秋、逡巡
わたしは矛盾
芳醇です
腐ってはおらず
湿土に落とし種
芽を出して
繁る草にて
赤や茶や黄金色
実らせば順々に逡巡
だから
秋がやってきたからといって
片付けないで
人ごとみたいに
赤く腫れ上がった果実が
既製の箱にすっぽり収まって
当然とでもいうかのように
夕日が美しいからといって
微笑まないで
地平線で燃えているのは
わたしの子ども時代
矛盾を刈り取り
さっぱり美しくなったと
安堵しないで
延々と続く
大地の果てを
わたしたちは知らない
抜かないで
端くれの草のように
それは今
生まれなおしている
ひとしきりの人間の生
ならば逡巡
迷い迷って
巡り巡って芳醇
こんな夕空
あるものか
風香る
なみだに滲む
黄金色
