なぜ 『メニューが選べる』は難しいのか?CX・エンジニア・キッチンが語るバリューチェーン変革の全貌
こんにちは。株式会社Antwayの採用担当です。
Antwayは、「あらゆる家庭から義務をなくす」をミッションに掲げ、家族との時間、キャリア、趣味や余暇など、様々な機会に誰もが前向きに取り組める世界を実現するため、手作りお料理配達サービス「つくりおき.jp」を提供しています。
当社は「献立に悩まなくてよい」という価値を大切にする一方で、今回、個々のお客様の嗜好により深くフィットするサービスへの進化を目指しました。
つくりおき.jpでは、2024年1月より好きなおかずを増量したり、苦手なおかずを減らせる「お好みメニュー変更」機能が一部のお客様へ追加されました。この機能追加は、サービスとしても、社内のオペレーションとしても、大きなチャレンジでした。今回は、そのプロジェクトをリードしたCX・エンジニア・製造現場の3名に、機能の開発背景や裏側、部門を越えた連携で見えたAntwayらしさについてインタビューを行いました!
※CX部・兼子さんが最初にこのプロジェクトに取り組んだ記事はコチラ

ーまずは自己紹介とプロジェクトでの役割を教えてください
兼子さん:2021年4月入社のCX部の兼子です。前職は富士ゼロックスでハードウェア開発をしていました。当プロジェクトではリーダーとして全体を見ながら、CX部の立場からお客様の“継続率・注文率への影響”を意識し、UX設計や機能導線のディレクションを担当しました。
荒井さん:2020年11月入社のSA部の荒井です。前職はSansanでエンジニアをしており、その前はコカ・コーラでデータ系のPMをしていました。今回は開発担当として、要件定義から設計・実装・リリースまでを一貫して担いました。実装は業務委託のエンジニアが中心でしたが、全体の進行をディレクションしました。
小松さん:2023年5月入社の生産革新部の小松です。前職は丸大食品で生産管理に従事していました。プロジェクトでは、製造現場とオフィスの橋渡し役として、情報連携や現場の業務変更に対応しました。
─今回みなさんが取り組んだ「お好みメニュー変更」について、詳しく教えてください。「お好みメニュー変更」とはどのようなサービスですか?
兼子さん:現在、つくりおき.jpの3食プランでは、主菜3品と副菜5品をセットでお届けしています。従来は、栄養士が監修した“おすすめメニュー”の組み合わせを、すべてのお客様に同じ内容でご提供していましたが、今回新たに導入したのが『お好みメニュー変更』という機能です。
この機能では、主菜・副菜それぞれ1品ずつ、同週の別メニューに変更できるようになりました。また、“今回は不要”という場合は品目を外すことも可能で、その分のポイントを還元する仕組みになっています。

ープロジェクトはどのような背景で発足したのでしょうか?
兼子さん:つくりおき.jpの通常仕様は、運営側が選んだメニューが8品〜11品届くようになっています。これまでは全員のお客様に同じメニューを届けていたため、好き嫌いやアレルギーがあるお客様の場合、 食べ残しが発生したり、満足度の低下につながったりすることがありました。こうしたケースが積み重なると、継続率や注文率にも影響がでてしまうため、「“選べる”体験があればもっと顧客満足度を上げられるのでは?」と考えたことがきっかけです。
ーこの取り組みはAntwayにとってどのような意味がありましたか?

兼子さん:私としては、このプロジェクトはAntway全体、そしてつくりおき.jpというサービスにとっても、すごく大きな意味があったと思っています。
これまでは3食・5食のプランのみで、大きな仕様変更はありませんでしたが、今回は、初めてユーザー体験自体を大きく変える新しい機能を追加しました。会社としても非常にチャレンジングで本格的な取り組みだったと思います。将来的なサービス進化に向けた“パイオニア”的な位置づけのプロジェクトだった、と感じています。
ー「選べる」機能の導入によって、顧客体験にはどのような変化がありましたか?
兼子さん:苦手なメニューやアレルギーによる食べ残しが減り、満足度が向上したという声を多くいただいています。特に「自分で選んだものが届く」という体験そのものに喜びを感じてくださる方が多く、サービス全体の印象もポジティブに変化しています。
また、家族と一緒に「どれにする?」と相談する機会が生まれ、コミュニケーションのきっかけにもなっている、という声もありました。食べることを軸に、人と人との関係性にも変化が生まれたと感じています。
荒井さん:実際、注文率や継続率といった数値にも改善が見られていて、効果はしっかり数字にも現れています!
ー「選べる」ことが業界にどんなイノベーションをもたらしたと考えていますか?
兼子さん:冷蔵のお惣菜宅配で“選べる”体験を実現したのは、業界でも初の取り組みであり、大きな一歩だったと感じています。ただ、最初から「すべて選べる仕様」にしていたら、システムやオペレーションの負担が大きく、実現は難しかったと思います。だからこそ、お客様へのインタビューを重ねて本当に必要な要素を見極め、既存の仕組みを活かしながら、現実的かつ無理のない形で実装する方法を、関係部署と丁寧にすり合わせながら進めてきました。
その結果、お客様ごとの選択に対応できる新たなオペレーションが社内に構築され、今後のサービス拡張や柔軟な商品設計にもつながる土台ができました。また、顧客の好みやニーズに関するデータも取得可能となり、プロダクト改善への活用が広がる点も大きな成果です。
ーこの機能の開発やオペレーションにおいて、最も苦労した点や乗り越えるのが難しかった課題は何でしたか?

小松さん:最大の課題は“間違えないこと”でした。選ばれた商品と異なるものを届けてしまえば、満足度は大きく損なわれます。一見、品目を入れ替えるだけに見えても、誰が作業しても正確にできる仕組みづくりは非常に難しかったです。
トライアルでは伝票の貼り間違いや手順の混乱も発生し、ラベル貼付の順番や担当制の導入など細かい調整を重ねました。4倍に増えた実装時の量も負荷となりましたが、最終的には、目的に向かって現場全体で同じ方向を向いていたことが乗り越える原動力になったと思います。
荒井さん:当時はまだAIが今ほど開発に使えるレベルではなく、限られた期間・エンジニアリソースの中では、初期の要件イメージでリリースすることが難しかったです。PdM、デザイナーの方々と議論を重ね、要件をシャープにした上で、フェーズ1で最低限の機能をリリース、フェーズ2でUX改善を行う段階的な進め方を採用しました。これまでは既存機能の改善や運用面の開発が中心でしたが、今回は顧客体験そのものを変える機能づくりに挑戦でき、やりがいを感じました。
ー異なる部門で協働する中で大切にしたことは?
荒井さん:Antwayでは部署横断のプロジェクトは珍しくありませんが、今回のように関係者全員が深く関わる取り組みでは、特に団結力が求められました。開発側としては限られた時間で品質を担保する必要があり、目的はぶらさずに、手段についてはより簡潔な方法をシステム的に模索する日々でした。日々の短時間ミーティングでこまめに意見交換し、不明点を潰していく姿勢を大切にしました。
兼子さん:私は、特に“情報整理”と“共有方法の工夫”を意識しました。やることが多岐にわたるプロジェクトだったので、業務フローや要件定義を細かくまとめ、抜け漏れがないように丁寧に整理していきました。
特にこの機能がなぜ必要なのか、どういう効果があるのかを、定性・定量の両面から伝えることを意識しました。社内全体で目線を合わせるために、目的や目標を明文化したり、WBS(Work Breakdown Structure)に落とし込んだりする工夫を重ねました。
小松さん:製造においては「なぜこれをやるのか」を現場が理解しているかが最重要です。目的が見えないと作業が形だけになってしまうため、兼子さんにも協力してもらい、背景の共有を丁寧に行いました。一方で、現場が壊れないように「無理なことは無理」と線を引くことも重視しました。
また、押しつけではなく、現場にある程度の裁量を持ってもらうことで、自分たちでルールを作り、主体的に動ける体制を目指しました。
ー部門間の視点の違いから得た気づき・学びとは?

兼子さん:このプロジェクトを通じて最も実感したのは、“どうやるか”は実務を担う人に聞くのが一番、ということでした。「お好みメニュー変更」機能を、まず特定エリアのお客様に先行提供する仕組みをどう作るか悩んでいた際、エンジニアに相談したことで、全く別の角度から解決策が出てきたことから、関係ないと思える相手にも早めに情報共有することで、思わぬアイデアが生まれると学びました。以降はより広く・早く情報共有することを意識しています。
荒井さん:部門によって大切にしている観点が異なるため、自分では「要件はこれで十分」と思っていても、UXの視点では全く別の意見が返ってくることもあります。そうしたズレを防ぐには、結論だけでなく思考のプロセスも含めてこまめに共有することが重要だと実感しました。また、技術的な背景や制約について、相手の専門性に関わらず丁寧に伝える姿勢も大切にしています。
小松さん:“難易度の感覚”や“期待値のズレ”を感じることは多くありましたが、それはむしろ正直に出し合ってすり合わせることが大切です。全員が同じ目的を共有しているからこそ、「どう実現するか」を一緒に考えられる。こうした対話の積み重ねが、部門間の理解を深める鍵だと思います。
ーこのプロジェクトを通じて感じたAntwayらしさや、やりがいについて教えてください
兼子さん:まず実感したのは、Antwayのバリューチェーンの長さと複雑さです。前職では自動化が進んでいた分、手作業中心の仕組みをここまでスケールさせる難しさに驚きました。一方で、部署を越えて相談することで想像以上に良い解決策が生まれる瞬間があり、それがAntwayらしさだと感じました。実際に社員もサービスを利用しているので、当プロジェクトの実装が内外から喜ばれる姿を見て、大きなやりがいを感じました。
小松さん:前職は大手企業だったこともあり、“決まったことを実行する”スタンスでしたが、Antwayでは“そもそもやるべきか”から議論が始まり、納得の上で進める文化があります。やりたいことでも納得できなければ止める勇気がある。それだけに、現場がその意義を理解して主体的に動いてくれた姿には、やってよかったと心から思えました。
荒井さん:このプロジェクトを通して、立場や部署を超えて“本当に大切な目的は何か”という本質的な対話ができたことが印象的でした。自分の業務都合ではなく、全体最適を目指す議論が自然と行われるのはAntwayらしさだと思います。リリース後、継続率や売上といった成果が数字に現れたときは、鳥肌が立つほどの達成感がありました。
ーこの「選べる」の取り組みを今後どう進化させていきたいですか?
兼子さん:現在は、まだ一部のお客様にのみ提供している状況ですが、今後はすべてのお客様に「選べる」体験をお届けできるよう、プロジェクトを進めているところです。
さらに、「選べる」だけにとどまらず、お客様一人ひとりの好みによりフィットしたメニューを提案できるような体制や、レコメンド機能の実装など、実現したいアイデアもたくさんあります。より満足度の高い体験を目指して、引き続き挑戦していきたいと思います!
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