スイスの思い出① スイスエアーの金貨チョコと、機内で本当に起きた小さな事件
1990年代、私は一人でスイスへと旅立った。
利用したのはスイスエアー(当時のスイス航空)。
その機内での忘れられない思い出がある。
なんと、美味しいチョコレートが「もらい放題」だったのだ。
今では配られるチョコレートの種類も変わってしまったようだが、
私の記憶が正しければ、当時はキラキラとした金貨型のチョコレートだった。
旅の開放感も手伝って、私は差し出されるたびにその甘い金貨をありがたく受け取り、次から次へと口に運んでいた。
子供の頃、誰もが一度は言われたことがあるのではないだろうか。
「チョコレートを食べ過ぎると、鼻血が出るよ」と。
もちろん、大人になった今の私は、それがただの迷信——
あるいは子供の食べ過ぎをいさめるための口実だと知っている。
……知っていたはずだった。
しかし、そのスイスエアーの機内で、事件は起きた。
本当に、鼻血が出たのだ。
「え、本当にチョコを食べ過ぎて鼻血が出たんだけど」
一瞬、子供の頃の言い伝えが頭をよぎり、おかしくなってしまった。
おそらく本当の原因はチョコレートではなく、
長時間のフライトによる機内の強烈な乾燥だったのだろう。
ただ、あまりにもタイミングが良すぎた。
あの大好きな甘い金貨を欲張って食べた直後のハプニング。
その絶妙なタイミングのおかげで、
この出来事はしばらくの間、私の鉄板の「笑い話のネタ」として大活躍することになった。
今でもチョコレートを見るたびに、
あのスイスの乾燥した空気と、
贅沢だった金貨型の味を思い出す。
