正確に目分量な母のレシピ~我が家のらっきょう物語
もうすぐ梅雨。
この時期になると思い出す、母の思い出と「らっきょう漬け」のレシピ。
気が強く、明るく、料理上手な母との思い出です。
我が家のらっきょう漬け
らっきょう漬けで一番オーソドックスなのは甘酢で漬けたものでしょうか。
私も毎年数回らっきょうを漬けていますが、我が家のらっきょう漬けは「塩味」です。
フツーの塩のみ。
なぜ塩味なのか?
それは私の母直伝の「レシピ」だからなのです。
辛くてしょっぱいラッキョウ漬け
子供の頃はこの時期になるといつも「らっきょうの皮むき」を手伝わされていました。
茶の間の座卓に新聞紙を広げ、「はい、お願いね。」と言って母が大きな桶を置く。
その中には水に浸かった泥付きのらっきょうが山盛りに入っている。
それを兄弟で囲み、テレビを見ながららっきょうの皮を剥く。
弟はテレビに夢中になってすぐに手が止まってしまうから、そのたびに私はずるいと文句を言う。
「ちゃんとやってよ、私ばっかやってる!」
早く終わらせたくてイライラしてつい声がおおきくなる。
らっきょうの皮むきと兄弟げんかはワンセットだ。
ケンカしながらもひたすら皮を剥く。
塩だけで漬ける辛くてしょっぱいこのらっきょうを子供たちはだれも食べない。
それなのになぜかその作業は子供の仕事として素直に受け入れられていました。
そしてそのらっきょうを食べるのは父。
お酒が大好きな父の「酒のつまみ」として作られていたのです。
私はいつも甘酸っぱいらっきょう漬けのほうが美味しいのに…と思ったりしていましたね。

レシピになってないレシピ
そんな私も大人になって塩味のらっきょうの美味しさがわかるようになると初めて母に言いました。
「塩らっきょうの作り方教えて」と。
その時母がとても嬉しそうな顔をしたのを今でも覚えています。
そしていよいよ教えてもらうことに。
私は今まで皮むきしかしていないので何も知りません。
母はきれいに洗われたらっきょうが入ったガラス瓶の前で少し荒めの塩をひとつかみ掴むと私のほうを見て
「ほら、これくらいね。今日のは小さいのが多いから少な目で」
と言って掌を丸くしてお手玉でも転がすかのように塩の山を見せると瓶の中に放り込みました。
え?、ちょっと待った!
「今入れた塩は何グラムあったの?」と私。
「ふふふ…知らない、目分量」
いやいや、それじゃ作れないんですけど!と困惑する私に母は
「何度もやってればわかるようになるから!」
とだけ言ってふたを閉めるとガシャガシャと瓶を振ってらっきょうと塩をなじませた。
「はい、できた。これ持ってっていいよ。毎日瓶を振ってね。それと早めに食べないと酸っぱくなっちゃうから」と。
あっという間の出来事で分かったようなわからないような。
でも1つだけ分かったことがある。
塩らっきょうを作るには泥付きの皮を剥くのに1~2時間かかるけど、それさえ済めばほんの1~2分で出来上がってしまうということだ。
※作った翌日から食べられます。
我が家の風物詩「塩らっきょう」

その母も10年前に他界し、今では私が毎年塩らっきょうを漬けている。
ネギのような辛味が強いのだけど、その分パリッパリでカリカリザクザクとした食感も楽しめて最高に美味しい。
これぞ我が家の初夏の味!
ちょっと匂うのが玉にキズ。
でも一番食べてくれる夫は「ビールのあてに最高!」と毎年この時期を楽しみにしてくれています。

「正確に目分量」
料理上手な母からはたくさんの美味しいレシピを教わっているのに、なぜかこの「レシピにもなっていないレシピ」が一番の思い出。
今でも母のレシピ通り「正確に目分量で」作っています。
そんな私も母親となり、いつかは娘にこのらっきょう漬けの「レシピ」を伝えなければと思うこの頃。
しかし独り身の娘はらっきょうには全く関心がない様子。
「我が家のらっきょう物語」も私で終わりかもと思うとちょっと寂しいかな…
辛くてしょっぱい思い出
母はもういないけれど、思い出の味と笑顔は今もここにある。
あの「正確な目分量」も😊
さて、今年はあと何回、この塩らっきょうを漬けることができるでしょうか。
喜んでくれる人がいるうちは作り続けたいと思っています。
