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【院試勉強法まとめ】社会人が働きながら大学院に合格するまでの体験記

東北大学 文学研究科 博士課程前期2年の課程(社会人特別選抜・夏期試験)に合格しました!
わたしは社会人8年目(今年30歳)で、働きながら院試勉強をしていました。社会人で大学院を考えている方の参考になればと思い、体験記を記します。


なぜ大学院に行こうと思ったのか

わたしは日本史が大好きで、大学時代も日本史(古代)を専門としていました。研究自体は好きだったのですが、「研究を続けていける自信」がなく、また社会人としての経験を積みたい、経済的に自立したいという思いもあり、大学卒業後は高校教員や個別指導塾で働いていました。

それでも「いつか大学院に行きたい」という気持ちはずっとあり、その「いつか」を、卒業から8年経った「今」ようやく決断しました。

▼大学院の受験を決断した経緯



志望校をどう決めたか

研究室選びはとても重要です!!!
わたしは大学と大学院で進学先が違いますが、どちらも「研究室(指導教員)」を基準に決めました。ちなみに進学先は以下です。

  • 大学:立命館大学 文学部 日本史学専攻

  • 大学院:東北大学 文学研究科 日本学専攻(日本史)

「指導教員の研究テーマが自分のやりたいことに近いか」「オンライン受講できるか」「しっかり指導してもらえるか」この3点を最重要視して、受験校を決定しました。

①指導教員の研究テーマが、自分のやりたい研究テーマに近いか

東北大学の指導教員の著書や論文は、学部時代から読んでいて憧れの研究者のひとりでした。自分の研究テーマとも近く、「大学院に進学するなら東北大学がいいなあ」と漠然と考えていました。

もともとわたしは自分のテーマに限らず、いろんな大学の研究者や論文を調べるのが好きで(その趣味を活かして、個別指導塾で働いていたときは高校生の進路指導も担当していました)、複数の選択肢を考えていました。その中での最適解が東北大学でした。


②オンライン受講できるか

働きながら大学院に通うには、オンライン受講できるかどうかは必須条件です。

実は立命館大学にもう一度進学することも考えていて、先生方に「授業をオンライン化してほしい〜」と雑談程度にお願いしていましたが、実現ならず……。人文学系でオンライン受講できる大学は本当に少ない問題があります。一方で経営系の専攻はオンライン受講可能なところが多いのですが。

東北大学の日本史の授業は「オンライン受講可」と大々的に言っているわけではありません。でも指導教員に相談したところ、「ほぼオンライン受講できる(実習系は難しい)」と回答いただき、それも決め手になりました。専攻によって事情は異なると思うので、まずは大学の先生に相談してみるのが良いと思います。


③しっかり指導してもらえるか

これもとても重要!!!
ひとりで淡々と研究を進められる優秀な人ならそこまで重視しなくてもいいのかもしれませんが、わたしはそうではありません。「研究どうしたらいいの…」と負のループに陥る自分の姿が容易に想像できたので、しっかり指導してくれる先生を求めていました。

わたしはこれまでの経験からも、周囲の人や一緒に働く人の影響を強く受けるタイプだと自覚しています。「日本史の研究をがんばりたい」という気持ちはあるけれど、ひとりで研究を続けていくのはどこかで行き詰まる。だからこそ、相談に乗ってくれて、手順を示し、フィードバックをくれる指導教員が必要でした。

東北大学の指導教員は、院試前から丁寧に相談に乗ってくださり、的確なフィードバックをくださる方でした。「この人についていこう!」と思えたのが大きな決め手です。


受験勉強の準備

受験の決断から試験までの期間は、たったの2か月。もともと「いつか大学院に行きたい」という思いはずっと持っていましたが、実際に決断したのは6月。そして試験は8月。時間が限られているからこそ、何を優先して勉強するかを最初に整理する必要がありました。

① 入試要項を読み込む

まず取りかかったのは入試要項を徹底的に読むことでした。出願書類は以下の通りです。

  • 志望理由書(研究計画を含む・6000字程度)

  • 成績証明書・大学卒業証明書・在職証明書

入試は学力試験と面接の二本立て。学力試験の内容は、

  • 日本古代史・中世史・近世史・近現代史に関する基礎知識(用語説明)

  • 自分の研究対象とする時代の史料読解

という構成でした。

社会人選抜では英語が課されないことも大きなポイントでした。正直、2か月の準備期間で英語まで必要だったら到底間に合わなかったと思います。


② 過去問を読み込む

次に取り組んだのは、過去問の分析です。幸いなことに、過去問は大学ホームページに掲載されていました。

▼用語説明
日本古代史・中世史・近世史・近現代史に関する基礎知識の中から2題を選び、5行以上で説明する形式。

2025年度入試過去問

わたしは古代と中世を選びました。内容は、高校日本史で学ぶような基礎的な用語が中心ですが、時には大学の概論レベルの学説が問われることもあります(「権門体制論」や「王朝国家論」など)。

ここから、日本史の基礎力=用語を正しく理解し、的確に説明できる力が重視されていると感じました。

▼史料読解
研究対象とする時代の史料を読み解く問題もあります。古代史の場合は、『類聚三代格』(変体漢文の史料)が頻出だと院生の方に教えていただきました。返り点(一二点やレ点)を正しく打ち、現代語訳できる力が求められます。

『類聚三代格』

こちらも、基礎力=史料を正しく読解できる力が試されていると感じました。


③ 指導教員や院生の方と知り合う
もともと東北大学の指導教員は、わたしが一方的に存じ上げていただけでした。そのため、東北大学の日本史の学会に参加し、「夏に大学院受験を考えています」と直接お話しました。

その場で指導教員に相談に乗っていただけただけでなく、院生の方にもつなげていただきました。そこで初めて、「古代史では『類聚三代格』が頻出する」というようなネット上の募集要項だけでは得られない具体的な情報を知ることができました。こうしたつながりが、受験準備を進めるうえでとても大きな助けになりました。


実際の受験勉強

用語説明対策

① 過去問をやり込む
まずは過去問を徹底的に解きました。解いたあとはChatGPTに添削をお願いし、自分の解答を客観的に確認。その繰り返しで「用語を正しく説明できる力」を少しずつ鍛えていきました。

とはいえ、ChatGPTは間違っていることも多いので、参考程度に…!「文章を整える」には最適かと思います。

過去問解いて整えた用語をノートに書いていきました。

正確性が重要なので、ちょっとでも曖昧なものは調べて付け足すようにしていました。

② 高校の用語集を読む
用語を正確に理解するために、高校日本史の用語集を3周ほど読み込みました。もともと教員として手元にあった教材なので、それをフル活用しました。


③ 研究史・学説をおさえる
単なる基礎用語だけでは不十分なので、研究史・学説についても整理しました。立命館大学時代の指導教員におすすめいただいた以下の本を使用しました。

岩城卓二・上島享・河西秀哉・塩出浩之・谷川穣・告井幸男(編)
『論点・日本史学』ミネルヴァ書房、2022年



史料読解対策

古代史の頻出史料である『類聚三代格』を中心に練習しました。毎日1記事を目安に、次の手順で取り組みました。

①史料をすべて読み下す
②すべて現代語訳する
③読み下しと現代語訳が合っているか確認する

特に③の確認は、東北大学院生の「古代史研究会」の力を借りました。研究会では『類聚三代格』を継続的に読んでおり、過去の資料がGoogleドライブにまとめられていました。そこに招待していただき、既存の資料を参考にしながら答え合わせをしました。独学では難しい史料読解も、院生の方々の力を借りて進められたのは本当に大きかったです。

赤がいっぱい…!

志望理由書+面接対策

志望理由書では、「なぜ大学院に行きたいのか」を深掘りし、研究計画を具体化することに時間をかけました。最初は漠然とした計画しか立てられませんでしたが、「研究内容は、先行研究を整理し論点を提示したうえで、史料を分析し、展望を示すこと」など指導教員から具体的なアドバイスをいただき、ブラッシュアップしました。さらに、「審査の重点は修論を書ける力があるかどうかにかかっている」と教えていただきました。つまり志望理由書は、単なる熱意のアピールではなく、修士論文につながる具体的な研究計画を示すものであることがわかりました。

また志望理由書は、面接での諮問の主要な材料になることも意識する必要がありました。限られた時間の中で、試験勉強と並行して研究計画をブラッシュアップしていったのが、この時期一番大変だったことです。


仕事と両立した工夫

社会人として働きながらの受験勉強は、とにかく「どう時間を確保するか」が最大の課題でした。そこでわたしが工夫したことをまとめます。

① モチベーションの工夫

まずは「受験します!」と宣言すること。
所属しているコミュニティのメンバーや、大学時代の指導教員に連絡して「がんばります!応援して!!!」と伝えました。宣言してしまえば、もうやるしかありません。誰かに見られている、応援されているという状況が、自分にとっていちばんのモチベーションになりました。

所属していたコミュニティのSlackにて。
返信数とスタンプ数…!こんなに応援してくれるのありがたすぎました…!
直前にはXでも宣言しました…!


② 通勤時間の活用

片道1時間、往復で2時間の通勤時間は、丸ごと勉強時間に充てました。重いけど、鞄に用語集や参考文献を入れて持ち歩き、電車の中で少しでも読み進めました。まとまった時間が取れない平日でも、「通勤時間を勉強時間に変える」と決めたことで、毎日コンスタントに進められました。

③ 1日の最低ラインを決める

「今日は疲れているから、何もやらなくてもいいか…」とならないよう、必ずやる最低ラインを決めました。

  • 用語説明は1日4つ

  • 史料読解は1日1記事

これだけは必ずやる、と決めていたので、勉強を習慣にできました。結果的に、平日は1日3〜4時間、休日は8〜10時間を勉強に充てられるようになりました。集中力が続かないときは、カフェや図書館など環境を変えて勉強しました。


試験当日(筆記・面接)

筆記試験

問題を見た瞬間、思わずガッツポーズをしてしまいました。過去問演習で繰り返し練習してきた用語説明は、「正確に説明すること」を意識しておいて本当によかった、と心から思いました。全て自信を持って回答できました。

史料読解も同様に、全て返り点を正しく付け、現代語訳も全訳できました。これは毎日欠かさず『類聚三代格』を読んで積み重ねてきた成果でした。やはり独特の言い回しや癖は、練習を重ねるしかないのだと実感しました。

面接試験

面接では緊張しましたが、「どこまでを計画していて、どこからは入学後に取り組むのか」を明確に伝えるようにしました。

「わかっていること・考えていること」と「まだわからないこと・考えきれていないこと」は誤魔化さず、そのままお話ししました。完璧な答えではなくても、研究の現状を誠実に伝えることが大切だと思いました。

また、日本史の研究に取り組みたい熱意をしっかり表現しました!!!


合格のために大事だったこと

  1. 志望理由を明確にすること
    「なぜ大学院に行きたいのか」「そこで何を研究したいのか」を自分の言葉で語れるようにしておくこと。これは志望理由書や面接対策になるだけでなく、日々の勉強を続ける原動力にもなります。

  2. 過去問と基礎力の徹底
    社会人選抜では、研究の土台となる基礎力が問われていると痛感しました。入試要項や過去問を徹底的に読み込み、いかに「入試問題と仲良くなるか」が勝負でした。

  3. 人とのつながり
    指導教員や院生の方からいただいたアドバイスは、本やネットでは得られない具体的で貴重な情報源でした。受験期に助けられたのはもちろん、これからの研究生活でもお世話になる大切な存在。関係性を大切にしていこうと思います。

  4. 時間管理と習慣化
    通勤時間の活用、1日の最低ラインを決めた勉強量、そして「受験宣言」でのモチベーション維持。完璧にこなせなくても、「今日もこれだけはやった」と積み重ねることが自信につながりました。


さいごに

社会人大学院受験は「忙しいから無理」と思われがちですが、やり方を工夫すれば道は開けます。完璧じゃなくても大丈夫。必要なのは、「挑戦してみよう」という気持ちと、小さくても毎日積み重ねることです。

志望校選びや受験の計画立てでは、前職の個別指導塾での大学受験指導の経験がとても役に立ちました。これまで高校生に向けてやってきた勉強法や計画の立て方が、自分自身にも再現性を持って活かせたことがうれしく、改めて「学習メンター的な仕事ってやっぱり好きだな」と実感しました。

これから社会人大学院を目指す方にとって、このnoteが少しでも参考になれば幸いです。

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