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読書と『娯楽がたり』と『いいとも』と(2026年1月上旬 日記)

・アガサ・クリスティーにおののく正月

本が好きだ。好きなのだが、12月はとにかく時間に追われていて、本をまったく読めていなかった。なので正月はとにかく本を読もうと決めていた。

2026年元日、積読の山からまず手に取ったのはアガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』だ。

昔からクリスティーは割と好きでちょくちょく読んでいるのだが、手に取るのはポアロシリーズやミス・マープルシリーズが主だった。
『春にして君を離れ』を買ったのはずいぶん前だ。もしかしたら5年くらい寝かせていたかもしれない。シリーズものではなく独立した一冊だし、なんなら元々はクリスティーが別名義で出した作品ということもあって、なかなか食指が動かなかった。

読んだ感想とか語りたいことはいろいろあるが、ネタバレとかを考えてここは一旦、細かい事は飲み込むこととして。
正月に読むもんじゃないな……!というヘビーさ(でもこういうの好きです。もっと早く読めば良かった)。
出版元の早川書房の紹介では「ロマンチック・サスペンス」と書いてあるが、個人的には「そんな生やさしいもんじゃねえ……!」みたいな気持ちです。好き。
人間って変わらないんだな、と思った。いろんな意味で。
イギリスでは1944年に発行された作品のようだけど、今と比べてもやっぱり人間って変わんないんだろうな、と思った。
クリスティーの作品を読むと、登場人物の抱えている悩みとか葛藤とか、ずるさとか嫌なところとか、現代を生きる人から垣間見えるものと変わらないな、といつも思う。

・『令和ロマンの娯楽がたり』

MCの令和ロマンのおふたりと、多種多様なゲストの皆さんが昨今のエンタメを振り返ったり分析したりしてあれこれと語る番組。年に一回の放送で、過去二回あったと思うのだが、どれも楽しくて今回も楽しみにしていた。
ひとつのテーマに対して、言語化とトークの猛者たちが議論を展開していくんだけど、討論とか喧嘩っぽくなるわけではなく、話がいろんな方向へ発展していくというスタイル。
令和ロマンのおふたりがMCではあるけれど、雛壇形式ではなくて皆で輪を作っているので立ち位置はフラット。そしてやはりおふたりとも言語のチョイスが抜群である。
令和ロマンを見ていていつも思うのだが、くるまさんもケムリさんも話を聞く能力に長けている方々のように思う。話の芯を捉えるセンスが的確だし、発展させる力もすごい。
以前の放送でくるまさんが話していた「ベタ」「メタ」「シュール」の話には膝を打った。
またこれも以前の放送で、女性アイドルに求められる要素の話になった。この手の話題になるとよく出てくるのが「処女性」という言葉である。
しかしこの番組では、「処女性」という言葉は使われなかった。話の流れの中で「処女性」という表現になりそうな場面で、同様のニュアンスの表現としてケムリさんが「女神性」という言葉を選んでいたのが、なんか見事で強く印象に残っている。おふたりともその手のバランス感覚に長けていて安心する。
もちろんゲストの皆さんもすごい。
今回のゲストの皆さんも、言葉や表現のプロだ。言葉で戦う術を知っている方たちばかりのように思う。しかしこの番組は険悪にはならない。
他者の意見を拒絶したり頭ごなしに否定したりするのではなく、別の視点や意見を出しながら話が深めていく。他者の意見や意見を尊重し、踏まえた上でそれぞれの意見を重ねていくので、創造的な会話ばかりなのだ。

思えばこのスタイルのトーク番組って最近あまり見ていない気がする。話題が次々と移り変わっていくのを見ながら、気がつけば視聴者であるこちら側も彼らの議論の中に参加しているように頭の中で考えを巡らせているのが心地よくて楽しい。
そして突然やってくる隣人(という設定)の永野さんによる、言い得て妙な暴論もまたいい。この、言い得て妙な気がするところがポイントである。そして、そこからさらに転がり深まっていく話を浴びていると、見終わったころには謎に充足感に包まれる。

『娯楽がたり』を見たあとは、いろんなことを考える。思考モードのスイッチが入った感じになる。
芸人でも業界人でもないただの一般人なのに、あれこれと考えてしまう。
なんか気がついたら、もうずいぶん前に終わってしまった『笑っていいとも』のことを考えていた。トーク番組に思いを馳せていたからかと思われる。バラエティとかに特別詳しいわけでもない素人なのに。

『いいとも』は子供のころから好きだった。
『いいとも』の終わりはテレビの凋落を早めたんじゃないかとか、そういうあれこれを今でも考えることがある。『いいとも』のフォーマットって、実は今の時代に逆にあってたんじゃないかとか。『いいとも』が担っていた役割って想像以上に大きかったんじゃないかと思うのだ、今から考えると。
『いいとも』はあらゆるバランスが優れていたように思う。
生放送で、タモリさんとゲストのトークは20分くらい。タモリさんの博識さと多彩なゲストによって話の内容は様々で、ここで知的好奇心が満たされる。interestingの面白さだ。タモリさんもやはり話を聞く力に長けた方だ。そしてバランス感覚も見事な方である。
そしてそのあとはバラエティのコーナー10分前後を2~3本。ここはfunnyな感じ。わいわい楽しい。けどそのコーナーも当たれば続くし特番に採用されたりするが、盛り上がりに欠ければ割とすぐになくなる。それを平日毎日だ。
バラエティの企画を試すには絶好の場だったんじゃないだろうかと思うと、あのシステムは絶対に大事に残しておくべきだったんじゃないかとか、あのフォーマットが他のテレビ局も含めたバラエティ全体を支えていたんじゃないかなとか。なんか、そんなことを考えていた。

なんだか長くなりそうなので、考えたことはまたいつか。気が向いたら。


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