見出し画像

佐賀県立美術館に若冲が来た!「売茶翁と若冲」展

佐賀県立美術館で開催されている「売茶翁と若冲」展の終わりかけに、ようやく行ってきました!



「売茶翁と若冲」展

佐賀県立美術館に、九州最大規模の若冲作品が来るということで楽しみにしていた展覧会。

パンフレットの「売茶翁生誕350年特別展」と「売茶翁と若冲」の間に、英語で小さく
No Baisao,
No Jakucu.

って小さく書いてあるの、わかりますか?

なんで英語やねん!?というツッコミはさておき、
「売茶翁なくして若冲なし」
これが今展のテーマなのです。


展示の構成としては、
第1章 売茶翁と若冲 で若冲作品をこれでもかと並べ、

第2章 売茶翁の波紋 では売茶翁の茶道具の模造品や売茶翁の書、売茶翁150回忌の茶会でお披露目された富岡鉄斎プロデュースの煎茶道具の数々など

そして最後に、今展のある意味で目玉ともいえる《動植綵絵》と《釈迦三尊像》の複製品の一斉展示

という具合。


売茶翁とは?

売茶翁(ばいさおう|1675-1763)
佐賀藩の支藩・蓮池藩に生まれる。出家して各地で修業をする中、従来の僧侶の在り方に疑問を感じるように。61歳(1735年)ごろ、京都で茶席「通仙亭」を開き煎茶をふるまう。その姿に共鳴するように、売茶翁の元には画家・書家・儒学者といった知識人・文化人たちが集い、交流を深めていった。

パンフレットより


売茶翁についてはほとんど知識がなかったので、事前に地元の図書館の郷土コーナーでちょっと予習してから行きました。

図書館で読んだ冊子が
今回のグッズ売り場で売られていたので
思わず購入(300円)


売茶翁(僧名月海)は黄檗宗の僧侶でしたが、60歳を過ぎて京都鴨川支流の橋のたもとに「通仙亭」という小さな庵を構え、売茶業を始めます。
僧侶の身でありながら茶を売るーーこれは当時、とてもセンセーショナルなことでした。

月海は、僧侶の在り方に疑問を持っていました。
人々から布施をもらう僧侶の在り方は本当に正しいのか?
僧侶は信者の布施を貪り求め、施すものには媚びへつらう。施し与える者も、その功を誇って恩を売り相手を軽侮する。これで本当にいいのか?と

そこで、施しを求めるのではなく自ら茶をひさぐことにしたのです。


江戸時代の身分制度としてよく知られている士農工商。儒教的な価値観からすると、社会の根幹を担うのは農民や職人などものを作り出す人々で、すでに作られたものを売って利潤を得る商人は不生産的な存在として軽視されていました。


そこに売茶翁が一石を投じたわけです。

通仙亭の店頭で「茶銭は黄金百鎰より半文銭まではくれ次第、ただで呑みも勝手、ただよりはまけ申さず」と掲げ、茶代は客に任せ、身分の差別なく煎茶を出す。そして茶道具を背に担いで京都の名所に赴き、茶を振る舞ったそうです。

そんな売茶翁の元には、彼を慕う文化人が集いました。今展のもう一人の主役・伊藤若冲もその一人。

若冲は京の青物問屋の主、つまり商人でした。とても裕福で、使っている画材も絵具も超一級品。ほかの絵師とは違って絵が売れようが売れまいが関係ない。でも、どれだけ裕福で、才能があっても商人。

売茶翁は、商いは卑しいことではない、と目に見える形で示した人物。そういうこともあって若冲は売茶翁を慕ったのかもしれません。


若冲作品を観る

まず最初に出迎えてくれたのは、若冲筆の《売茶翁図》4点。
若冲は実際に売茶翁に会っているので、おそらくこの肖像のような人物だったのでしょう。

売茶翁にズームアップ
蓬髪に髭に鷲鼻
クセ強なオーラをビシバシ感じます


今展では若冲以外の画家が描いた売茶翁図もたくさん展示されており、同じおじいさんの肖像画をここまで一堂に観る機会はなかなかないだろうな、という感じ(笑)


若冲と言えば《動植綵絵》に代表されるような彩鮮やかな彩色画が有名ですが、わたしは観るたびに墨絵に心惹かれてしまいます。

今展でもいくつか墨絵の鶏図が展示されていたのですが、尾の部分の筆運びに特に目を奪われました。
シャッとスピード感を感じるものから、グワンと躍動感を感じるものまで。
撮影不可なので、言葉でうまく表現できないのがもどかしい…!


若冲が絵を描いて売茶翁が賛を入れた合作《髑髏図》。売茶翁と若冲の合作はこれくらいだったので、「髑髏は趣味じゃないんだけどな〜」と思いつつも、手ぬぐいを購入しました。

なんか、ロックな感じ


京都国立博物館所蔵の《果蔬涅槃図》や《石灯籠図屏風》は後期のみの展示だったので、今回観ることができてとっても満足。
やっぱりわたしは墨絵が好きみたい。


《果蔬涅槃図》のポストカードは
10年ほど前に買ったもの
お釈迦様に見立てた大根を
様々な野菜が取り囲んでいて
思わず口元が緩んでしまう
とても好きな作品


《動植綵絵》コーナー

さて、フィナーレは《動植綵絵》の複製品一斉展示です。
撮影・投稿OK。釈迦三尊像(複製品)3幅は撮影不可。


この通りかなり空いていたので
じっくりのんびり観て回ることができました


複製だけど
これだけ並ぶと圧巻


白が美しい


上半分の型紙を使ったような
同じ形の雀の群れと
下の方の自由な動きの雀の
対比がおもしろい


絢爛豪華過ぎて
画面のどこを見ていいんだか困る


動植綵絵と言えば!みたいな群鶏図


カエル好きのわたしにはコレ
同じポーズで同じ方向向いてるカエルに
思わずクスッとしてしまう


釈迦三尊像を取り囲む1枚に
これを入れようと思うのがすごい


もう、視覚がうわーっと混乱をきたすような感じで、ただただ圧倒されました。



この後、今展のサテライト会場でもある肥前通仙亭に向かったのですが、すでにだいぶ長文のため、それは次回に。


おまけ。
「墨絵が好き」と散々書いておきながら、今回購入したポストカードはこれ。

《伏見人形七布袋図》

このなんとも言えないお顔に癒されます。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集