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『水曜日14時の奇跡』— シーズン②前日譚:命の恩人「お爺さん」との11年 —

【第10回 最後の問い——2016年12月、自立の宣告】
【時系列の杭】2016年12月
無双状態の頂点にいた2016年の冬。
私は、年末の挨拶のために、お爺さんのもとを訪れました。
あの時の私は、まだ知りませんでした。
それが——
11年間で、最も重い時間になることを。


1. 年末の挨拶
2016年12月暮れ。
私は、カレンダーを持ってお爺さんのもとを訪れました。
年末の挨拶。
それ自体は、毎年のことでした。
しかし、その年の空気は違っていました。
お爺さんは、穏やかにこう言ったのです。
「脳梗塞の再発で、医者から年は越せないと言われていましたが……何とか、持ちそうです。」
その瞬間、私は悟りました。
これが、「最後の時間」になるのだと。
胸の奥で、そう確信したのです。


2. 「私は…これから、どうしたらいいのでしょうか?」
だからこそ、その「終わり」を前にして、
私は初めて、不安を言葉にしました。
胸の奥から、どうしても抑えきれない問いが湧き上がった。
「私は……これから、どうしたらいいのでしょうか?」
それは、事業のことでも、生活のことでもありませんでした。
守ってくれていた“”が消えた後、
私はどうやって生きていけばいいのか。
その問いでした。


3. 「あちらから見守っていますから」
お爺さんは、静かに微笑んで言いました。
「この11年で、あなたの魂を相当鍛え上げました。
ちょっとやそっとでは、“悪しきもの”などには負けません。
私は、あちらから見守っていますから」
その言葉は、優しさでした。
でも同時に——
自立の宣告」でもありました。


4. もう一つだけ、願ったこと
それでも私は、もう一つだけ願いを口にしました。
母の魂を救いたいのです
その瞬間でした。
この11年で初めて、
お爺さんから笑顔が消えたのです。
そして、短く、はっきりと言いました。
「……命を落とすかもしれませんよ
その一言で、
私はすべてを理解しました。


5. 「絶対に逃げません」
私は答えました。
絶対に逃げません。命を賭して向き合います
強がりではありませんでした。
ここで引いたら、
今まで救われてきた意味がなくなる。
そう思いました。
すると、お爺さんは再び穏やかな表情に戻り、
最後にこう言いました。
「心の管理と感情のコントロールは永遠のテーマです。
どうか、良いお年をお迎え下さい。」
それが、最後の会話になりました。
あまりにも静かで、
あまりにも重い、
最後の言葉でした。


6. 帰りの車の中で
帰り道、私は車を走らせながら、何も考えられませんでした。
何を失ったのか、夢の世界にいたのか、
その時の私は、何も言葉にできませんでした。
ただ一つだけ、はっきりしていたことがあります。
心に、ぽっかりと
「水曜日14時」
という大きな穴が開いていたのです。
私は知っていました。
赤の「他人」である私を救い、守ることで、
お爺さんがどれほど寿命を削ってこられたかを。
それでも、
私は甘えていた。
どこかで、ずっと守られる側のままでいた。
その夢の「時間」が、終わった。
そう思った瞬間、
涙は止まりませんでした。


7. 守護が外れた世界へ
この日を境に、
私の人生はまた「次の段階」へ入っていきます。
お爺さんという「巨大な防波堤」を失った後、
見えない濁流が、少しずつ日常へ押し寄せてくることになります。
以前、お爺さんは言っていました。
「あなたの先祖と母方の先祖は相性が最悪で、
まさに平家と源氏です」 と。
当時の私は、その言葉の“本当の意味”を、
まだ知りませんでした。
でも、これから起きることを思えば、
あれは「警告」でした。
守護が外れた世界。
そこで私は、
自分の「魂」だけを頼りに向かうことになる。
お爺さんに守られた11年は、ここで終わる。
私は、自分の「覚悟」で生きる世界線へ入っていく。


ハッシュタグ
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