「家族で何を大事にするか」を決めたら、夫婦で時短勤務になった
「ほらー、そろそろ行くよ!」
朝の玄関に響く声。
我が家では、これが私とは限りません。
今日は、夫の声です。
私はその横で、鏡を見ながら眉毛を描いています。
「おかあさーん!ぎゅうにゅうのむ!」
「ちょ、待って!もう片方の眉毛を描いたら!」
「やだ!やだ!やだ!すぐきて!!」
「お父さんが入れるよ」
「やだ!おかあさんがいい!きてきてきて!!」
(……しかたない、あとで描こう。)
こうして、片眉ワーママは誕生するのであった——。
こんなドタバタな朝を、我が家は夫も私も、時短勤務で回しています。
「旦那さんも時短勤務なの?」
と、よく驚かれます。
ワーママの時短勤務は、珍しくもなんともないですが、夫の時短勤務は、まだあまり聞かないですよね。
我が家がこんな生活をしているのは、「家族で何を大事にするか」を夫婦で決めてきたからです。
我が家にも、産後クライシスはやってきた
今でこそ夫婦で時短勤務をしている我が家ですが、最初からこうだったわけではありません。
第一子が産まれたときは、夫は男性育休を取りませんでした。
私は当たり前かのようにワンオペ育児。
友達のいない土地で、コロナ禍で、孤独な子育てでした。
モヤモヤは、心の中に広がっていきました。
私のキャリアは、これでもう終わりなのかなあ。
子育ては大切な時間だけど…。
夫は特に好きでもなさそうな仕事で、毎日忙しく働いていました。
私は私で初めての育児でいっぱいいっぱいすぎて、夫への感謝の気持ちもだんだんと薄れていきました。
「なんか、コレジャナイ感。」
思い描いていた家族生活では、ないなと思いました。
運命を変える一冊の本に出会う
尾石晴さんの『ワーママはるのライフシフト習慣術』という本に出逢いました。
この本には、「ファミリーキャリア」「家族のミッション・ビジョン・バリュー」という考え方が紹介されていました。
「ファミリーキャリア」は、夫婦それぞれが別々にキャリアを考えるのではなく、家族として「どんな人生を送りたいか」を一緒に描いていく、という考え方です(もともとはハーバード・ビジネス・レビューで紹介されたものだそう)。
私が家事育児を担って、夫が稼ぎ頭になるのは、別に当たり前じゃなかった!
そして、その家族の理想を言葉にするために使ったのが、「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」でした。
ミッションと言うと会社っぽい言葉ですが、我が家では、
ミッションを「私たちが家族である理由」
ビジョンを「目指すべき家族の目標」
バリューを「目標を叶えるための約束」
と置いて考えることにしました。
「ファミリーキャリアについて話し合ってみたい。」
「家族のMVVという言葉があるらしい。やってみようよ」
夫に伝えると、その案をすんなり受け入れてくれました。
家族でファミレスに出向き、3時間ほど話し合い。
当時0歳の息子は、(5歳になった今では考えられないことですが…)横で大人しく、ベビーカーですやすや寝ていました。
「ハワイに行きたい」
「キャンプしたい」
「子どものライフイベントにはいつでも参加したい」
「健康に過ごしたい」
とりとめのない理想を、紙のノートにどんどん書き出していきました。

そうして言葉にしていくうちに、我が家のMVVが決まりました。
ミッション:日々を楽しく
ビジョン:心身ともに健康に
バリュー:頑張りすぎない、家族でサポートし合う
そして、我々の「ファミリーキャリア」は、今は夫がキャリアを積み上げてきているけれど、ゆくゆくは夫婦で平等に、育児もキャリアも一緒にやっていこうと言う話をしました。
軸が決まると、不思議なものです。
今の暮らしは、夫の働き方も住む場所も、理想とは合っていないと、はっきり見えてきました。
夫は忙しく、住んでいるのは仕事関係の人しかいない土地で、親戚も友人もいない。
夫の会社は年功序列で、給料が上がるのは見えていたけれど、その分今より一層忙しくなることは目に見えている。
私たちの人生、これでいいんだっけ?
よくない!
ならば、転職だ!
引越しだ!
と、あれよあれよと動き出したのです。
世間一般的に良いと思われるキャリアや生活に縛られすぎていたんです。
「自分たちはどうしたいのか。」
それをすっかり忘れていたのでした。
紆余曲折して、たどり着いた「夫婦で時短勤務」
そこから数年は、もうドタバタでした。
引越しをして、夫が転職。
私は二人目を妊娠していたので、引っ越しと同時に一度無職になりました。
無職になることは恐ろしかったですが、それでも前向きに捉えられていたのは、ファミリーキャリアとMVVを擦り合わせていたからです。
いつか私がキャリアを優先できるときがくると理解し、夫を信じていたからです。
夫は転職し、第二子では男性産休を3週間、男性育休を3ヶ月とることができました。
その後はそのときどきで、私も転職をしたり、フルタイムで働くこともできました。
夫が前に出る時期もあれば、私が前に出る時期もある。
お互いに、ゆずったり、ゆずられたりしながら進んできました。
そうして行き着いたのが、今の「夫婦そろって時短勤務」です。
どちらか一方がキャリアを我慢するのでも、どちらかに頼り切るのでもなく、二人で少しずつ仕事と育児をする。
数年かかりましたが、あのとき決めた約束がようやく形になりました。
収入は8割、でも暮らしはゆたかになった
世帯の収入は少し減りました。
夫婦そろってフルタイムで働いていた頃に比べると、今はだいたい8割くらい。
でも、思っていたほどは減りませんでした。
本業を時短勤務で働きつつも成果を出したり、副業をコツコツ育てたりしてきました。
暮らしは確実にゆたかになりました。
朝、ドタバタしながら夫婦二人で子どもたちを送り出す。
家族の誰かが体調を崩しても、カバーができる。
「私ばっかり」と思うことも、もうありません。
「コレジャナイ感」は、なくなりました。
「ワーク〈ライク〉バランス」という言葉に出会って
「ワーク〈ライク〉バランス」とは、やるべきこと(ワーク)と、やりたいこと(ライク)。そのバランスを、自分なりにとっていく、という考え方だそうです。
これまで私たち夫婦がやってきたことを、別の角度から言い表してもらえた気がしました。
試しに、ワーク〈ライク〉バランス診断もやってみました。

結果は「華麗なオペレーターモード」!
WORK67%、LIKE33%。
やるべきことを引き受けながら、自分なりに日々を回せている状態。
きっと、このバランスもずっと同じではありません。
子どもの成長で、また働き方を変える日がくるでしょう。
そのときが来たらまた、あのときみたいに、ノートを広げて話せばいい。
私たちには、何度でも立ち戻れる場所がある。
「家族で何を大事にするか」。
それさえ忘れなければ、私たちはきっと、何度だってやり直せる。
今はもう、あのときベビーカーですやすや寝ていた息子は5歳。
そのあとに産まれた娘も3歳半です。
きっともう、子どもたちが騒がしくてあの時みたいに落ち着いて話せないかもしれないけど(笑)
それでもいいと思える。
「日々を楽しく」
我が家のミッションは、ちゃんと叶っているのだから。
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