捨てるものより、捨てられないもののほうが気になる日
年末の空気がひんやりしてくる。
すると、家の中の“気になっていたもの”が急に存在感を持ち始める。
クローゼットの奥から、長年の「いつか片付けよう」が詰まった箱をそっと引っ張り出した。
中には、もう使えなくなったハードディスクや古いパソコン。持ち上げると、思っていたよりも重くて、ああ、いろんな時代のデータがここに眠っていたんだな、と少しだけ胸がざわついた。
問題は、そこに残っているデータだ。
物理的に壊してしまうのは早いけれど、どうにも気持ちの整理がつかない。リサイクルを考えるなら、やっぱりゼロを書き込んで初期化するしかない。
作業を始めると、機械が静かに唸りはじめ、進行バーが少しずつ伸びていく。その無機質な音を聞きながら、こういう“待つしかない時間”も、年末らしいなと思った。
消去が終わったものは、小型家電の宅配リサイクルに送るために箱へ詰める。梱包してしまえば、あとは専門の人たちがきちんと処理してくれるらしい。
データ消去サービスまであると知って、なんだか世界は思ったより親切なんだな、と少し安心した。
ところが、この流れのなかでどうしても判断しきれないものが残った。
ケーブル類だ。
細いもの、太いもの、少し黄ばんだUSB-Aケーブル、どこかの付属品だったような、片側だけ規格が古いもの。束ねても束ねても、何かしら記憶に引っかかってくる。
「これは、まだ使うのかな……?」
問いかけても、明確な答えは返ってこない。
ケーブルというのは不思議だ。
本体より先に捨てると後悔しそうで、でも残しておくと、ひたすら場所だけを取る。役目を終えているはずなのに、なぜか手放しにくい。
たぶん私は、未来の自分が必要とするかもしれない“かすかな可能性”を捨てるのがこわいのだ。
その可能性がほとんどゼロだとしても、完全にゼロだと証明するのが難しい。だから、ケーブルは残り続ける。
今年も結局、判断できない束がひとつ残った。
来年の私は、これを見てどう思うのだろう。
やっと決断するのか、それともまたそっと箱に戻してしまうのか。
あなたの家にも、そういう「決めきれないもの」ってありますか?
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年末になると、なぜかケーブルだけは判断が鈍ります。
来年こそはすっきりしたい…と言い続けて何年経ったのか。同じような人がいたら、ちょっと安心します。
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