【開発日誌#13】AIに「魂」を吹き込む。僕が書いた、たった一つの『指示書』の話。
「AIチャットボット開発、第2章」。 そう宣言したものの、僕の心は正直、期待よりも不安でいっぱいだった。以前、Voiceflowなどのツールとの格闘の末に味わった、あの苦い敗北感が蘇る。
だが、今度は違う。 僕の手には、ユーザーの声という「羅針盤」と、僕自身が作り上げた「データベース」という強力な武器がある。そして何より、「失敗からの学び」があった。
こんにちは。「IPSE code」の発起人です。 AIに振り回され、七転八倒しながら、40代メンズのための本当に役立つサービスを作ろうと奮闘する、僕のリアルな開発日誌の第13話です。
AIは「賢い赤ちゃん」だった
最新のAI(GeminiやGPT-4)は、確かに驚くほど賢い。どんな質問にも、それらしい答えを返してくる。 しかし、箱から出したばかりのAIは、例えるなら**「全世界の図書館の知識を持つが、自分が誰なのかを知らない、賢い赤ちゃん」**のようなものだ。
「君が誰で、何をすべきで、何をすべきでないか」。 それを教えなければ、その力は宝の持ち腐れになってしまう。
今回の物語は、この「賢い赤ちゃん」に、『IPSE code』の専門家としての「魂」を吹き込む、**たった一つの「指示書(プロンプト)」**作りの話だ。
「お前は、ズボラ美容ナビだ」- ペルソナ(人格)の設計
僕がAIに最初に教え込んだのは、「あなたは誰か?」という**役割設定(ペルソナ)**だった。
「あなたは、親しみやすく、でも頼りになるスキンケアアドバイザー『IPSE code』です。ターゲットは『スキンケアはしたいけど、面倒なのは嫌だ』と感じている40代の男性初心者。彼らの悩みに共感し、専門用語を避け、分かりやすい言葉で、無理なく続けられるシンプルなケアを提案してください」
ただこれだけの文章で、AIの口調は劇的に変わる。無機質な情報提供者から、僕が目指すブランドの人格へと。これは、AIの面白いところだ。
AIが「暴走」しないための、7つの絶対ルール
次に設定したのが、AIが決して破ってはいけない**「行動指針(ルール)」**だった。 AIは賢いが、時に危険なほど純粋だ。明確なルールがなければ、平気で一線を越えてしまう。
僕が設定した、特に重要なルールをいくつか紹介しよう。
ルール1:「医療的な断定は絶対にしない」
サービスの安全性と信頼性の根幹だ。「その症状は〇〇皮膚炎ですね」なんて言わせてはいけない。
ルール2:「具体的な製品推奨はしない(MVP段階)」
「これを買え」ではなく、あくまで中立的な「選び方のヒント」に徹する。僕らの価値は、特定の製品を売ることではなく、ユーザーの「選択眼」を養うことだからだ。
ルール3:「共感ファースト」
どんなに論理的なAIでも、まずユーザーの気持ちに寄り添うこと。「肌が乾燥するんですね、気になりますよね」この一言があるかないかで、ユーザー体験は全く違うものになる。
このルール設定が、AIを「ただの物知り」から**「信頼できる相談相手」**へと変えるための、重要なプロセスだった。
ついに、僕の「知識」をインストールする
人格とルールを設定した上で、いよいよ、僕がAirtableに蓄積してきた**「知識資産」**をAIに教え込む段階へ。 僕の頭の中にある「診断ロジック」と、各レベルへの「詳細なアドバイス」を、AIが理解できる言葉(プロンプト)に翻訳していく。
「質問2の答えがAなら、レベル⑤と判定せよ」 「レベル⑤と判定したら、この文章を元にアドバイスを生成せよ…」
それは、まるで僕自身の思考プロセスを、AIの頭脳にインストールしていくような、不思議で、そして何よりもエキサイティングな作業だった。
そして、「魂」は吹き込まれた
こうして、僕の知識と哲学をインストールされたAIチャ-ットボットの「魂」となる、最初の指示書(プロンプト)が完成した。 まだ不完全で、荒削りかもしれない。 でも、そこには確かに、「IPSE code」としての意志が宿っていた。
(つづく)
