(3)

【10歳】

母の言っていることは全て正しいのだと思っていた。



「あのね、お守りしてると友達に言われるの。学校に持ってきちゃいけないんだよって。だから…」

「外して行ってはなりません。命より大事なお守りでしょう。神様と繋がっているのよ。蒼、なぜ分からないの?」





分かってるよ。でもね、このお守りを首から下げてると友達にいじめられるんだ。鎖を引っ張られたり、お守りを納めるためにしてるブラジャーも咎められる。体育で着替える時にね。そんなに胸大きいの?って。そりゃそうだよね。私まだ10歳だもん。「神様と繋がるお守り」って言うと笑われて、引かれて、私ね、クラスで一人ぼっちになるんだよ。時々、上履きに画鋲が入ってたり、教科書が無くなってるの。ああ、傘も無くなったことあったっけ。一緒に帰ろうって約束してたのに誰も来なかったりして。下駄箱で待ち合わせしてたんだけどね。

でも、友達は悪くないんだよね。全部、私の魂が汚れてるから、綺麗になるための試練なんだよね。嫌だなって思うことは神様が私を訓練してるんだよね。これを乗り越えたら、本物の神の子になれるんだもんね。

私は本物の神の子にならなきゃいけないのだから。




魂を綺麗にする方法はいろいろ教わったけど、一番は布教すること。

いつも考えてた。どうしたら、目の前の友達や親戚が信者になってくれるかって。いつもそればっかり考えてた。それが私の使命なんだって。未熟児で生まれた罪深い私の。

そして教会に行くと「蒼ちゃん、今月は何人のお友達に神様のお話できたの?」って聞かれた。




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#創作大賞2025
#オールカテゴリ部門

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