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【大阪万博】子どもとめぐる小さな世界旅行

新大阪駅から出る大阪・関西万博行きの高速バスに、子どもと2人で乗り込んだ。新御堂筋をバスで走っていると、そこに現れたのは見たことのない道。高速バスはそこを進んでいく。

「今から通る道路は大阪・関西万博を行き来する高速バスだけが通れる専用道路です。」
そうアナウンスされると、私と子どもは窓の外を見つめた。

真新しい道。バス以外に走る車はない。まるでどこか遠くへ連れて行ってくれるみたい。行き先は2025年大阪・関西万博。私たちにとって、初めての「世界」へのお出かけだった。

車内は思ったよりも静かだった。だけど、耳を澄ませると聞こえてくるのは中国語や韓国語、英語…。会話の意味はわからないけど、みんなの声が少し弾んでいる気がした。まだ会場に着いていないのに、海外にいる気分になった。

バスに乗って約30分。窓の向こうには大屋根リングやパビリオンなど、テレビで見たことのある光景が見えてきた。

「着いた!」と子どもが声を上げる。

私の今日の役割は、母として子どもを楽しませること。だけど、心のどこかでは「自分も何かを感じたい」という思いがあった。


バスを降りるとそこには、世界各国の国旗がずらりと並んでいた。風に揺れる色とりどりの旗を見て、思わず足を止める。

「こんなにもたくさんの国が、この大阪に集まっているんや…。」
子どもも「これはどこの国かなぁ?」と言いながら歩いていた。

会場は想像以上に人が多く、人気のパビリオンはすでに予約でいっぱいで、どこも行列。私たちは当日並ばずに入れるパビリオンを探しながら歩いた。


子どもの目的はポケモンのオブジェ。「見つけた!写真撮って!」と笑顔で走っていく姿を見て、ようやくほっとする。だけど、写真を撮りながらふと思う。

「万博に来たのに、ポケモンを見るだけで終わったりして…」

その後、運良くセネガルのパビリオンに入ることができた。

なかではセネガルの人たちが民族衣装を着て、静かに微笑んでいた。話しかけられることはなかったけど、建物の中に漂う香りや音、色がまるでその国を旅しているような気分にさせてくれる。展示を見て回るうちに、アフリカにある遠い国が少しだけ近くなったような気がした。


外に出て、今度は大屋根リングの上を歩いてみた。しばらくするとなんだか盛り上がっている音が聞こえてきた。

よく見ると、どこかのパビリオンのステージで外国の人たちが大道芸のようなことをしている。詳しいことはよくわからないけど、その音楽と舞台で芸を披露する人の空気感が、本当に外国にいるようだった。

「万博って歩いているだけでも楽しいなぁ」と言いながら、子どもと2人でさらに会場の奥へと進む。


少し歩き疲れて、ロボットが作る「ミライのミックスドリンク」のお店の列に並んだ。前の人も後ろの人も外国人で、どちらも日本語じゃない言葉で会話をしている。

だけど、不思議と居心地が悪くなくてなんだか楽しく、海外旅行に来たような気分になった。本当はロボットが提供してくれるはずなのにこの日は壊れていて店員から手渡しされたジュースも、なんだか少し特別に感じた。

またさらに万博の会場を歩いていくと、今度は太鼓の音がどこからか聞こえてきた。近くでどこかの国の民族舞踊が始まったらしい。

リズムに合わせて人々が手拍子を打ち、知らない人同士が楽しそうにリズムに乗っていた。どこにいても何かしらの音が流れていて、それが万博全体を包んでいた。ふと気づく。

今日は誰かと深く言葉を交わしたわけでもない。だけど、確かに世界の空気を感じていた。そこにいるだけで、世界各国の空気を体感できる。それだけで、十分につながっている気がした。

夕方、高速バスに乗り込む。行きと同じように、車内にはさまざまな言語が飛び交っていた。だけど今は、それが遠く感じない。みんな万博で同じ空気を体感した人たちだと思うと、不思議とあたたかい気持ちになった。

たくさん歩いて疲れた子どもは隣で眠っていた。万博で過ごした一日は、子どもとめぐる小さな世界旅行だった。

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