受験期にくれたクリスマスケーキ、今もお礼を言えないままです
このエッセイは
#これ誰にお礼言ったらいいですか
企画参加記事です。
カフェ ベローチェのカウンター席。
赤本とシャーペンと、もうとっくになくなってるオレンジジュース。
いくら練習してもできるようにならないペン回し。
その冬、私は毎日のように、大学受験の勉強をしていました。
塾の自習室はずっとは飽きる、家ではダレる。
でも、カフェならジュースをエサに「やるしかない」と思える。
だから私は、しょっちゅう同じ席に通っていたんです。
赤本や参考書を積み上げて、伸びっぱなしの髪を結んで、何時間も勉強。
休憩はトイレだけ。
そんなストイックな受験生活でした。
ある日、いつものようにガリガリ勉強していると、注文もしていないケーキがテーブルに置かれました。
「こちら、奥にいたお客様からです」
ぽかんとしながら振り返ると、奥の席はもう空っぽ。
「え?」
と声を上げると、店員さんは言いました。
「もう帰ってしまったので……」
突然、知らない誰かから届いたケーキ。
かなりびっくりしたけど、涙が出るほど嬉しかった。
ガリガリ勉強している私のことに気がついて、そんな粋なお礼をしてくれる人がこの世にいるんだ!!
しかも、直接渡さずに(確かによく考えたら直接渡されたらちょっと怖かったかも)店員さん経由で帰り際にお金出して去っていくとは…
素敵すぎる!!
そんなホクホクな出来事があり、家に帰ってからは母親と妹に即報告し、「今日はいいひだったなー!」と就寝。
それから数日後。
なんと、また店員さんがケーキを持ってきました。
「これ、今日も奥にいたお客様からです」
「どんな方ですか?」
「うーんどんな方と言われても…ご年配の男性です」
ベローチェに入るたびにその「ご年配の男性」を探してみたものの、ご年配の男性は多すぎて…笑
新聞読んでるあの人?
メガネのあの人??
本読んでるあの人???
全く特定できず(そりゃそうだ)。
友達と一緒に勉強していた日にも、ケーキが届いたことがありました。
ふたりで顔を見合わせて
「なにこれすごくない!?」
「誰!?神?!」
めちゃくちゃ盛り上がって。
しかもケーキひとつじゃなくてひとつずつくれたんですよね。
太っ腹すぎ。
ちなみにその友人は1人でいる時はケーキはもらえなかったそうです。
本人曰く
「金髪だからかなーーー🤔」だそうです笑
結局おじさまの姿は見えなくて。
とうとう最後まで、お礼も言えないままでした。
凍えそうなくらい寒い日も、雪が降る日も、クリスマスの日だって。
「今日も奥のお客様からです」
多分5〜6回はもらったはず。
結局最後まで、お礼は言えなかった。
名前も、顔も、わからない。
でも、その人のやさしさは、あの冬、たしかに私を救ってくれました。
無事現役で大学に進学し、社会人やっています。
この体験は私の中で本当に深く刻み込まれていて、
困っている人がいたら助ける
見返りを求めずにできる範囲でちょっと良いことをする
そんな自分の生き方の指針になるような出来事でした。
あのとき憧れた大人に、少しは近づけたかな?
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