。


・公共交通機関

電車の「キィィィ!」という急ブレーキ音、
駅のアナウンスや発車メロディや、
周りの人の話し声、
ヘッドホンからのシャカシャカとした音漏れ…
一つ一つが小さな音、情報でも、それらが一斉に襲いかかってくると、情報が過多となり非常に疲れます。
電車内など公共交通機関では耳栓や、イヤホンを使って好きな音楽を聴いていないと体調が悪くなってしまうのです。


・街中

スーパーやデパートのBGMや、
レジのスキャン音「ピッ!ピッ!」という連続音、
子供の甲高い泣き声、店員さんの大きな呼び込みの声…
これらが何重にも重なると、もう耳を塞いでしゃがみ込みたくなります。


・職場

電話の呼び出し音、
コピー機のウィーンという作動音、
同僚たちの何気ないおしゃべり。
一つ一つは小さな音でも、積み重なると大きなストレスとなり、夕方にはぐったりと疲れ果ててしまいます。

特に話し声は情報として耳に入りやすく、あちこちで話し声が聞こえてくる場所ではたくさんの情報が頭の中に入り込んできて、目の前の作業に集中できなくなります。職場では耳栓が手放せませんでした。

また、周りの音が全部同じ音量で聞こえてきてしまうので、電話応対は不可能で配慮をお願いしていた部分でもあります。(電話先の音を拾いたいのに職場での話し声が情報として入ってきてしまい、電話先の情報が正しく聞き取れないためです。また、電話先が騒がしくても全て同じ音量で聞こえてくるので何も聞き取ることができないのです。)

【夜:束の間の静寂、のはずが…】

ようやく1日が終わる頃。静かなはずの夜も、私にとっては油断できません。


・隣家の生活音
 
隣の家のドンドンという音が気になったり、
外の駐車場の音も静かな夜には響きます。


・時計の秒針の音
 
シーンとした部屋では、カチ、カチ、という小さな音さえも気になって眠れないことがあります。
そして、全ての音が消えたと思っても、今度は自分の耳鳴りが気になりだす…そんな夜もあります。

これらの音は、単に「うるさい」と感じるだけではありません

私にとって音は情報の一つでありますが、それゆえに過剰に音を取り入れると脳のキャパシティを超え、目の前のことに集中できない、聞きたい音が聞き取れない、など不安や苛立ちを感じます。

特に、人が多く集まる場所での話し声は私を苦しめます
あっちの会話が情報として耳に入ったと思ったら
こっちの会話も耳に入ってきて、
目の前の会話している人は何を言っているのかちっとも聞き取れない!
「ごめん、もう一回言ってもらってもいい?」
聞き直しても聞き取れなくて申し訳なくなる…
人と会話する時が一番神経を使うし、情報は過多でパンク寸前だしでひどく疲労します。


3. 「どうして私だけ?」~音に翻弄される心と体~


「そんなに音に敏感で、疲れない?」
はい、正直に言って、毎日しんどいです
特に外出した日や、人と会話した日は尋常じゃないくらい疲れます。
音によって引き起こされるのは、不快感だけではありません。


・身体的な不調
ひどい時には耳の奥がズキズキと痛んだり、頭痛がすることも。
音の刺激が強すぎると、ぐったりと疲労困憊してしまい、何も手につかなくなります。夜もなかなか寝付けず、睡眠不足に悩まされることも少なくありません。


・精神的な影響
常に音に神経を尖らせているため、集中力が続きません。
些細なことでイライラしてしまったり、理由もなく不安になったり、
気分が落ち込んだりすることも。
周りの人が楽しそうにしている場所でも、音のせいで心から楽しめず、疎外感を覚えることもあります。

そして何より辛いのは、この苦しさが周囲に理解されにくいことです。

「気にしすぎだよ」
「そんなことでイライラするなんて、わがままだよ」
「話聞いてる?」

そんな言葉をかけられるたびに、胸が締め付けられるような思いがします。
決して、わざと気にしているわけでも、
神経質になりたいわけでも、
話を聞いていないわけでもないのです。
音に対する反応は、自分ではコントロールできない部分が大きいのです。

「普通の人」と同じように振る舞えない自分を責めたり、どうして自分だけこんなに音に苦しめられるのだろうと、やり場のない悲しみに襲われたりすることもあります。
外出しても、周囲の音がしんどくて何も楽しめなかったり、仕事や勉強に集中できずパフォーマンスが落ちてしまったり…。
社会生活を送る上で、たくさんの「見えない壁」にぶつかっているように感じるのです。


4. 私なりの対策〜手放せない相棒たち〜

それでも、ただ音に打ちのめされているだけではありません。
この「音との戦い」の中で、私なりに見つけ出した、相棒と心安らぐ場所があります。


・手放せない相棒たち 
ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンは、外出時の必須アイテム。
完全に音を遮断できるわけではありませんが、好きな音楽を聴いたり、不快な雑音を和らげてくれるだけで、ずいぶんと心が軽くなります。
人と会話する場面では耳栓を着用する時もあります。
(耳栓はLoop Switch2を愛用してます)


・自分だけの安全地帯
家の中では、できるだけ静かな環境を作るように心がけています。
窓を閉め切ったり、音の少ない時間帯を選んで行動したり。
自分にとって一番安心できる場所は、やはり静かな自室です。


もちろん、これらの対策や工夫が、聴覚過敏の苦しみを根本から解決してくれるわけではありません。
聴覚過敏とは一生付き合っていかなければならないものです。
だからこそ、自分に合ったアイテムや空間を持つことが生きていく上で重要になってきます。


5. おわりに

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
私の日常が、いかに「音」という見えない敵と向き合っているか、少しでも想像していただけたでしょうか。

聴覚過敏は、外見からは分かりにくい特性です。
だからこそ、周りの人の少しの理解と配慮が、私たちにとっては大きな救いになることがあります。
もし聴覚過敏で苦しんでいる人が近くにいたら、「何かできることはある?」と、優しく声をかけてみてください。詮索するのではなく、ただ寄り添う気持ちで。

この記事が、「聴覚過敏」という世界を知る小さなきっかけとなりますように。
そして、同じく「聴覚過敏」であるあなたが、
音に苦しんでいるのは自分だけではないんだ」と気づき、
少しでも楽になれますように。

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