手紙展、こんな感じでした。

11月22,23日の2日間に渡り、透明書店奥のギャラリースペースで「手紙展」を開催した。
展示物の写真とキャプションに加え、会場で話していた余談も交えて、当日の様子を書いてみようと思う。
手紙展の構成
・ステートメント

ギャラリーの入り口に、ステートメントとして手紙を展示した。
母の影響で手紙を書き始めたこと、20年以上書き続けて考えていること、この展示で体験していただきたいことを記した。
・弟に書いた手紙

ステートメントの次に、これまで弟に書いた手紙を額に入れて展示した。
10年近く前に家を勘当されたばかりの頃の手紙や、献血ルームのソラポストで書いた手紙、お菓子の箱に書いたメッセージ、その辺のメモに残した書き置き、昨年の結婚式の招待状、顔を手書きした席札。
この展示には「手紙のハードルを下げたい」という意図があった。
PCで下書きをして何度も推敲した文章をやっと紙に書く場合もあるけど、私の手紙の9割は行き当たりばったり。
特にハガキの場合は、文末になるにつれて文字が小さくなり窮屈そうに並ぶことがよくある。結局1枚に収まらず2枚目に続く場合もある。相手には私からのハガキが2枚同時に届くことになる。レターセットを使う場合は便箋が足りなくなり、3枚目から急に別の絵柄の便箋になることもある。
美しくはないのは分かっている。でもそれがダメだとは思っていないし、私が手紙を書くのはきっとそんな無計画さを面白がってくれる人たちなので、安心して気楽に書いている。それでいいんじゃないかと思う。
弟に書いた手紙
手紙を書くことが趣味だと言うと驚かれることが多いです。手紙と言っても、大層なことは書いてないと伝えたく、弟に書いた手紙を展示することにしました。 手紙の束が入った封筒を預かったとき、小さいメモやお菓子に書いたたった一言も保管してくれたことを知り、嬉しくなりました。

・手紙のエピソード

会場正面の壁一面に、手紙展に際して募集したエピソードを貼り出した。
10月上旬から募集し始めたものの、11月上旬の時点で集まっていたエピソードは4件。小さめのコルクポードに貼って卓上での展示にしようかと考えていたら、当日にかけて続々と集まり、展示の1週間前には壁一面を覆うほどの量になった。
いただいたエピソードはCanvaに手書き風フォントで転記し、エアメールにまつわるものは赤と白の枠をつけてハガキサイズで印刷した。仕上げに使用済み切手と消印風スタンプで飾り、アナログな雰囲気を作った。
使用済み切手を貼ることは、大阪のポスト舎で使用済み切手が売っているのを見て思いついた。読んでいて疲れないようにある程度の統一感は欲しい一方で、本来は人によって文字が違うように、何らかの形で個性を出したかった。フォーマットを揃えた上で、1枚ずつ異なる切手を貼るのは、ちょうどよい個性の出し方だと思った。
手紙のエピソード
手紙展に際して「手紙にまつわるエピソード」を募集したところ、2ヶ月弱の間に40件以上も寄せいただきました。 大切なお話を私に預けてくださりありがとうございます。

・手紙を書くコーナー

手紙のエピソードの前、壁際のハイテーブルには手紙を書くコーナーを用意した。ハガキやレターセット、ペン、シール、切手などを自由に支える形。
切手は一般的なデザインの85円と110円を卓上に用意したほか、後述するガチャガチャでも購入できる形にした。
初日の11月22日は良い夫婦の日だったこともあり、パートナー様宛に書く方が2日間を通して何名かいらした。他にもお子様に書く方、海外に向けて手紙を書いて窓口へ出しに行く方、手紙展で知った風景印を早速押しに行く方など、様々な形で利用していただき嬉しかった。
手紙を書くコーナー
ぜひ手紙を書く体験をしていただきたく、自宅の文具をそのまま持ってきました。 ハガキ、レターセット、ペンなど、全てお使いいただけます。


・色々な形の手紙

葉っぱ、アクリル、三角形、革、標本、マスキングテープetc…
私が今までに出会った手紙から、印象に残っているものを再現して、事前に透明書店宛に郵送した上で展示した。
わざわざ郵送したのは、本当に届くということを実物で伝えたかったから。
とはいえあまりにも変わった形のものは不安もあり、展示の前日に手紙が届いた旨の連絡を受けたときはホッとした。添付された変わり種の手紙10通が並ぶ写真を見て、自分で送ったはずなのに面白くなった。
なぜその手紙を展示しようと思ったか、どうやって作ったか、その形の手紙に出会ったきっかけなど、それぞれの手紙に記して、手に取って見ていただく形にした。
色々な形の手紙
たまに、普通のハガキ以外の形の手紙を送ることがあります。そもそも手紙ではない物に切手を貼って送ることもあります。 ここでは、こんな形の手紙もあるということを知って楽しんでいただけたら嬉しいです。

・手紙にまつわる本

手紙にまつわる本を展示して、それぞれの本にメモを挟み、メモにはその本と出会った経緯やなぜここに置きたいと思ったかなど書いた。
多くの人が知るベストセラー、お店が発行する手紙のような冊子、私が絵葉書を書くときに参考にするイラストの本、手紙を書く道具の本、時代を感じる曲の歌詞カード。
特に注目を集めていたのは、父の切手帳。
手紙展の1週間前に父と会ったとき、父が過去に切手を集めていたことが判明。父はその場で祖父母に電話し、私に送るよう伝えてくれた。切手帳は父の実家で大切に保管されていて、祖父母が送ってくれたおかげで展示前に我が家に届いた。
手紙にまつわる本
手紙を書きたくなる本、手紙を書く道具の本、手紙のような本など、集めてみました。 手紙展の開催を決めてからは旅先で素敵な本と出会うことが多く、帰りの荷物は本2冊分ほど重くなることがよくありました。


その他の要素
・ポスター

直前になってポスターを貼りたいと思い、1週間前を切ってからデザイナーに相談。本業の合間を縫って入稿してもらい、前日の夜に秋葉原で受け取ってなんとか間に合った。
しれっとあるから言及はほとんどされなかったけど、ポスターがあることによって手紙展らしさが出たし、バランス的にもとても良かったと思う。
・切手のガチャガチャ

切手のガチャガチャ
透明書店(この書店)の奥で「手紙展」を開催 しています。素敵な切手を知ってほしく、切手 のガチャガチャを作りました。 100円玉を1枚入れると110-140円分の切手が 出てきます。赤字です。
通称、赤字ガチャ。
普通切手は1枚単位で買えるけど、グリーティング切手の販売は1シート(10枚)単位。滅多に手紙を書かない人が買うのはハードルが高いだろうと以前から思っていたことに加えて「ガチャガチャがあったら楽しそう」と直前に思いついたので作ってみた。
出てくる切手はグリーティング切手と1-40円の少額切手数枚で合計110-140円分。お持ち帰りされる方や、その場書いた手紙に全部貼る方など、人によって違う楽しみ方が見られた。

・関連情報のQRコード
ゴミは極力出したくなかったので、持ち帰っていただきたい情報はQRコードにして置いておいた。これらの情報は全て手紙展のHPに載っている。

・会場の模型

手紙展の3週間前に参加した写真展10p10fp展2024で模型を作ってくださった方がいらしたのがきっかけ。
可愛い!ってシンプルにときめいたのと、会場と展示物のバランスが掴みにくかったので、これがあればイメージしやすくなると思った。ガチャガチャを設置するアイデアは模型を作ったから生まれた。
・感想ノート(芳名帳)

この展示のためにカキモリでオリジナルノートを作った。
今までに十数冊のノートを作ったけど、自分用のノートに名入れをするのは初めてだった。
ピンとくる表紙に出会うまで何度も足を運んで、ギリギリのタイミングで見つかった。表紙の次には黄色い仕切り紙を入れて、中紙は目に優しいクリーム色のフールス紙。最後のページには思い出の何かを入れられるよう封筒をつけて、裏表紙は私的定番のブルーの布地を選んだ。

・みんなで使える万年筆

万年筆の素晴らしさを広めたい方がkakunoを寄贈してくださった。
・消しゴムはんこ

手紙展の消しゴムはんこ
消しゴムはんこ職人(私が勝手に呼んでいる)の友人に作ってもらいました。 相談後たった2日で完成写真が送られてきた上に、納品された時、最終的な作品までに4回も掘ってくれたことを知って大変驚きました。
完成品が届いたときは本当に驚いた。
手紙展のハガキはこのはんこを赤いインクで押して完成形とした他、展示物の「手紙のエピソード」にも使わせていただいた。


・私の文具箱

インタビュー記事「手紙展をやる人にインタビューしたら手紙を書きたくなった話」を書いてくれたいっちーさんと話しながら、この引き出し自体が面白いのかと思い、手紙を書く道具としてそのまま持って行った。
・収集した風景印

手紙にまつわる本の一角に、大阪のエモジで購入した風景印帳を置いた。
風景印*を知ったのは3年ほど前のこと。収集には興味がなかったものの紙博のInstagram投稿を見てこの風景印帳を知り、展示に向けて集めてみようと思った。
9月末に大阪に行く機会があったのでそのときにエモジで買い、同日に大阪から収集スタート。それからたった2ヶ月の間に大阪、京都、東京、金沢、盛岡、鎌倉と、本当にあちこちに出かけたんだなあと風景印帳を見て思う。
また、年表やプロフィールは用意するつもりがなかったのだけど「風景印で生い立ちを振り返ると面白いのでは」と思いつき、生まれてから現在までに住んだ土地の風景印を集めてみた。
幼少期を過ごした新潟や埼玉へ行くのは難しかったので、郵頼(ゆうらい)という郵便局に押印物を送って押していただく方法を利用した。
エモジに行く道中での君に本をという書店に出会ったのも嬉しい出来事だった。白いのれんが風になびいていて、のれんの向こうには赤い丸いポスト。店内には本が沢山で、私の惹かれる要素が満載のお店。
そのお店で「風景印ミュージアム」という本を見つけて、展示用に購入した。手紙展では著者の古沢さんが主催する「風景印散歩」に参加したという方がいらしたり、風景印を初めて見る方もこの本を広げて地元の風景印を発見したと教えてくださったりもした。この本があって良かった。
*風景印(風景入通信日付印)は郵便局に配備されている消印の一種で、局名と押印年月日欄と共に、局周辺の名所旧跡等にちなむ図柄が描かれている。大きさは直径36mm以内で形は円形が基本であるが、特産品などをかたどった変形印もある。押印に際しては鳶色と呼ばれる赤茶色のスタンプインクが使われる。通常の黒色の消印とは異なり、郵便窓口等で利用者から申し出があった場合に押印してもらうことができる。

さいごに
展示ではあるものの、終始賑やかで楽しい時間でした。
ありがとうございました。
この2日間で「行けないけど応援しています」という声を想像以上にいただいたことが印象に残っています。来られなくても、気持ちを伝えてもらうことはこんなに嬉しいんだと知り、その一連の出来事は手紙のようだと感じました。
手紙展に思いを馳せてくださった方に展示の様子を伝えたく、手紙の返事を書くような気持ちで、この記事を作成しました。
少しでも「こんな空間だったんだ〜」と会場の雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。
手紙展についてはこの記事の他にも、写真展と並行して準備をしていたことや、費用のことなど書いてみたいと思います。
読んでくださりありがとうございました!

Photo by Hiroshi Sasaki
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