【ショートショート】21#原稿用紙二枚分の文芸賞
今ってもう、20円ちょっとじゃあ駄菓子ひとつくらいしか買えないんだよな。ものによってはもっとするものもあるし。
お前のところに来るときはいつも手土産として5、6種類くらい買ってきてるけど、毎回値札見てちょっと驚くんだよ。「あ、値上げしたんだっけ」って。
子どもの頃、もらったお小遣いの金額内でどれだけたくさん買えるのか工夫していたのが懐かしいよ。あの時代って100円でも5個以上買えていた気がするけど、今はちょっと厳しくなってくるのかな。
……というか結局、お前って駄菓子で何が一番好きだったんだっけ?
学校にたくさん持ってきては「腹が減った」って言って授業と授業の間に食べてただろ。見かけるたびに違うものを食べてて、どれも美味しいって言うからイマイチ好みが掴めなかったんだ。
俺は……、そうだなぁ…………。
あのちっちゃいドーナツが何個か入ったやつかな。結構好きな人多いと思うけど。
って、違う違う。
別に駄菓子談義をしにきたわけじゃないんだよ。金額の例として出すのがちょうどいいかなって思っただけで。
いや、あのさ…………。
……人間の魂の重さは21グラムらしいじゃん。
で、1円玉は1枚1グラムだろ。
つまり21グラムは21円ってことになる。
——駄菓子の差し入れを何個かやめる代わりに21円を供えたら、お前の魂を取り戻せたりしないかなあ。
なーんて……。
こんなこと考えてしまうなんて馬鹿だよな、俺。
物理的にとかそういうことじゃなくて、人間の魂がそんなに軽いわけがないのに。
悪い、今言ったことは忘れてくれ。
…………近いうちにまた来るよ。
そのときは、いつも通り駄菓子を差し入れするからさ。
ああ、21円分とかじゃないよ。
色んな種類のをたくさん持っていくから、向こうで「美味しい」って笑っててくれ。
そしてあわよくば、俺が21グラムになるまで待っていてほしい。
こちらの文芸賞に応募させていただきました。
