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好きだった人

好きな人がいた。片想い。私より少し髪が長くて、背が高くて、声が低い、一つ上の先輩。眼鏡をよく頭の上に乗せていた。それから、とても頭が良かった。私と同じで女の子が好きで、でも私のことを好きにはならなかった。

みんなが神様を好きなのと同じように、私はあの子が好きだった。あの子の全てに、そうだねって頷いて、そのまま、息をとめてほしかった。本当は、あの子が生物の授業で解剖した蛙になりたかったです。今も教室に残されている、ホルマリン漬けの蛙。あの子が捕まえて、殺した蛙。

五月、あの子の卒業式を見に行った。声はかけなかった。それが最後。きっともう二度と会うことは無いけれど、ずっと、今でも、あの子が好きだった曲を聴いている。同じ音の中にいれば、まだ、繋がっているような気がするから。だけど、あの子は私の好きな曲を聴かない。そんなものだ、片想いなんて。

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